術式解体〈グラム・デモリッション〉

©2019 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校2製作委員会

術式解体〈グラム・デモリッション〉は、エイドスに貼り付いた魔法式を、想子サイオンの圧縮弾で強引に吹き飛ばす技術[Ⓝ劣-4-313,24-243]

想子波の圧力で術式を無理やり解除する無系統魔法[Ⓝ劣-5-147]
想子圧で魔法式を対象から剝離させる対抗魔法[Ⓝ劣-12-424]
高圧の想子流を叩きつける魔法[Ⓝ劣-19-49]
物質体次元を経由する高密度の想子流で、魔法式を無理やり引き剥がすもの[Ⓝ劣-26-124,Ⓝ㊕続追-24]

最強の対抗魔法と呼ばれている[Ⓝ劣-4-8・221]
司波達也が得意としている[Ⓝ暗-3-2]

魔法の記録マギ・グラム粉砕デモリッシュする魔法」であることから、この名が付けられた[Ⓝ劣-4-220]

使用には膨大な量の想子が必要で、規格外の想子保有量を求められるために、使える者は極めて少なく、専門の研究者であっても目にする機会は少ない[Ⓝ劣-4-221・308,5-147,12-416,Ⓝ暗-3-100]

原理

圧縮した想子サイオン粒子の塊をイデアを経由せずに対象物へ直接ぶつけて爆発させ、そこに付け加えられた・・・・・・・起動式魔法式などの、魔法を記録した想子情報体を吹き飛ばす[Ⓝ劣-4-8・220]

魔法とは、原則として定義された終了条件まで一つの魔法式で事象改変をまかなう仕組みになっており、それゆえ魔法式を剝ぎ取られると、事象改変は中止される[Ⓝ暗-3-101]。これが『術式解体』が魔法を無効化する原理である[管補]

『術式解体』は、事象改変の為の魔法式としての構造を持たない想子の砲弾であるため、『情報強化』『領域干渉』には影響されない。また、砲弾自体の持つ圧力が『キャスト・ジャミング』の影響もはね返す[Ⓝ劣-4-8・220]

物理的な作用が皆無であるゆえに、どんな障碍物でも防ぐことはできない[Ⓝ劣-4-8・221]

「解体」と名付けられているが、実態は想子流の圧力で情報体を押し流すものである。
対象が魔法式の場合は、エイドスから魔法式を剝ぎ取るように作用することで、魔法を無効化する対抗魔法として機能する[Ⓝ劣-10-122]

大抵の場合、魔法式の情報構造は剥離の際の衝撃によって破壊されるために「解体」という名が付いているが、想子流それ自体に情報体を破壊する効果は無い。それゆえ、魔法式よりも強固な構造を持つ情報体であれば、情報構造を壊されることなくただ押し流されるだけ、ということも十分にあり得る[Ⓝ劣-10-122]

使用の際には、想子をただ放出するのではなく、魔法式を吹き飛ばすに足るまで加圧する必要がある[Ⓝ劣-12-418]。このため連発は難しい。
実際に司波達也も、九校戦において一条将輝の魔法に追いつかなくなっている(それでも16発中14発は迎撃した)[Ⓝ劣-4-314]

ただし、魔法戦闘時には想子は活性化するものであり、活性化した想子であれば、加圧(圧縮)が不十分であっても、『術式解体』と同じシステムで容易に魔法式を吹き飛ばす(ただし想子保有量が大きいからこそ可能な荒技)[Ⓝ劣-18-151]

魔法式はエイドスに固着している。この固着の強さに応じて、『術式解体』が効力を発するまでにタイムラグが生じる[Ⓝ劣-24-243]

魔法の効果は、想子流の放出が終わると同時に終了する[Ⓝ劣-19-49]

想子流の浸透性を高めれば、接触して想子を流し込むのと同じ効果を発揮する。他人の想子は魔法的な異物であり、このようにして流し込まれた魔法師は、直後に魔法を発動できなくなる[Ⓝ劣-22-164]

対策

『術式解体』を無効化するためには、強力な想子流で迎撃するか、あるいは想子サイオンの壁を何層にも重ねて防御陣を作る必要がある[Ⓝ劣-4-221]

欠点

『術式解体』の欠点は、射程距離が短いことである[Ⓝ劣-4-221,28-68,Ⓝ暗-3-100]

原則として、魔法は物理的な距離に縛られないが、『術式解体』はその例外である。想子サイオンを操作する技術(=無系統魔法)は、本当に物理的な距離の制約を受ける。その限界値は術者によってまちまちで、この距離を超えると途端に想子流が減衰し、想子情報体破却の効果を失ってしまう[Ⓝ劣-28-68,Ⓝ㊕続追-25]。減衰する理由は不明[管補]

司波達也の場合は、2097年時点での限界値は30m前後となっている。これは『術式解体』としては破格の射程距離だが、他の魔法に比べれば見劣りする。アークトゥルスも、「魔法としては話にならないくらい短い」と評している[Ⓝ劣-28-68・77・78,Ⓝ暗-3-242]

若宮刃鉄の場合は、2096年11月時点で8mである[Ⓝ暗-3-231・242]。これに対し、刃鉄の雇用主となった黒羽文弥は倍の15mを求め、まずは10mまでの修行を課した[Ⓝ暗-3-243]

これ以外に欠点らしい欠点は無く、(それゆえ)実用化されているものでは最強の対抗魔法と呼ばれている[Ⓝ劣-4-221,Ⓝ暗-3-100]

副次効果

精神と肉体の連結を揺るがせる効果

大量の想子サイオン(高圧の想子流)を浴びせられた人物は、精神と肉体の連結を揺るがされることがある(肉体に影響を及ぼす「錯覚」[Ⓝ劣-8-126,28-63,Ⓝ暗-3-244]
厳密には、肉体に重なっている想子体が高圧の想子を浴びることでダメージを誤認し、ダメージが精神に及ばないよう、肉体と精神のリンクを遮断する。これは、肉体的には運動神経の麻痺となって表れる[Ⓝ暗-3-244]

『術式解体』を浴びた場合でも同様で、呂剛虎[Ⓝ劣-6-343]桧垣ジョセフ[Ⓝ劣-8-126]矢車侍郎[Ⓝ劣-21-119]西城レオンハルト[Ⓝ㊕画集-157]などがこのダメージを受けている。
ただし、普通に『術式解体』を使うだけでは肉体に干渉することはできない。相手の身体を丸ごと呑み込む程の膨大な想子流を浴びせるか、肉体と想子体の相互作用が特に強い急所(心臓丹田など)に、圧縮した想子の塊を撃ち込む必要がある[Ⓝ暗-3-244]

想子場を揺るがせる効果

高圧の想子流は、人間が纏う想子サイオン想子場)を揺るがせる。この揺らぎは気配の乱れとなって周囲の空間に波及する。これを利用して、隠れている相手をいぶりだすことができる[Ⓝ劣-29-221]

使用者

  • 司波達也
    司波龍郎は、想子保有量が非常に大きい魔法師だった[Ⓝ劣-8-27]。息子の司波達也はこれを受け継ぎ、想子保有量が非常に大きく、このために『術式解体』を行使することができている[出典?]
  • 若宮刃鉄はがね
    若宮刃鉄もまた、『術式解体』を行使することができる[Ⓝ暗-3-98]。これは、第一に刃鉄が想子保有量を重視して製造・・された調整体魔法師「鉄」シリーズであったため、第二に刃鉄が「鉄」シリーズの中でも特に大きな想子保有量を備えていたため、第三にこの特徴を活かすべく『術式解体』を修得させられたためである[Ⓝ暗-3-100]
    なお、「鉄」シリーズで『術式解体』を使えたのは、刃鉄だけである[Ⓝ暗-3-154]
  • 巻雲けんうん
    九重八雲の高弟である巻雲は、『遠当て』の達人である。運動機能を麻痺させる『遠当て』だけでなく、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のそれぞれに幻覚のダメージを与える、5種類の『遠当て』を使いこなすことができる[Ⓝ暗-3-282]

その他

  • 強引に魔法式を吹き飛ばす技術であり、強引であるが故に、その効率は極めて悪い[Ⓝ劣-4-313]
  • 干渉力の強い魔法式とは、その構造を維持しようとする力が強い想子情報体であり、これを吹き飛ばすには大量の想子サイオンを圧縮する必要がある。
    たとえば一条将輝が作り出した魔法式を破壊するためには、並みの魔法師では1日掛けても搾り出せないほどの想子を圧縮する必要がある。
    これは、司波達也にとっても大量と言える量である[Ⓝ劣-4-313]
  • 司波達也の『術式解体』について、風間玄信『遠当て』と表現し、また『点断』の効果も合わせ持っている、と指摘している[Ⓝ劣-8-129]
  • 司波達也は、『術式解体』は右手でも左手でも同じように撃てる[Ⓝ劣-10-121]。手だけでなく、肘から放つこともできるし[Ⓝ劣-12-431]、全身から放出することもできる[Ⓝ劣-18-151,Ⓐ劣1–]
  • 十三束鋼『接触型術式解体』は、『術式解体』とは似て非なる技術である[Ⓝ劣-12-419]
  • 司波達也は、想子流を細く絞り込む等の制御もできる[Ⓝ劣-16-96]
  • 司波達也の『術式解体』には、耳のすぐ近くでシンバルを力一杯鳴らされたような衝撃がある[Ⓝ劣-21-124]
  • 領域魔法では、何もない場所・・・・・・に魔法式を固定する。それゆえ、(一般的には)『術式解体』に対して脆い[Ⓝ劣-24-243]
  • 広大な領域を対象とする魔法の無効化には適していない[Ⓝ㊕続追-25]

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