術式解散〈グラム・ディスパージョン〉

©2013 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/魔法科高校製作委員会

術式解散〈グラム・ディスパージョン〉は、起動式魔法式などといった想子情報体の構造それ自体を直接『分解』する対抗魔法[Ⓝ劣-2-254・259,3-99・102,4-314,9-261,18-153]
魔法の天敵とも言える、魔法無効化の情報体分解魔法[Ⓝ劣-23-227,29-147]

魔法の本体である魔法式の構造情報を分析し、組織化された想子サイオン粒子の結合を解き散らして構造を破壊し、均質な想子のノイズ(意味のある構造を持たない想子粒子群)に還元する[Ⓝ劣-4-8,13-304,28-56]

無系統魔法、もしくは発散系統魔法に分類される[Ⓝ劣-8-93,Ⓕ来-ADW-094]

情報体の構造に直接干渉する超高等魔法であり、実験室レベルならともかく、実用レベルで使いこなせる魔法師は確認されていない[Ⓝ劣-3-99,22-169,25-185]

司波達也が得意としている[Ⓝ劣–]が、分解魔法なので機密指定されている[Ⓝ劣-4-314]

概要

魔法式事象に付随する情報体エイドス)に作用するという性質上、その情報構造がイデアに対して露出していなければならず、それゆえ魔法式そのものに対する干渉を防ぐ手立ては無く、『術式解散』には抗えない[Ⓝ劣-4-8,24-243,28-151]

その反面、魔法式を『分解』するためにはその構造を認識できなければならない[Ⓝ劣-4-8]
コンマ数秒で発動を完了する現代魔法において、魔法の発動前に魔法式を解析するには「視る」だけで魔法式の構造を認識できる特殊な情報処理能力が必要となる(『精霊の眼』[Ⓝ劣-4-8]

それゆえ、あらかじめ使用される魔法が分かっている実験ならともかく、実用化は不可能と一般に考えられている[Ⓝ劣-4-8]

特徴

情報の取得

『術式解散』を行使する際、対象とする魔法式情報を取得する。このとき、魔法式を放った術者の情報を取得することができる。

たとえば横浜事変において、化成体に対して『術式解散』を行使した司波達也は、化成体を作り出した術者の情報を掴んでいる[Ⓝ劣-7-226]

また司波達也とアレクサンダー・アークトゥルスとの戦いにおいて、『術式解散』行使時に、その第1段階で「魔法式に記述された情報を取得する」旨が記されている。ここで取得する情報には、魔法の内容のほか、魔法のオーナーに関する情報も含まれる[Ⓝ劣-28-56]

一方で、これを逆手に取られる恐れもある。九重八雲との戦いにおいては、司波達也は『術式解散』ではなく『術式解体』を選択するケースがあった。これは『術式解散』の行使に必須である魔法式を読み取るプロセスに、罠が仕掛けられている可能性を警戒したためである[Ⓝ劣-29-244・245]

魔法の対象となるもの

魔法式起動式だけでなく、想子情報体であれば『術式解散』で分解することができる。

たとえば、霊子情報体の核を持たない想子情報体である人造精霊は、魔法式と同様に完全に『分解』できる[Ⓝ劣-14-95]

また霊子情報体支持構造は想子情報体であり、分解することができる(『アストラル・ディスパージョン』[Ⓝ劣-28-75]

『キャスト・ジャミング』も、この魔法には通用しない。『キャスト・ジャミング』は魔法式の通路に立ち塞がる障碍物だが、『術式解散』はこの障碍物そのもの(ノイズとして作用するサイオン波の構造)を分解する[Ⓝ劣-2-262,管補]

魔法の照準

司波達也は、それが一つの魔法式であれば、どんなに大規模なものであっても処理できる[Ⓝ劣-21-255,23-243]

また、記述内容が同じであれば、何百、何千の魔法式であろうと、一つのものとして処理できる[Ⓝ劣-21-255,23-243]
同じ種類の魔法が同時に展開されていれば、それらを魔法的に同じものとして処理することができる(一括認識・一括照準[Ⓝ劣-21-255,23-243]

しかし、魔法の座標が違うだけならばまだしも、発動タイミングまでずらされると、情報的に同じものとして処理することはできない[Ⓝ劣-21-255,23-243]

異なる種類の魔法が同時展開ではなく不規則に次々に繰り出された場合にも、一度に消し去ることはできない[Ⓝ劣-21-255,23-243]

攻防における難点

「相手の魔法式を解析してこれを『分解』する」というシステム上、『術式解散』による防御は、どうしても後手に回ってしまう[Ⓝ劣-28-67]

それゆえ、魔法の発動速度が同等の相手に対しては防御一辺倒になることもあり得る[Ⓝ劣-29-257,32-196]

関連する魔法

『トライデント』

『トライデント』の第1工程・第2工程は、想子情報体を分解する『術式解散』であると考えられる[管推]

『ゲートキーパー』

司波達也開発した『ゲートキーパー』は、魔法師ゲートをターゲットとする『術式解散』である[Ⓝ劣-23-227]

『アストラル・ディスパージョン』

『アストラル・ディスパージョン』開発にあたっては、「情報体に伴う情報体・・・・・・・・・の分解」という点で『術式解散』に近く、司波達也はこれを応用した[Ⓝ劣-28-75]

間接的『術式解散』

間接的『術式解散』は、攻略に苦慮していた九島光宣『仮装行列』 パレード を突破するために、司波達也が2097年にチャレンジした情報体分解魔法[Ⓝ劣-28-149]

魔法を行使すると、魔法によって改変された事象情報とは別に、「魔法でエイドスを書き換えた」という情報が残る[Ⓝ劣-28-147・148]
九島光宣は『仮装行列』を行使し、「桜井水波の位置情報」を書き換えた。このとき、「『仮装行列』の魔法式」が「桜井水波の位置情報」を書き換えた、という情報が「世界」に記録される(=情報体の活動記録)[Ⓝ劣-28-149・219]

この改変の痕跡を解析すれば、位置情報を偽装している『仮装行列』 パレード の魔法式に関する情報が手に入る[Ⓝ劣-28-149]
事象改変の痕跡を(『精霊の眼』 エレメンタル・サイト で)遡ることで、『仮装行列』 パレード の魔法式に分解魔法を行使することができる[Ⓝ劣-28-152・153,管補]

その具体的な手順は以下の通り[Ⓝ劣-28-156・157]

  1. 書き換えられた位置情報から、書き換えを行った魔法の痕跡を読み取る。
  2. イデアに記録された痕跡を分析し、魔法(『仮装行列』 パレード )のプロセスを推測する。
  3. 推測したプロセスからさらに、魔法式の構造を推定する。
  4. 構造を推定した魔法式に、所在不明のまま狙いをつけ、『分解』する。

しかし、これは間接的な解析であり、魔法式を直接観測するのに比べれば、どうしても精度は落ちる[Ⓝ劣-28-153]
司波達也の『分解』は構造情報を精確認識することで成り立っているものなので、情報の精度が落ちれば効力も低下する[Ⓝ劣-28-153]

また、曖昧な認識を基に魔法を行使すると、反動として術者の精神に大きな負荷が掛かるという問題もある[Ⓝ劣-28-157]
司波達也は、9度目のチャレンジを行ったところで『魔法演算領域のオーバーヒート』の兆候を感じとっている[Ⓝ劣-28-158・159]

実際にこの魔法を実行したところ、『仮装行列』 パレード の魔法式は、まるで風化したように脆くなった。またその際、九島光宣は精神に強い圧迫感を感じとっている[Ⓝ劣-28-149・150]
司波達也自身は「想子サイオンの結合にダメージは与えているが、全てを切り離すには至っていない」と推測している[Ⓝ劣-28-153]

対『仮装行列』用術式解散

対『仮装行列』用術式解散は、九島光宣が使う『仮装行列』 パレード 魔法式『分解』するための魔法[Ⓝ劣-29-107・108]

九島光宣の、つまり九島家『仮装行列』 パレード には、アンジー・シリウスが使うそれとは大きく異なる点がある。それは「人造精霊化」の工程を経ていることである[Ⓝ劣-29-40]

九島家の『仮装行列』 パレード では、編集・加工したエイドスのコピーを人工の独立情報体に変換することで、術者が魔法発動後に、維持・修復・改変・移動などの操作ができるようになっている[Ⓝ劣-29-40]

この仕組みを知った司波達也は、九島家の『仮装行列』 パレード の魔法式が直接見えていなくても無力化できるような『術式解散』の起動式開発した[Ⓝ劣-29-40・41]
より具体的には、『仮装行列』 パレード によって生み出されている幻影を元にして、それを構成する魔法式を分解する魔法である[Ⓝ劣-29-108]
これは、人造精霊化のプロセスを踏まえて起動式を組み直すことで、初めて可能となった魔法といえるだろう[管推]

その他

  • 司波達也発動速度は非常に早く、パラサイトよりも早い[Ⓝ劣-11-152]
  • 「トライデント」には、『術式解散』の起動式が格納されている。この起動式は、通常の起動式とは性質が異なる想子情報体である[Ⓝ劣-13-304]
    ただし、どう異なるのか、等の詳細は不明。

 

 

 

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