巳焼島【みやきしま】は、2001年の海底火山活動によって形成された新島[Ⓝ劣-22-45,26-60,Ⓝ㊕続追-9]。
関東州・伊豆諸島に属する島[Ⓝ劣-31-52・146]。
架空の島であり、実在しない。
隣にある三宅島の名前の由来の一つと言われている「御焼島」の「御」を、2001年の干支(巳)に置き換えて「巳焼島」と命名された[Ⓝ劣-22-45,Ⓝ㊕続追-10]。
21世紀最初の年にできたことから、「二十一世紀新島」とも呼ばれる[Ⓝ劣-22-45,26-60,Ⓝ㊕続追-10]。
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2100年時点では、北東地区に恒星炉プラント、南東地区に海上空港、北西地区に四葉家の施設、南西地区に『仮想衛星エレベーター』の刻印魔法陣が設けられており、北西地区と南西地区は四葉家の関係者以外立ち入り禁止となっている[Ⓝメ-1-168・169]。
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原作をもとにして概略図を作成したのでこれを示す。あくまで原作から推定しただけのものであり、細かい位置や大きさ等を保証するものではない。
画像1では、三宅島の面積とピクセル数を基にして、巳焼島の面積とピクセル数をだいたい合わせている。
画像2では、島の形状を円形と仮定し、島内施設などの情報を大まかにまとめている。
概要
房総半島の南約90km、三宅島の東50kmの海上にある島[Ⓝ劣-22-45,26-60,Ⓝ㊕続追-9]。東京から見ると、南方180km(または190km)の位置にある[Ⓝ劣-27-89,Ⓝ㊕続追-9]。
黒い岩と砂の溶岩原(玄武岩)で覆われている[Ⓝ劣-22-47,26-62,Ⓝ㊕続追-39]。
島には、二つの火口がある。
島の西に位置する低い火山は西岳という。2000年代に島として観測されたのは、この山である[Ⓝ㊕続追-17]。
2020年代、西岳の東山麓から溶岩が噴出し、斜面に従って島の東側に溶岩原が広がった。この新しい火口は「東岳」と呼ばれていて、現在の巳焼島のほぼ中央に位置している[Ⓝ㊕続追-17]。
2092年末時点では、島の面積は7km2だったが、2093年1月の海底火山活動によって8km2に広がった(国立市とほぼ同じ)[Ⓝ劣-22-47,26-60,Ⓝ㊕続追-10・69]。
2097年においても、小規模な火山活動が続いている[Ⓝ劣-26-64]。
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巳焼島は、東道青波を通じて四葉家の私有地となっている。名義上は東京に本社を置く不動産会社の持ち物だが、その不動産会社は間に数段階を挟んで四葉家が全株式を支配している[Ⓝ劣-22-46,26-60,28-198]。
一種の治外法権領域になっており、魔法を使っても咎められることはない[Ⓝ劣-32-248]。
全島が私有地だが、関東州に所属する日本の領土である[Ⓝ劣-31-52]。
2097年以降、開発が急ピッチで進み、島内の風景は様変わりした。島の実質的所有者が四葉家という点に変わりはないが、インフラ整備の資本は四葉家以外から大量に流入している[Ⓝメ-1-32]。
施設
巳焼島基地
第三次世界大戦時には国防海軍の補給基地が置かれたこともあったが(巳焼島基地)、2050年代の度重なる噴火で放棄された[Ⓝ劣-22-45・46,26-61,Ⓝ㊕続追-10]。巳焼島軍事刑務所
巳焼島軍事刑務所は、島の西側の海岸地域に置かれている刑務所。西岳の西側にある[Ⓝ劣-22-47,26-62,Ⓝ㊕続追-10・17]。巳焼島監獄とも呼ばれる。 第三次世界大戦終結後、軍民を問わない魔法師専用の秘密刑務所になり、その管理は四葉家に委託された(四葉家以外には、強大な力を持つ魔法師犯罪者を完全に管理できなかった)[Ⓝ劣-26-61]。
つまり四葉家は、秘密刑務所の業務を引き受けることで、巳焼島を取得した[Ⓝ劣-26-61]。
管理は真柴家が行っている[Ⓝ劣-26-63]。
2093年1月に島の東側で起こった噴火をきっかけに移設が検討され、2095年には移転先が決まった。2097年5月には新たな秘密刑務所が完成し、囚人の移動も完了した[Ⓝ劣-26-61]。
この刑務所の監督者用の建物はしばしば来客用にも使われており、司波達也と司波深雪も中学時代に泊まったことがある[Ⓝ㊕続追-15]。
四葉家の実験施設
2097年4月時点において、巳焼島は四葉家の実験施設に造り替える予定になっている[Ⓝ劣-22-46]。
これは、旧第四研から引き継いだ四葉本家の研究施設が老朽化してきたためである[Ⓝ劣-22-47]。
また、名目上は国防軍の研究所となる予定になっている[Ⓝ劣-22-48]。
この実験施設は、島の東側、北東海岸部に建設された(東部中層ビル群)[Ⓝ劣-26-61・63,27-233・234・239]。
ここには感応石の精製工場や大型電算センターなどが置かれている[Ⓝ劣-26-63]。
感応石精製ラインは、CAD工場の中に入っている[Ⓝ劣-26-100]。
CAD工場の隣には研究施設が建てられており、CADの調整施設はこの中に入っている。ヘッドセットと両手を置くパネルで使用者のデータを取る通常の調整装置もあるが、精密測定を行うための寝台タイプの調整装置もある[Ⓝ劣-26-100・101・104]。
これらの研究棟は、FLTの新研究拠点という位置づけになっている[Ⓝ劣-27-60]。
CAD開発研究棟は、2097年5月に稼働を開始した[Ⓝ劣-27-234]。
恒星炉プラント
四葉真夜は2097年5月、司波達也のESCAPES計画を受けて、四葉家の巳焼島研究施設建設計画の一部を変更し、恒星炉プラントを誘致することにした[Ⓝ劣-24-122]。このプラントは、島の東側(北東沿岸部)、四葉家実験施設の隣に建設された[Ⓝ劣-26-61・63,27-239]。
プラントを囲む塀やフェンスはない。これは、島そのものが私有地だからである[Ⓝメ-1-173]。
職員用の宿舎(3階建て)は、すぐそばに建てられている。デイリー利用可能なサービスアパートメントであり、ロビーやフロントは無い[Ⓝメ-1-172・173]。
2097年8月時点で、既に一部が稼働を始めている[Ⓝ劣-32-161]。
2100年5月時点においては、恒星炉が産み出した電気を本州に送電する海底ケーブルは、まだ敷設途中である[Ⓝメ-1-181]。
四葉巳焼島支部
四葉巳焼島支部は、四葉家の第二の本拠地[Ⓝ劣-26-63]。島の北西地区に置かれた四葉家の施設群[Ⓝメ-1-88]を指してこう呼ばれることもある[Ⓝメ-3-123]が、「四葉家の第二の本拠地」という本来の意味合いを考慮すれば、北東地区の四葉家実験施設を含めた巳焼島全体を指す場合もあるものと思われる[管推]。
元監獄の管理棟・居住棟(双子ビル)
管理棟は、監獄の管理スタッフが駐在していた8階建てのビル[Ⓝ劣-30-73,31-56,Ⓝメ-3-123]。
正式名称は「巳焼島管理ビル」。巳焼島の中枢機能が詰め込まれている[Ⓝメ-3-123]。
島の管理、島内および周辺海域の監視、自衛のための情報処理・通信施設(通称「指令室」)を収めている[Ⓝメ-3-112]。
もとは監獄の脱走監視施設だったものを私設防衛指令室に改修した[Ⓝ劣-31-177]。
2097年8月4日の巳焼島事変において、司波深雪はここのシステムを用いて『氷河期』を行使した[Ⓝ劣-31-239∼241]。
また、地下には魔法の研究施設もあるが、これは2100年時点では司波達也の個人研究室となっている[Ⓝメ-2-79,3-112]。
管理棟に隣接する8階建てのビルは、元管理者の居住棟。管理棟と一体化している[Ⓝメ-3-123]。
正式名称は「巳焼島第四ビル」。「第四」というものの、第一・第二・第三ビルは存在しない[Ⓝメ-3-123]。
最上階には、四葉真夜の専用宿泊室と、司波達也・司波深雪が別宅として使用する部屋が用意されている[Ⓝ劣-31-56,32-236]。後者の床面積は140m2、仕様は4LDKとなっている[Ⓝ劣-31-102,Ⓝメ-1-191]。
2097年のリーナの居室は7階にあり、本人曰く「ホテルというよりコンドミニアム」「スターズの宿舎より快適かもしれない」[Ⓝ劣-26-64・66,27-186,31-62]。2100年時点では、桜井水波が以前使っていた部屋に泊まっている(4LDK)[Ⓝメ-1-191]。
黒羽亜夜子なども、7階の居室を使用している[Ⓝメ-1-205]。
新発田勝成は、堤琴鳴とともに1階の居室に住んでいる[Ⓝ劣-31-56]。
住居だけでなく、日用品店舗や訓練室、レクリエーション室も備わっている[Ⓝ劣-26-64]。
屋上にはヘリポートがある[Ⓝ劣-32-161]。
地下にはシェルターがあり、民間人用のものとVIP用のものに分かれている[Ⓝ劣-31-178・179]。
四葉家内部では、この双子ビルをまとめて「巳焼島支部」と呼ぶことが多い[Ⓝメ-2-78,3-123]。
ここは四葉家の司令塔の一つであり、軍事施設に匹敵する情報インフラが備わっている[Ⓝ劣-31-106]。
またこの管理棟のスタッフは、有事には軍ならば司令部に相当する役目を果たす[Ⓝ劣-27-241]。
居住棟の隣のビル
四葉家のスタッフ用ビル。藤林響子の社宅はここに入っている[Ⓝメ-1-88]。造りや内装が安っぽいということはなく、藤林響子のセンスで判断しても十分に暮らしやすそうなものになっている[Ⓝメ-1-88]。
地下施設
巳焼島の地下には、地底港とでも呼ぶべき秘密施設がある。これは、偵察衛星や成層圏プラットフォームの監視を搔い潜って海中に出るためのものである[Ⓝ劣-30-204,31-58]。
また、居住棟と北部の空港を結ぶ、個型電車に似た要人専用地下鉄が走っている[Ⓝ劣-30-333∼335]。
仮想衛星エレベーターの刻印魔法陣
島の南西部には、『仮想衛星エレベーター』用の大規模な刻印魔法陣が地下30cmに隠される形で埋め込まれた[Ⓝ劣-32-287,Ⓝメ-1-100]。
その直径は200m[Ⓝ劣-32-292,Ⓝメ-1-100]。
なお、仮想衛星エレベーターの運転要員は、巳焼島に常駐している[Ⓝメ-3-105]。
その他の施設
島の北部の海上空港
2093年ごろに運用されていた海上空港[Ⓝ㊕続追-65・70]。
2097∼2100年においてどうなっているかは不明。
島の北部の飛行場
2093年には無かったが、2097年には島の北部に短い滑走路を備えた飛行場が完成している[Ⓝ劣-26-62]。
大型機が離着陸できる長さは無いが、VTOLやSTOVLでなくても50人乗りクラスの小型ジェットまでなら十分に離着陸できる[Ⓝ劣-26-63]。
滑走路の脇にはガレージがある[Ⓝ劣-26-71]。
ターミナルビルもある[Ⓝ劣-30-249]。
深夜であっても稼働している[Ⓝ劣-30-335]。
西太平洋海上空港
西太平洋海上空港は、2097∼2100年の間に作られた空港。島の北部に造られていたものではなく、島の南東沿岸に浮かぶL字型のメガフロートに築かれた海上空港[Ⓝメ-1-32]。直角に交わる2本の滑走路はどちらも4,000m級で、2100年時点で離着陸する機体は小型機・中型機だけだが、その気になれば大型旅客機も就航することができる[Ⓝメ-1-32]。
海上空港と島の間には吊り橋が設けられており、島側には、2099年10月ごろに完成したばかりの空港ビルがある[Ⓝメ-1-32]。
空港の近くには、外部の来訪客用ホテルが複数建てられている[Ⓝメ-1-172・189]。
空港の周囲には、グルリと囲む形でフェンスが設けられているが、有刺鉄線であったり高圧電流が流れていることは無い。これは国内法の改正により「建物の無い敷地内への侵入であれば不法侵入罪にならない」という欠陥が解消されていることの影響である[Ⓝメ-1-173]。
北東岸の港
2097年ごろに新しく建設された港[Ⓝ劣-30-194]。
2100年時点では、南東地区に西太平洋海上空港ができたことにより、海路で島に出入りする人間はほとんどいなくなったが、貨物船は活発に出入りしている[Ⓝメ-1-181]。
東部宿泊施設
「落陽丸」沈没事件のお見舞いに訪れた千葉エリカたちは、島の東側にあるゲストルームに宿泊した[Ⓝ劣-30-258]。淡水化施設
島の北部の飛行場に隣接している[Ⓝ劣-26-62]。
地熱発電所
中央の山裾に建設された[Ⓝ劣-26-62]。
巳焼島の病院
島の東側には、集中治療室を備えた病院が置かれている[Ⓝ劣-30-203・249]。
この病院の壁は電磁波を遮断する素材で作られている[Ⓝ劣-30-213・214]。
セキュリティは、国防陸軍情報部をして「異常」と言わしめるほどのものであるらしい[Ⓝ劣-30-257]。
交通
- 2097年時点では、鉄道やモノレールは無い[Ⓝ劣-26-63]。
- 2097年時点で、北部飛行場から巳焼島軍事刑務所に続く道路が敷設されている。その左右には、以前通りの溶岩原と岩だらけの海岸が続いている[Ⓝ劣-26-64]。
同様に、東側の施設群に続く道路も敷設されている[Ⓝ劣-30-249]。
これらの、北岸から東西に延びる車道は見晴らしが良い[Ⓝ劣-31-222]。 - 「落陽丸」は、巳焼島の小型艇[Ⓝ劣-30-195・196]。
2097年7月20日、「落陽丸」沈没事件が起こり、沈没した[Ⓝ劣-30-203]。 - 2100年時点では、ロボットカーが運用されている[Ⓝメ-2-117]。
食糧倉庫
北東部海岸線から約50m離れた位置には、食糧倉庫が置かれている[Ⓝ劣-31-200]。
組織
巳焼島水上警察
巳焼島には水上警察が駐在している(巳焼島水上警察署)。この警察に所属している人員は、表向きの身分としては公務員だが、構成員の全てが四葉家配下の魔法師で固められている[Ⓝ劣-27-239,30-258]。
巳焼島守備隊
巳焼島には守備隊が置かれている(巳焼島守備隊)[Ⓝ劣-27-239]。
守備隊の役割は、2097年7月時点では真柴家配下の魔法師が担っている。彼らは巳焼島軍事刑務所が稼働していたころから引き続き島の警備と防衛を担当している。真柴家の血族こそいないが、収監されていた凶悪犯を力尽くで抑え込んできた実績を持つ魔法師である[Ⓝ劣-27-241]。
2097年7月10日、守備隊の要員が真柴家から新発田家に入れ替えられた。これは、前々日に起こった巳焼島襲撃事件で少なくない怪我人が出たための措置でもあるが、(それ以上に)島の役目が監獄から四葉家の研究拠点に替わったためであり、以前から決まっていたことだった(真柴家は精神干渉系魔法による監視・追跡を得意とするのに対し、新発田家は殺し合い・壊し合いを得意としている)[Ⓝ劣-28-198,管補]。
歴史
- 2001年 巳焼島誕生
- 時期未詳 国防海軍基地(巳焼島基地)稼働開始
- 2050年代 噴火が連続。基地を放棄
- 2065年以降 巳焼島軍事刑務所を島の西岸に建設。稼働開始
- 2093年1月 噴火が発生。刑務所移転を検討開始
- 2095年 刑務所移転先決定
- 時期未詳 四葉家の新実験施設を建設する計画が進行。北部飛行場、淡水化施設、地熱発電所、東部中層ビル群を建設
- 2097年5月 新刑務所完成・囚人を移動。恒星炉プラントの誘致が決定・建設開始
- 2097年7月8日 巳焼島襲撃事件勃発
- 2097年8月4日 巳焼島事変勃発
- 2100年5月1日 株式会社ステラジェネレーター設立
その他
- 司波達也は、この島で殺人の訓練を受けていた[Ⓝ㊕続追-12]。
- 司波深雪は、中学1年生の冬休み(2092∼2093年)に、巳焼島で『ニブルヘイム』の練習をしていた[Ⓝ劣-22-46・47,Ⓝ㊕続追-10・17]。
- 沖縄海戦後、柳連は巳焼島軍事刑務所に転属となった[Ⓝ㊕続追-49]。
- スターズ叛乱事件を受けて日本に脱出したアンジェリーナ=クドウ=シールズは、しばらく巳焼島に匿われた[Ⓝ劣-25-268・269]。
- 北東部にあるFLT研究棟は、元監獄の居住棟とは直線距離で2kmも離れていない[Ⓝ劣-27-61]。
- 巳焼島の施設の食事は美味しい。FLT研究棟の食堂も、社食とは思えないほど、料理に力が入っている[Ⓝ劣-27-62]。
- 巳焼島には、2097年7月時点で、パラサイト探知用レーダーが実験的に設置されている[Ⓝ劣-27-241]。
- 島の北と東の海岸部は、護岸のために消波ブロックが積み上げられている[Ⓝ劣-31-192]。
- 2100年時点において、四葉家の関係者以外立ち入り禁止となっている地区、すなわち、四葉家の施設がある北西地区、および『仮想衛星エレベーター』の刻印魔法陣が埋め込まれている南西地区は、島の面積の30%を占めている[Ⓝメ-1-168・169]。
- 2097年からの3年間で、島の施設は急速に充実した[Ⓝメ-1-188]。
- 巳焼島は一種の治外法権領域であるため、パラサイトと化した九島光宣や桜井水波であっても、短期間なら匿うことができる[Ⓝメ-2-44]。
- 調布市の東京本部と巳焼島支部の間は、専用回線でつながれている[Ⓝメ-2-181]。