沖縄海戦【おきなわかいせん】は、沖縄本島近海において、2092年8月11日に大亜連合と日本の間で起こった戦い[Ⓝ劣–]。
「沖縄侵攻」「沖縄防衛戦」などとも呼ばれる[Ⓝ劣–]。
背景
2089年、USNAと新ソ連の間で、ベーリング海峡を挟んだアークティック・ヒドゥン・ウォーが勃発した。これによって新ソ連の極東方面における魔法師戦力は壊滅状態となり、軍事的プレゼンスが数年にわたり大きく低下。北方の脅威が薄れたことは、大亜連合による沖縄侵攻の大きな動機となった[Ⓝ㊕プラズマ-7]。
経過
2092.08.05(火)
夕方、大亜連合軍の潜水艦が日本の領海(伊江島の南南東付近)に侵入し[Ⓝ劣-8-83・84]、セーリング中の司波達也らに魚雷を撃つ[Ⓝ劣-8-85・86・96]。
通信妨害がされていたことから、達也は使われた魚雷を発泡魚雷と推測(実際には『精霊の眼』による確認もしていたと思われる)[Ⓝ劣-8-96・97,管推]。
また、その目的について「目撃者を残さぬために我々を拉致しようとした」と推測している。[Ⓝ劣-8-96]。
その後、国防軍の沿岸警備隊が駆けつけたものの、不審潜水艦は姿をくらませた後だった[Ⓝ劣-8-92]。
2092.08.11(月)
早朝、潜水ミサイル艦を主兵力とする大亜連合海軍の潜水艦隊が奇襲を仕掛け、沖縄西方海域から侵攻を始める。宣戦布告は無く、半浮遊状態で慶良間諸島を攻撃する[Ⓝ劣-8-146・150・153,Ⓒ追憶-2-114]。
四葉真夜が手を回し、司波深夜、司波深雪、桜井穂波、司波達也が恩納基地のシェルターに避難する[Ⓝ劣-8-148∼153]。大亜連合海軍が慶良間諸島近海の制海権を握る[Ⓝ劣-8-179]。
潜水揚陸部隊が名護市北西の海岸に上陸する[Ⓝ劣-8-179]。
那覇市から名護市にかけて、大亜連合と内通したゲリラによって兵員移動の妨害を受ける[Ⓝ劣-8-179]。
恩名基地内で金城ディックらレフト・ブラッドによる反乱が発生。深雪・深夜・穂波が銃で撃たれるが、達也の『再成』により一命をとりとめる[Ⓝ劣-8-158・163∼177,20-63]。
深夜らがシェルターから防空指令室に移動する[Ⓝ劣-8-179]。
報復のため、達也が「軍の指揮には従わないが、侵攻軍という敵が同じで、殲滅という目的が同じであるなら、肩を並べて戦う」旨を宣誓して戦列に加わり[Ⓝ劣-8-180・181・185]、魔神と化して戦場を闊歩する[Ⓝ劣-8-203]。
ただし達也は後日、この宣誓について「あの場限りのもの」と述べている[Ⓝ劣-26-120]。
達也によって水際まで追い詰められた侵攻軍が、橋頭保の維持を諦め海上への撤退を開始するが、強襲上陸艇が乗り込んだ兵員ごと消され、ついに降伏する[Ⓝ劣-8-229・232・233]。
なおも攻撃を続けようとする達也を、柳連が力ずくで抑える[Ⓝ劣-8-234・235]。
艦隊が海岸から20km地点に到達した時点で、達也が「射程伸長術式組込武装一体型CAD」を使って『質量爆散』を行使し、大亜連合艦隊を殲滅する[Ⓝ劣-8-213・238・239・247・250・252・260]。
対物障壁魔法で艦砲射撃を全て叩き落とし、達也を守り切った桜井穂波が、魔法演算領域のオーバーヒートによって戦死する[Ⓝ劣-8-251∼256・261]。時期未詳
沖縄海戦と同調する形で、新ソ連による佐渡島への侵攻が行われる(佐渡侵攻事件)[Ⓝ劣-4-162,13-236・237]。
戦後の影響
沖縄での戦いには日本が勝利したが、講和条約は締結されておらず、日本と大亜連合は休戦状態にあるだけであり、法的には交戦関係が継続されている(休戦協定すら結ばれていない)[Ⓝ劣-4-412,7-323]。
横浜事変、およびそれに続く鎮海軍港での艦隊動員はその現れだと見られている[Ⓝ劣-7-322・323,8-213]。
日本
沖縄防衛戦における完勝により、日本の国際的発言力は向上した。それ以来、以前の劣勢な外交環境に起因する内政動揺を反映した過度の管理重視風潮への反動から、過度に自治を重視する社会的傾向が表れている(一部の私立高校では、さらにその反動として管理の厳格さが父兄の人気を集めたりしている)[Ⓝ劣-1-135・136]。
またこの勝利以降、(軍人が使用する)「自分」という一人称を使う学生が一般的になった[Ⓝ劣-2-83]。
法的には交戦状態が続いているにも関わらず、大亜連合の工作拠点となっている横浜中華街にメスを入れる政治家は、2095年時点では1人もいない[Ⓝ劣-4-412・413]。
外務省は、日本中から腰抜けの罵倒を浴びながらも必死で非軍事的解決を巡って奔走していた[Ⓝ劣-10-164]。易々と制海権を奪われた国防海軍は、佐渡でも新ソ連の上陸を許し(佐渡侵攻事件)、横浜事変直後の鎮海軍港艦隊の動きに対しても動員が遅れるなど黒星続きとなった。これは海軍上層部の焦りを招き、『精神の強制リンク』による戦略級魔法の開発という禁忌を犯すに至った[Ⓝ㊕星呼-29・30]。
司波達也の戦略級魔法による艦隊殲滅については、防衛大の研究室で行われた戦術シミュレーションにおいても、「あのとき殲滅しなければ、事態は更に悪化していた可能性が高い」という結果が出ている[Ⓝ劣-12-42]。 レフト・ブラッドはこの海戦で勇猛な戦い振りを見せ、彼らに対する偏見は緩和されたという。ただし、金城ディックら一部のレフト・ブラッドが敵を手引きしていたという事実については、国防軍によって秘匿されている(達也らも口止めに応じている)[Ⓝ劣-20-63]。大亜連合
久米島西60kmの海域(東シナ海)では、2092年までは違法操業を行う大亜連合の漁船を日本の巡視船が追い回し、そのうち両国の戦闘艦がやって来て火器管制レーダーを浴びせ合うというチキンレースが頻繁に演じられていた[Ⓝ劣-20-213・214]。沖縄海戦以降は、大亜連合によるこうした挑発行為はピタリと影を潜め、2096年の日亜講和条約締結後は、大亜連合の船も表面上紳士的に海上を行き交っている[Ⓝ劣-20-214]。 大亜連合軍では、司波達也が正体不明の魔人「魔醯首羅」として恐れられるようになる。軍上層部はその存在を否定し、その名を口にすることを兵士たちに禁じているが、兵たちでは緘口令を逃れるために「Mahesvara」という英語のフレーズで密かに囁かれ続ける[Ⓝ劣-7-262∼267,13-316]。
その他
関連性は不明だが、沖縄海戦および佐渡侵攻事件があった2092年ごろから、フィリピンの治安はますます悪化した[Ⓝ暗-2-251]。
大亜連合がフィリピンの共産ゲリラを支援している、という事情と関連しているかもしれない[Ⓝ暗-2-272,管推]。
判明している被害・戦死者
日本
- 桜井穂波が魔法演算領域のオーバーヒートにより戦死[Ⓝ劣-8-]。
- 藤林響子の婚約者が戦死[Ⓝ劣-17-72・73,19-246]。
大亜連合
- 多数の上陸部隊が戦死[Ⓝ劣-8-]。
- 高速巡洋艦2隻・駆逐艦4隻を乗員ごと喪失[Ⓝ劣-8-]。
その他
- 侵攻部隊撃退の折には、自己減速魔法を用いたパラシュート無しの空挺降下戦術が使用されている[Ⓝ劣-20-162]。
- 2097年3月24日(日)午後、沖縄海戦被害者の彼岸供養式典が行われた[Ⓝ劣-20-2・35・39・40・60・61]。
また27日(水)には、同年8月に開かれる予定となっている大規模な慰霊祭の準備会議が開かれた[Ⓝ劣-20-2・35・39・150]。 - 2021年10月9日現在、10周年記念HPでは沖縄海戦は8月12日に起こったことになっているが、原作では8月11日である。