および『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』
にまで至る、盛大なネタバレがあります。
閲覧の際にはご注意ください。
九島光宣【くどう・みのる】は、十師族・九島家の三男で、九島真言の末子[Ⓝ劣-13-30,14-153,25-110]。2080年度生まれ[Ⓝ劣-13-30]。右利き[Ⓝ劣-14-163]。普段は生駒市の九島家本邸で暮らしている[Ⓝ劣-13-30]。
藤林響子の異父弟にあたる[Ⓝ劣-13-14・36,15-261] が、表向きは従弟ということになっている[Ⓝ劣-14-158]。紛れもない天才で、「九」の魔法の申し子。16歳にして既に九島家の全ての魔法を会得している、九島家最強の術者[Ⓝ劣-24-144・145・192]。
2096年度に国立魔法大学付属第二高校に入学したが、生まれつき身体が弱く、病気がちでほとんど通えていない[Ⓝ劣-13-14・30,14-158]。生徒会に在籍しており、2097年2月時点では副会長を務めている[Ⓝ劣-18-281,21-203]。
◇◇◇
2097年6月、桜井水波が魔法演算領域のオーバーヒートで倒れたことを知った光宣は、同月16日に自らパラサイト化[Ⓝ劣-25-160∼161]。捕獲・討伐対象として十師族に追われる身となりつつ[Ⓝ劣-25-209∼213,26-155]、魔法技能を失わないまま水波を生き永らえさせるために水波をパラサイトに変えようと行動し、司波達也と激しく対立する[Ⓝ劣-25∼32巻]。
最終的に水波自身が光宣の提案を受け容れ[Ⓝ劣-32-223∼226]、2097年8月にパラサイト化。今の世界に居場所の無い二人は、巳焼島の地下深くで眠りについた[Ⓝ劣-32-231∼234]。
なお公式の記録では死んだことになっており、生存していることを知っているのは四葉家でもほんの一握りである[Ⓝメ-1-91,2-163,5-36・146]。
◇◇◇
2100年4月、達也らは光宣と水波を覚醒させ、衛星軌道居住施設 「高千穂」で暮らすことを提案。二人はこれを受け容れ[Ⓝ劣-32-284∼294]、以降はたまに光宣と一緒に地上に降りたりしながら「同居生活」(寝室は別々)を送っている[Ⓝメ-1-10・94∼97,2-43∼45・160,7-174]。地上では、光宣と水波は「桜島 光」「桜島 美奈」という兄妹設定の偽造身分で行動している[Ⓝメ-2-163]。ただしすぐにパスポートを作り変えた[Ⓝメ-2-186]ので、この身分は変わっている可能性もあるとも思われたが、どうやらその後も同じ偽名を使っているらしい[Ⓝメ-6-150]。
なお、元老院は妖魔の存在を許さず、人外の魔性に対してアレルギー的な忌避傾向を持っているが、日本国内であっても巳焼島に限っては、短期間であれば達也は二人を匿えるらしい[Ⓝ劣-30-159,Ⓝメ-2-44・160,8-168]。
生没年 | 2080年度~[Ⓝ劣–] |
体型 | 173cm/60kg[GB-3期-3-5] |
偽名 | 桜島 光[Ⓝメ-2-163] |
家系 | 九島家[Ⓝ劣-13-14] |
家族 | 祖父 九島烈[Ⓝ劣-13-31] 父 九島真言[Ⓝ劣-13-14・30・36,15-261] 遺伝子上の母 真言の末の妹[Ⓝ劣-13-36,15-261] 戸籍上の母 九島紫乃[Ⓝ劣-27-106] 長姉 九島白華[Ⓝ劣-25-110,27-105] 長兄 九島玄明(次期当主)[Ⓝ劣-25-110,26-203,27-105] 次姉 九島朱夏[Ⓝ劣-25-110,27-105] 次兄 九島蒼司[Ⓝ劣-25-110,27-105] |
所属 | ■九島家
■第二高校(2096年4月~2097年8月)[Ⓝ劣-12-,31-155] |
技能 | 四系統魔法全般(特に放出系) 精神干渉系魔法 古式魔法 仮装行列 鬼門遁甲 仮装遁甲 精霊の眼 など |
装備 | ブレスレット形態汎用型CAD×2[Ⓝ劣-14-163・164] 完全思考操作型CAD[Ⓝ劣-14-164・186] など |
実績 | ■2096年度論文コンペ 急遽登壇し、『精神干渉系魔法の原理と起動式に記述すべき事項に関する仮説』のテーマで発表し優勝[Ⓝ劣-15-306∼309] |
CV | 戸谷菊之介 |
体格・容姿
身長173cm、体重60kg。均整が取れた美しい体付きをしている[GB-3期-3-5]。
優しく繊細な顔立ちをした「典型的な美少年」。司波深雪に匹敵する美貌、人間離れした容姿を持つ、「超」の付く美少年。この世のものとも思えない白皙の美貌。色白で線は細い。ただし女性的な印象は無く、女の子と見間違うことはない。司波達也は「深雪と同質の美しさ」だと感じている[Ⓝ劣-13-30,14-152・153,15-291]。千葉エリカは「深雪の男の子版」と述べている[Ⓝ劣-15-76]。「この世のものとは到底思われぬ程に妖しい神魔の美貌」「人外の美」などと表現されることもある[Ⓝ劣-24-192,25-167,26-195]。桜井水波との会話の中で浮かべた歓喜の表情については「芸術と光明を司る青年神の如き光輝に彩られた」などと表現されている[Ⓝ劣-29-94]。
このような暴力的な美貌は光宣にとっては重圧であり、異性が向ける強い眼差しは息苦しく、時に鬱陶しさすら伴うものである[Ⓝ劣-22-76・77]。
達也に対して子犬のような表情を向けることがあるが[Ⓝ劣-14-200,15-126]、それは年頃の女性であれば正気を失うような表情である[Ⓝ劣-14-200]。
声は、少年的で高く澄んでいる[Ⓝ劣-13-31]。
3年間の「人工冬眠」の間は肉体が成長しないため、その容姿は2100年時点においても17歳当時から変わっていない[Ⓝ劣-32-282,Ⓝメ-1-95]。
なおアニメ第3期では、石田可奈いわく「優しい感じにしてほしい」というオーダーをもらっていたとのことである[GB-3期-1-23]。
性格・嗜好・雰囲気
表面的な性格は司波深雪よりも普通に近い[Ⓝ劣-14-153]。
作者いわく、「お人好しで残酷、優しくて傲慢、思いやりがあって我が儘」[GB-3期-6-21]。
神秘的な外見、整い過ぎた美貌は近寄りがたい印象を与えるが、達也・深雪と初めて会った際には本気で照れて顔を赤らめるなど親しみやすさも見せている[Ⓝ劣-14-153・157]。千葉エリカに親し気な笑顔で話し掛けられて動揺しているさまは、年相応で可愛いものだった[Ⓝ劣-15-226]。
こうした可愛いリアクションは九島烈の孫とは思えないもので、達也は当初、それが演技なのか本物の子供らしさなのか判断しかねていた[Ⓝ劣-14-158]。
そのいっぽうで達也の毒舌に対して苦笑だけで済ませる、達也の笑顔と光宣の笑顔が醸し出す雰囲気が似通っている等、達也のようにシニカルもしくはシビアなメンタリティを持っている一面も示されている[Ⓝ劣-14-165・166・169]。達也自身も「天使のような顔をして随分と良い性格をしている」と評している[Ⓝ劣-14-191]。
敵を殺すことに躊躇はない。それどころか、たまたま居合わせた民間人を巻き添えにすることすら躊躇わない――民間人を眼中に入れていない非情さも持っている。周公瑾への攻撃時には「天使のような慈悲の無い笑み」を浮かべていた[Ⓝ劣-15-292・293]。
このような光宣の非情さを表現しているシーンはいくつかあって、たとえばパラサイト化後の行動が挙げられる。調布碧葉医院に攻め入り十文字克人に撃退された光宣は、「追跡者を振り切れたかどうかの確認のために」個室カフェに入っている。もし振り切れていなければ民間人を巻き込む戦闘となる可能性も充分あり得るし、穿った見方をすれば「民間人を盾にして逃げる」といった腹積もりすら否定できない[Ⓝ劣-26-184・185,管推]。また克人との二度目の対峙ではパラサイドールを自爆させ、民間人にも憑りつこうとするパラサイト本体への対処で手一杯にさせている[Ⓝ劣-27-278]。本人によれば「市民を人質にするようなやり方」や「民間人を巻き込むこと」は本意ではないらしいが……[Ⓝ劣-27-285,Ⓝメ-5-41,管想]。
身内(旧第九研)が関わった非人道的行為に罪悪感を覚えることはあるが、それに囚われない精神的な強さもある[Ⓝ劣-14-167]。
相手によって、あるいは場合によって、高圧的な態度をとったり他人の意見を受け容れないことがある[Ⓝ劣-15-280,25-186,27-108・119,Ⓝメ-2-170]。腹を立てて罵声を撒き散らすこともある[Ⓝ劣-28-287・288]。
九校戦に出るなどして、「光の当たる場所で持って生まれた才能を存分に発揮したい」と思っている[Ⓝ劣-13-33]。そうした想いからか、九校戦の際に選手らに提供される東富士演習場のホテルに危険を承知で宿泊した[Ⓝ劣-32-177・178]。決着の場としてモノリス・コードの舞台を選んだことからも、そのような心境が窺われる[Ⓝ劣-32-187,管想]。その他、性格や嗜好などについてのこまごまとした描写を以下に記す。
- 深雪の微笑みに見とれることはない[Ⓝ劣-14-162]。
- 失言して慌てることもある[Ⓝ劣-14-192,15-139]。
- 意外と押しに弱い[Ⓝ劣-14-193]。
- 頼られると喜ぶ性質[Ⓝ劣-15-175]。
- 世間話は苦手[Ⓝ劣-29-71]。
- 本性は学者気質[Ⓝメ-4-283]。
- 愚か者は嫌い[GB-3期-3-5]。
- 人外の美貌を抜きにしても、王侯貴族の――「貴公子」の風格がある[Ⓝメ-2-170]。
- 食事は、脂っこい料理よりあっさりした物を好む。また小食ではないが食べるのは遅い[Ⓝ劣-28-98・99]。
- 宇宙服なしでの宇宙遊泳がお気に入り[Ⓝメ-2-119,5-231]。
- 水波いわく「温厚で偉ぶったところがない」「眉目秀麗、性格温厚、知勇兼備」[Ⓝ劣-27-36]。
また恋人となってからは、「人でなし」な側面を「クール」と感じるようになっている[Ⓝメ-2-171]。 - 神戸中華街にある周公瑾の「宝物庫」の中身をあえて知ろうとせず、期待して開けてみたら単なるガラクタで落胆した、という可愛らしい一面も持っている[Ⓝ劣-26-202,管想]。
- パラサイトと化してからはメンタリティが変化し、(水波が害されそうになったとは言え)すぐに殺意を懐くようになっている[Ⓝメ-2-174,管補]。
また戦闘時に敵の誤射で民間人が傷ついたとしても、それについて「引き金を引いた者の責任」と割り切るメンタリティを身に付けた[Ⓝメ-5-58]。
なおパラサイト化に伴う人格の変化について、光宣はハッキリと認識している[Ⓝメ-9-53]。 - パラサイトなら多少非人道的に扱っても構わないと思っている[Ⓝメ-9-54]が、パラサイト化以前からそう考えていたのかは不明である[管補]。
魔法・戦闘技能・学力など
魔法技能
現在知られている魔法師の中で最高レベルの素質を秘めており、その魔法力は司波深雪、アンジェリーナ=クドウ=シールズの両名に匹敵する[Ⓝ劣-13-36]。服部刑部少丞範蔵など大抵の魔法師を凌駕する事象干渉力を有し、起動式の読み込みの速さは控えめに見積もっても七草真由美に匹敵する[Ⓝ劣-14-184∼186,26-169]。作者は「万能タイプ」「使いこなせる魔法の種類も多い」「一人でも集団でも、アタッカーでもサポートでも活躍できるタイプ」「もし九校戦に出場していれば、どの競技でも確実に優勝した」と述べている[GB-3期-6-27]。
- 九島烈いわく「魔法力は同世代中で屈指のもの」。身内の贔屓目ではなく、烈の孫に相応しい魔法力を持っている[Ⓝ劣-13-32]。
- 司波達也は、一流の魔法師でも発動に失敗してしまうような魔法を捨て石に使った点に感嘆を見せた[Ⓝ劣-14-185・186]。のちには「警戒を要する相手」「九島家のナンバー・ワン、『九』を冠する魔法師の最高峰」などと評し[Ⓝ劣-22-52,25-176]、また「『精神』に関する見識は高校生のレベルを遥かに超えている」とも述べている[Ⓝ劣-25-118]。実際に戦闘となったのちには「手強い相手」と評した[Ⓝ劣-25-201,26-90]。「スターズと共同戦線を張った場合には四葉家の力を以てしても水波を守り切れない可能性がある」とも述べている[Ⓝ劣-26-236]。仲間となったのちにも、「総合的な魔法の実力は確実に自分を上回っている」とも述べている[Ⓝメ-5-146]。
- 桜井水波は「魔法の力量は素晴らしい、を通り越して凄まじい」と感じている[Ⓝ劣-15-196]。
- 周公瑾が警戒しなければならないと心に留めていた数少ない魔法師の一人で、実際に対面した際には悪寒を覚えている[Ⓝ劣-15-292]。
- 四葉真夜は、「十文字家・十山家・九島光宣には要注意」と述べている[Ⓝ劣-22-52]。
- 二木舞衣は「極めて優れた魔法師」と述べている[Ⓝ劣-25-213]。
- 七草泉美は「(光宣は)四葉家も十文字家も七草家も恐れていない(それだけの実力を持っている)」と述べている[Ⓝ劣-26-135]。
- 司波深雪は光宣に脅威を覚えていない[Ⓝ劣-27-284]が、これは自分がパラサイトにとっての天敵だからである[Ⓝ劣-27-299]。
- 藤林長正は光宣について「『九』の魔法師の完成形」と表現している[Ⓝ劣-29-120]。
また2096年10月時点で、発売から2ヶ月も経っていないFLTの完全思考操作型CADを早くも使いこなしており、「CADの操作が楽になった」「素晴らしい製品」「開発者のトーラス・シルバーは紛れもない天才」と評している[Ⓝ劣-14-164・186]。
なお、パラサイトと化して以降はCADなしでもスピーディかつ正確に魔法を行使できるようになった[Ⓝメ-2-170]が、CADの使用も続けているらしい[Ⓝメ-6-201]。
魔法は何でもできる[GB-3期-3-5]。放出系統魔法を得意とする現代魔法師だが古式魔法にも詳しく[Ⓝ劣-14-179・194,15-147・163・171,26-167,30-148,Ⓝメ-6-225]、現代魔法と古式魔法を融合させた『仮装行列』に代表される旧第九研の魔法を使いこなす[Ⓝ劣-14-187,25-204]うえに、精神干渉系魔法にも適性がある[Ⓝ劣-24-144・192,]。
2097年に周公瑾の霊体を「吸収」してからは、彼の蓄えていた知識を得るとともに『鬼門遁甲』、『神仙術』、『影獣』、『占術』、『傀儡術式』など大陸系の古式魔法や方術・道術、系統外魔法の類も使えるようになった[Ⓝ劣-24-146・193,25-77・114・157・187・188・196・204,26-155・166・168・185・259,27-178,Ⓝメ-5-49]。
さらに、少なくとも2097年にはどうやら『精霊の眼』にも覚醒している[Ⓝ劣-25-72∼77]。
パラサイト化後には、高い治癒再生能力などパラサイト特有の異能を手に入れた[Ⓝ劣-25-164・204,]。仮装行列〈パレード〉
光宣の『仮装行列』について、深雪は「精度はリーナより上」と評している[Ⓝ劣-14-184]。達也も同様の旨を述べており[Ⓝ劣-28-44]、達也にとっては天敵とも呼べる程に相性が悪い魔法である[Ⓝ劣-28-143]。
また、周公瑾は一度の攻防で「『仮装行列』は破れない」と判断している[Ⓝ劣-15-293]。
いっぽう、領域干渉の性質を兼ね備えた十文字家の障壁魔法との相性は悪い[Ⓝ劣-26-166・169]。
なお『仮装行列』と『鬼門遁甲』を併用した場合、達也の『精霊の眼』でも捕捉は困難である[Ⓝ劣-26-176]。
放出系統魔法
光宣は『スパーク』[Ⓝ劣-14-185・186,25-185]や『体内電流干渉魔法』[Ⓝ劣-14-187]、『人体発火』[Ⓝ劣-25-186]、『青天霹靂』[Ⓝ劣-25-188,26-167]、『プラズマ・ブリット』[Ⓝ劣-25-196,26-267]など、放出系統魔法を使うことが多い。
達也は「電子の運動と分布に干渉する放出系魔法を得意としているのだろう」と分析している[Ⓝ劣-14-187]。
その他の現代魔法
光宣は放出系を使うことが多いが、『熱風刃』[Ⓝ劣-25-190]や『圧縮空気弾』[Ⓝ劣-25-191]、『減速領域』[Ⓝ劣-25-191]、『窒息乱流』[Ⓝ劣-26-170]、『ドライ・ブリザード』[Ⓝ劣-26-170]、『ノックス・アウト』[Ⓝ劣-26-268・269]など、他の系統魔法も普通に使っている。
精霊の眼
光宣にはもともと『精霊の眼』の素養があったらしい。少なくとも、そのように思わせる描写は随所に見られる[管推]。
たとえば、2096年10月の周公瑾との対決の際、逃げていく周の「陰」を見失わなかった(「エイドスを視る眼」)[Ⓝ劣-15-294]。
達也も「光宣がエレメンタル・サイトの持ち主ではないかと以前から疑っていた」旨を述べている[Ⓝ劣-25-202]。
2097年6月には、伊豆高原で起こった魔法戦闘を遠く400kmも離れた生駒市で感知した上、その気配の片方が達也たちであることを見抜いた。それどころか、独立魔装大隊が現場に居たことにすら気づいていた。この感知能力について、藤林響子は「達也の『精霊の眼』をある意味で超えている」と評している[Ⓝ劣-25-72∼76]。
また達也と初めて戦闘となった際には、達也の『導電被膜』に対して電気抵抗増大の魔法をぶつけるという相克による魔法の無効化のテクニックを披露しているが、これは『精霊の眼』なくしては難しいものである[Ⓝ劣-25-188・189・202,]。
なお響子によれば、光宣は以前から確かに優れた魔法師ではあったが、こんな天眼通じみた能力は持っていなかったとのことである[Ⓝ劣-25-76]。
そして「人間だった頃から持っていた高い情報知覚能力を、パラサイト化によりさらにレベルアップさせた光宣も、この『眼』を持っていた」[Ⓝ劣-28-140]と綴られていることから、パラサイト化が後天的な覚醒の決定打となった可能性がある[管推]。
ただし、達也の『眼』と光宣の『眼』では性質が異なる[Ⓝ劣-28-146]。詳しくは該当項目を参照。
その他の技能
- エイドス・スキンを一瞬で突破するのは、一条将輝ですら得意魔法の『爆裂』以外では難しいのだが、光宣は(得意としている)放出系統魔法で同じように突破してみせたことから、『仮装行列』という現代魔法と古式魔法を融合させた魔法を使いこなしている上に、現代魔法でも将輝に匹敵する実力を持っている、と言える[Ⓝ劣-14-187]。
- 周公瑾の『鬼門遁甲』も、光宣には完全には通用しなかった[Ⓝ劣-15-293]。
- 光宣は霊子波を知覚することができる。柴田美月のように霊子そのものを見ることはできないが、霊子が作り出す波は見分けられる(光宣の実感としては「聞き分けられる」)[Ⓝ劣-24-192]。
- 深雪の『コキュートス』によって一時的に魔法力が低下した状態においても、偽装魔法の行使を遠くから感知されるような余剰想子を漏らすことはなかった[Ⓝ劣-28-55]。
パラサイト化
パラサイト化後、元々卓越していた魔法の発動速度はさらに向上し、達也に匹敵するまでに至った[Ⓝ劣-25-186・201,26-169,32-196]。「九」の魔法を失うこともなかった[Ⓝ劣-26-114]。また治癒再生能力や精気吸収能力なども手に入れている[Ⓝ劣-25-164・191・193・194]。霊子情報体を明瞭に認識できるようにもなった[Ⓝ劣-27-178]。また妖気を放つようになったが、これは隠すこともできる。妖気を解放するまでは達也にもパラサイトになったとは分からなかった[Ⓝ劣-25-175,26-86・114]。なお、パラサイト化によってスピードは上がったが、パワー(事象干渉力)に変化はない[Ⓝ劣-26-169]。
戦闘技能
- 戦闘中に感情を乱されても魔法の精度を損なうことはない[Ⓝ劣-25-185]。
学力
- 烈いわく「頭も良い」[Ⓝ劣-13-33]。
その他
- 末子であるため、跡取り教育は受けていないらしい[Ⓝ劣-14-153]。
- 才能は超一流だが、病気がち故に実戦の機会には恵まれなかった[Ⓝ劣-14-188]。
- 洞察力や抜け目の無さについて、達也は「素晴らしい」と本気で褒めている[Ⓝ劣-14-194]。
- 心の裡を隠す対人技術は、魔法技能ほど上手くはない[Ⓝ劣-15-77]。
- 演技は下手[Ⓝ劣-15-130]。
人間関係
桜井水波
光宣→水波
光宣は2097年4月、桜井水波を思い出して「可愛い」と感じている。これは、光宣にとって初めてのことだった[Ⓝ劣-22-77・78]。
同年6月に水波が入院したと知った時には心配で堪らなくなり、ただでさえ休みがちな高校を欠席してまでして、入院翌日に奈良から東京まで見舞いに行った[Ⓝ劣-25-77・78・100・111・156]。そして治療法を必ず見つけ出すと誓い、水波を励ました[Ⓝ劣-25-108]。
治療法として「パラサイトとの融合」という結論に至った時には、「とんでもないことだ」と思いつつも、同時に「(水波が)自分と同じになる」ことに心惹かれるものを感じている[Ⓝ劣-25-117・179,管補]。
パラサイト化の提案を水波にする前に安全性を確認するため、光宣は自らを被験体として実験を実行。自我を保ったままパラサイトとなることに成功した[Ⓝ劣-25-161∼165]。
この行為、およびパラサイト化による「治療」という方法を選んだことについて、吉田幹比古は「正気の沙汰じゃない」と述べている[Ⓝ劣-26-112]。
パラサイト化に成功した6月16日、光宣は治療法としてのパラサイト化を水波・達也・深雪に提案した。しかし達也はこれを拒否。戦闘となり光宣はいったん撤退したが[Ⓝ劣-25-177∼199]、その後も調布碧葉医院に現れるなど諦める様子はない。「一人では無理だ」と理解してからはUSNAでパラサイトと化したレイモンドらと合流、協力関係を築き[Ⓝ劣-26巻]、自分の精神がパラサイトに近づいている可能性からは(無意識に)目を背けつつ[Ⓝ劣-27-104]、翌7月には水波を拉致することに成功した[Ⓝ劣-27-302∼304]。
これは水波を手に入れたり「仲間」にするためのものではなく、水波を突然死の恐怖から救うため、パラサイト化という重要な提案について水波の気持ちを確かめるために行ったものである。そして水波が提案を拒否すれば、光宣は水波を達也の許に帰すと決めている[Ⓝ劣-26-153・197・208,28-47・48・102・123,29-85]。
パラサイトと化した光宣のこのような点についてレイモンドは「おかしい」と述べ、レグルスとともに思念共有能力による「説得」を試みたものの失敗し、逆に服従する結果となった。とは言え、光宣は自身の「願い」は守り抜いたものの「説得」の影響を完全に消すことはできず、他の部分の意思についてはいくぶん変質した[Ⓝ劣-26-213∼222]。しかしその後も基本的には思念の防壁により、他のパラサイトとの思念共有をガードし続けている[Ⓝ劣-28-290,30-185]。
ここまでのことをしている光宣だが、何故そこまでするのかは自分でも理由が良く分かっていなかった[Ⓝ劣-28-123・124]。
これに関連して七草泉美は、「物事に執着しない質だった光宣が人であることを捨ててまで水波を望んだのだから、諦めることは決してないだろう」と述べている[Ⓝ劣-26-134]。
その後、「日本から逃げ出せ」というレイモンド・クラークの提案を受けた後で、「本当は水波を遠くへ攫ってしまいたいのだ」という自分の本心に気がついた。しかし光宣はなおも「無理強いはしない」と改めて自分に誓わせているが、同時に悩んでもいる。類似の描写は以降何度も登場する[Ⓝ劣-28-292,29-43,30-153・182]。
しかし終盤には、「自分でも自分の自制心を100%は信じられない」「彼女と一緒にいたい」「彼女を自分と同じにしたい」とも述べている[Ⓝ劣-32-190・191]。
水波→光宣
水波は光宣との初対面時、その人間離れした容姿に息を呑んだ[Ⓝ劣-14-152]。顔を合わせた瞬間に「衝撃」を受けた。一種類の感情に分類できるような単純なものではないショックで心を埋め尽くされた。しかし自分が懐いた想いの正体は自分にも分かっていない[Ⓝ劣-27-33,28-51]。
熱を出した光宣を看病している時には、謎の親近感を、自分と同じものを感じ、光宣に惹かれていることを自覚している[Ⓝ劣-15-196,27-37]。しかし容態が悪化してからは激しい動揺に見舞われ、光宣の苦しみを和らげる為に何をすべきか、誰を頼るべきかしか考えられなくなり、そうした自身の想いすら忘却してしまっていた[Ⓝ劣-27-38]。
オーバーヒートで倒れ入院しているところで見舞いに訪ねてきた光宣を見た水波は、「汚れ無き純白に染め上げられた空間に、ただ一人、鮮やかな色を纏って天上界の住人が降臨した」様子を幻視している[Ⓝ劣-25-100]。「僕と同じになってくれ」という光宣の言葉を聞いて、水波は心を強く揺さぶられている[Ⓝ劣-25-179・180,27-31]。
また「自ら人であることを捨ててまで水波ちゃんを救おうとした光宣君」という深雪の発言は、水波の胸に深く突き刺さった[Ⓝ劣-32-156]。
ただし、光宣への恋心を初めから自覚していたわけではなかったらしい[Ⓝ劣-26-88]。
司波達也・司波深雪
光宣は達也のことを「実に深い人」と評している[Ⓝ劣-14-195]。またトーラス・シルバーの解散と恒星炉事業を発表することでディオーネ―計画を蹴り飛ばした記者会見を見た際には賞賛と憧れを抱きつつも、頭脳でも魔法でも達也にそれほど劣っていないという自信を持っている[Ⓝ劣-24-139・140]。達也は光宣が自分以上と認めている数少ない魔法師の一人であり、そんな達也に認めてもらえると喜んだりする[Ⓝ劣-25-176,Ⓝメ-2-41]。
深雪については「卓越した魔法師」という印象を持っており、美しさは二の次だった[Ⓝ劣-22-77]。
達也は熱を出してしまった光宣に対して、無愛想な気遣い、不器用な優しさを見せている[Ⓝ劣-15-173∼175]。
また、体調を崩して迷惑をかけたことを謝ろうとする光宣をたしなめ、叱ることで激励するなどしている[Ⓝ劣-15-225]。
光宣がパラサイトと化したのちの戦闘時には、光宣を「今後利用できる可能性が高い貴重な戦力」と見なして殺害を躊躇している[Ⓝ劣-25-198]し、のちには実際にそうなった[Ⓝメ-2-37]。
深雪は「水波のパラサイト化」という提案について、水波を自分に、光宣を達也に置き換えて考えてみたところ、「わたしは人であることを捨ててお兄様の手を取ることを選ぶ」と迷わず結論づけたが、「水波にとって光宣がそれほど大切な存在になっているのかどうか」については答えが出せないでいる[Ⓝ劣-27-51∼53]。
七草真由美・七草香澄・七草泉美
光宣は、以前から七草真由美・香澄・泉美の三姉妹と交流がある[Ⓝ劣-15-198・199,21-273,26-155]。
幼い頃からの知り合いでそれなりに親しく付き合ってきた香澄と泉美は、光宣の美貌に物怖じしない数少ない友人である[Ⓝ劣-21-273,26-155]。
真由美や香澄は、九島家次男の九島蒼司よりも光宣の方を高く評価している様子がうかがえる[Ⓝ劣-21-274]。
また2097年4月に三姉妹と再会したとき、三姉妹は光宣の美貌に対して無関心であったが、これは彼女らが深雪の美貌に見慣れたためである[Ⓝ劣-22-77]。
パラサイトと化した光宣に対しては、香澄と泉美は「できれば殺したくない」と思っているが、同時に「野放しにするくらいならやむを得ない」と納得もしている[Ⓝ劣-26-133]。いっぽう光宣は香澄や泉美とは戦いたくないと思っており、攻撃魔法を向けるだけでも気が引けていた[Ⓝ劣-26-155]。
十文字克人
十文字克人とは、いちおう面識はあったが単なる挨拶以上の言葉を交わした記憶はない[Ⓝ劣-26-178・179]。藤林響子
光宣は、藤林響子のことを「姉さん」と呼んで慕っている[Ⓝ劣-13-33・34]。
響子は、パラサイトと化したのちに死んだと思われていた光宣が生きていたことを知って「良かった」と漏らしている[Ⓝメ-1-91]。
九島家
光宣は、客観的に見て親兄弟から愛情を十分に注がれたとは言えない。パラサイトと化して以降は、烈いわく「家族中が光宣のことを貶していた」らしい[Ⓝ劣-26-257]。
九島烈
光宣は、九島烈のことを尊敬している。その様子は随所の描写で窺える[Ⓝ劣-13-31,27-118・119]。
しかしパラサイトと化したのちの桜井水波を巡る騒乱の中で烈との戦闘となり、光宣は自分を見失う中で烈を殺害。心にひびが入り[Ⓝ劣-26-277∼283]、レグルスはこれを境に「(光宣が)人間的でなくなった」「パラサイトらしくなった」という印象を受けている[Ⓝ劣-27-99]。しかしそれでも、烈の死を実感して吐き気を覚える[Ⓝ劣-27-104]など、光宣らしさは残っているように見えるし[管想]、実際に「光宣はパラサイトでありながら人間の『個』性を残している」と綴られている[Ⓝ劣-27-130]。
ちなみに、烈は世間的には病死したことになっている[Ⓝ劣-26-285]。また烈の死を受けて、光宣の追跡に国防軍も加わることとなった[Ⓝ劣-27-43・46]。
烈は光宣に対して愛情をもって接している[Ⓝ劣-13-31,]。魔法の才能に恵まれながら実力を発揮できないことを不憫に思いながら、大勢の子と孫の中で光宣を一番可愛がっている。いっぽうで、最期には「そのような愛情は枷でしかなかったのだろう」とも述べた[Ⓝ劣-26-257・279・280,28-128]。
生体兵器として生み出されながら体質のせいで役目を果たせないという「呪い」については「現代魔法開発の歪みがもたらしたもの」と結論づけており、だからこそ烈は「魔法師を兵器とすることは止めさせなければならない」「光宣のような子供を生みだしてはならない」と考えている[Ⓝ劣-4-411,13-36・37,GB-2期-4-25,GB-3期-3-1]。
兄姉関係
- 光宣は兄姉たちと年が離れており、あまり話をすることが無い[Ⓝ劣-14-157]。
- 光宣は自分を卑下すると同時に、九島烈や藤林響子、そして自分よりも魔法力が劣っている兄や姉のことを無意識に見下している[Ⓝ劣-21-204]。
- 兄姉たちはその描写から、光宣への関心が無いように見える[Ⓝ劣-21-205,管推]。
- 光宣も兄弟に対する情は薄い。実際に、九島蒼司に対してそのような描写がなされている[Ⓝ劣-29-84・85]。
親子関係
親子関係については「悪い」と言わざるを得ないだろう[管想]。
光宣と真言の関係は、何年も前から冷え切っていた。真言の光宣に対する態度はネグレクトに近いものだった[Ⓝ劣-29-82]。
光宣は周公瑾の討伐に助力したが、その旨を九島真言には伝えていなかった[Ⓝ劣-17-259]。
また、真言や兄たちは自分のことを見限っていると光宣は判断している[Ⓝ劣-25-157]。
真言にも真言の妻にも、光宣を疎む理由はあるらしい[Ⓝ劣-26-257]。
九島紫乃は、パラサイトと化した光宣が家に帰ってきた際、光宣を他人行儀に叱りつけた[Ⓝ劣-27-106・107]。ここに母子関係がある程度見え隠れしている[管想]。真言に至っては、パラサイトと化した光宣に対して「お前は欠陥品だと思っていたが実は未完成品だったのだな」などと述べたのだが、光宣も光宣で怒るのでも泣くのでもなく冷笑を浮かべるだけであり[Ⓝ劣-27-117]、また「完成品」と口にした真言の声は満足感すら感じさせるものだった[Ⓝ劣-27-119]。「失うには惜しい最高傑作、貴重な完成品」とも述べている[Ⓝ劣-29-84]。
周公瑾
光宣は周公瑾のことを「大した相手ではなかった」と評していた[Ⓝ劣-21-206]が、亡霊となった周公瑾を取り込んだのちにその人脈などを知って「恐ろしい相手だった」とも述べている[Ⓝ劣-26-250・251]。
亡霊となった周公瑾は2097年5月末日、忠誠術式によって光宣に「吸収」され、第二の意識のような形で光宣の意識に追加・接続された(作中では「霊的なAIアシスタント」「増設知性」などと表現されたりもしている)[Ⓝ劣-24-193・194]。
なお作者によれば、周公瑾の再登場は原作15巻〈古都内乱編・下〉を書いている最中に思いついたもので、いわく「光宣をラスボスとして強化するための手段にした」とのことである[Ⓝ劣-25-274]。
レイモンド・クラーク
レイモンドは、光宣と水波について「すごくロマンチックで羨ましい」と述べている[Ⓝ劣-30-302]。光宣にとっては、レイモンドは戦友と言っても過言でない相手である[Ⓝメ-9-59]。
体質と生い立ち
体質
病気がちで[Ⓝ劣-13-14]、一年の1/4を病床で過ごしている[Ⓝ劣-13-32]。残りの3/4も、危険なことはさせてもらえなかった[Ⓝ劣-32-190]。このため、長期間家を離れることが難しい[Ⓝ劣-15-157]。伝統派への対処で達也たちと京都巡りをしていた時にも、朝に突然熱を出して寝込んでしまったことがあった[Ⓝ劣-15-173]。
身体が弱いと言っても、五輪澪のように虚弱で外へ出られないというわけではなく、病気でない時は思いどおりに魔法を行使することができる。ただ極めて病弱な体質のため、その魔法力をコンスタントに発揮することができないというだけである[Ⓝ劣-13-36,14-159]。
達也はこのような状態について「病弱ではあっても虚弱ではない」と端的に表現したうえで、「魔法力が強すぎて肉体に過剰な負荷がかかっているようだ」と述べている[Ⓝ劣-15-199・260]。
この体質が遺伝子調整の不具合によるものか、「血」が濃すぎることの影響によるものかは分かっていない[Ⓝ劣-13-35,15-262]が、少なくとも医学的には健康体で、免疫系にも神経系にも何の異常も無い。藤林家では、光宣の体質の原因は想子体にあるのではないかと考えている[Ⓝ劣-15-219]。
藤林響子の頼みで達也が光宣の想子体を「視」たところによれば、「想子圧が強すぎて身体が耐えられていない」「活発すぎる想子の圧力によって想子体を構成している想子のパイプが破れ、その破損が肉体にフィードバックされている」「想子の活動が活発なので、想子体の修復も活発に行われている」「想子体の破損と修復が短いサイクルで行われていることが光宣の体質の原因」「修復力は平均的な魔法師より上」「肉体的には健康」「遺伝子が想子体や精神にどのような影響を与えるのか分かっていることはまだ少ない」とのことである[Ⓝ劣-15-220∼223・262]。光宣の体質を治すためには、達也によれば「想子の活動を抑えれば良い」のだが、それは魔法師としての能力に枷を嵌める(魔法力を制限する)ということでもある。しかしそれは九島家が望まないし、何より「優れた魔法師であること」をアイデンティティとしている光宣自身が望まない。そうなると想子体の強度を上げるのが唯一の解決方法となるが、その方法は達也にも分からない[Ⓝ劣-15-223・224,25-116・179・182]。
また周公瑾によれば、光宣が頻繁に体調を崩すのは肉体が耐えられないレベルで想子が常時過剰に活性化しており、想子を肉体の許容範囲内に制御できていないからである。「『魄』の強度が不足しているが、高い修復力も備えている」とも表現している。修行して(想子の活性度を)コントロールできるようになれれば良いのだが、光宣の肉体はその修行に耐えられない。パラサイトは人間よりも想子のコントロールに長けているので、パラサイト化すれば肉体の不調は完全に取り除ける――とのことである[Ⓝ劣-24-193,25-115・116,管補]。
2097年6月16日、光宣は水波のために自らパラサイト化[Ⓝ劣-25-160∼165]。体質の問題は解消された[Ⓝメ-1-93]。
生い立ち
光宣は、人工授精で生まれた調整体――生体兵器である。九島烈へのコンプレックスがいつしか狂気へと変わっていた九島真言は、「高い魔法力を持つ後継者が自然に得られないなら作り出せば良い」という妄念に囚われたのだった[Ⓝ劣-13-35・36,15-261,Ⓝメ-7-42,GB-3期-3-6]。
表向きには真言の妻の卵子に真言の精子を人工授精させた受精卵をベースに作り出されたということになっているが、本当の卵子提供者は藤林響子の母――真言の末の妹だった。したがって光宣は響子の異父弟となる[Ⓝ劣-13-35・36,15-261,28-244]。
光宣の魔法力は司波深雪およびアンジェリーナ=クドウ=シールズの両名に匹敵するものであり、魔法力強化の観点では調整は成功だったと言える[Ⓝ劣-13-36]。
ただし四葉真夜は、(おそらく霊体の調整ができていないという点で)「九島家の失敗作」「あんな出来損ない」と評している[Ⓝ劣-16-236,管推]。
ところで「近親婚が魔法師の資質にどのような影響を与えるか」という問いは、以前から研究が進められながらもまだ結論が出ていないテーマである。様々な意見はあるものの遺伝子異常によるリスクが想定される以上、血が近すぎる婚姻は避けるべきとされており、現に数字付きの間では法で認められている従兄妹同士の婚姻も避けられる傾向にある[Ⓝ劣-17-247]。
なお、光宣は自身の体質の原因を知らされていない。そのため、身体が弱いのは誰の所為でもない、自分の所為ですらないと分かりつつ、身体の弱さを情けなく思っている。他者に責任を転嫁できない分、十全に力を発揮できない自分自身を責めている[Ⓝ劣-15-173,21-203]。だからこそ、「健康でさえあれば」という妄執に近い思いを持っている[Ⓝ劣-25-182,管補]。
「才能も実力もあるのに健康な身体だけが無い所為で、担うべき責任を果たせない」「果たすべき役割を果たせない」「期待に応えられない」と光宣は自分を追い詰め、その後ろめたさから周囲に遠慮する生き方を自身に刷り込んだ結果、普段から気を張って生活するようになった(引っ込み思案)[Ⓝ劣-22-76・77,GB-3期-3-5]。
2096年10月の奈良や京都での共闘については「自分が魔法師として本来あるべき姿でいられた時間だった」と感じつつ[Ⓝ劣-21-206]、2097年4月には「自分はこのまま陽の当たらぬ場所でひっそりと朽ちていくしかないのか」という絶望に蝕まれるようになっている[Ⓝ劣-21-204]。自分の知恵と力を存分に駆使して世間や世界を相手に戦っている達也を、心から羨ましいとも思っている[Ⓝ劣-24-140]。
なお、自分が調整体であることは知っているらしい[Ⓝ劣-25-172]。また九島紫乃のことを「義母さん」と呼んでいる[Ⓝ劣-27-107]ことから、紫乃とは血のつながりがないことにも気づいていると思われる[管推]。
その他
- 〈九校戦編〉の終盤において、風間玄信が九島烈に対して述べた「烈が司波達也のことを気に掛ける本当の理由」[Ⓝ劣-4-411]の部分は、それまでの文脈や〈スティープルチェース編〉〈古都内乱編〉の内容と併せて考えると、「兵器としての魔法師開発は(光宣のような子供を生むことに繋がるので)ダメだ」「だから兵器として扱われている(ように見える)達也のことを気にかけている」ということだと思われる[管推]。
- 2096年10月6日時点で16歳[Ⓝ劣-14-154]。
- 友達はいない[Ⓝ劣-14-157,15-157]。同じ年頃の人物との会話に飢えているらしい[Ⓝ劣-14-169]。
- 学校を休みがちな分、九島烈の仕事については兄姉以上に詳しい自信がある[Ⓝ劣-14-159]。
- 伝統派の話をするときは興味本位ではなく真剣で、これは光宣も十師族の魔法師だからである[Ⓝ劣-14-160]。
- 普通二輪免許を持っている[Ⓝ劣-14-170]。
- 千葉エリカのように良く言えばフレンドリー、悪く言えば馴れ馴れしい態度をとる同じ年頃の女の子は、周りにはいなかった[Ⓝ劣-15-226]。
- 病人食として、大量のサプリメントで味付けされたお粥を食べている場面がある[Ⓝ劣-21-205]。
- 2097年4月時点では、「人間と魔法師の共存」について悲観的な考え方を持っている[Ⓝ劣-22-80]。
- 2097年6月時点で、男女交際の経験はまだ無い。これは神秘的な美貌に女の子が尻込みして近寄ってこなかったためである[Ⓝ劣-25-104,28-120,29-59]。
- 不戦敗以外では負けたことが無い[Ⓝ劣-25-182]。
- 作者によれば、原作24・25巻の〈エスケープ編〉という副題には「病弱な肉体からのエスケープ」という意味も込められている[Ⓝ劣-25-274]。
- 光宣は十師族を過小評価しているつもりはなかったが、七草香澄と七草泉美の『乗積魔法』は確かに光宣を追い詰めたし、七草真由美は双子よりもさらに強かった。ましてや十文字克人となると、連戦による消耗が無かったとしても倒せたとは思えず、「なめていた」ことを認めている[Ⓝ劣-26-177∼179]。
- 周公瑾の亡霊を取り込んだことで、光宣は彼の拠点や人脈も利用できるようになった。また「フリズスキャルヴ」のことも知った[Ⓝ劣-26-196・201∼203・250]。
- 普段の起床時刻は7時ごろ。早起きして運動をするという習慣は無い[Ⓝ劣-28-119]。
- 近年は一人で食卓に着くことが多く、食事中に会話を楽しむ習慣が身についていない[Ⓝ劣-28-121]。
- 実家にいた頃は「お茶の時間」の習慣は無かった[Ⓝ劣-29-59]。
- 九重八雲と対峙した際には、九島烈と敵として相対したときでさえも覚えなかったほどの戦慄を感じている[Ⓝ劣-29-64]。
- パラサイト化以降、光宣はずっと個人的な感情で動いてきたが、世界中に迷惑を掛けることは望んでいない[Ⓝ劣-30-301]。
- 作者によれば、『メイジアン・カンパニー』シリーズでは「3人目の主人公とでも言うべき役割を担っていく予定」とのことである[Ⓝメ-1-292]。
- パラサイトと化してからは、眠りを必要としなくなった[Ⓝメ-6-214・244]。
- 「高千穂」では、魔法の研究をしていることが多い[Ⓝメ-7-175]。
- 水波とは、まだ「そういうこと」はどうやらしていないらしい[Ⓝメ-7-175・176]。
- シャスタ山に忍び込んだ光宣について、レナ・フェールは「善性を感じる」と述べている[Ⓝメ-7-182]。
- パラサイトを人間に戻す魔法については、非常に複雑な心情を懐いている[Ⓝメ-8-171・172,9-53]。
- 「高千穂」での生活には満足している[Ⓝメ-9-53]。
- アニメ第3期では、脚本の中本宗応が「監督も描写にかなり力を入れていた」「子犬的な可愛い系男子になったのではないか」「監督は光宣と水波の淡い恋愛模様がお好き」と述べている[GB-3期-2-20]。