2024年度春アニメ
『魔法科高校の劣等生〈ダブルセブン編〉〈スティープルチェース編〉〈古都内乱編〉』
およびそれ以降に至るネタバレが含まれます。
接触型術式解体【せっしょくがた – じゅつしきかいたい】は、自身に触れる魔法を無効化する無系統魔法[Ⓝ劣-5-147,12-416]。
術者の身体(のエイドス)を包む分厚い想子の装甲により、魔法式の侵入(=術者の身体エイドスへの投射)を阻む魔法技術[Ⓝ劣-12-424,管補]。
「術式解体」と付いてはいるが、『術式解体』と『接触型術式解体』は似て非なる技術である[Ⓝ劣-12-419]。
原理・現象
原理
魔法が作用している物体に接触して想子波を浸透させることで、魔法式を破壊する[Ⓝ劣-5-147,管補]。想子は物質を透過する[Ⓝ劣-32-195]が、想子同士はさまざまな形で相互作用する[Ⓝ劣-24-243,27-76,29-221,32-195]。
ゆえに身体の周囲に想子に作用する魔法的な力場(=高密度の想子場)を展開すれば、術者に投射された魔法式は術者のエイドスに届かず、撥ね返される[Ⓝ劣-32-195,管補]。
空気中の想子を撥ね返すことで魔法を無効化する「鎧」であり、『術式解体』を体に纏っている状態とも言える[Ⓝ劣-32-2・195,管補]。
あるいは、術式解体が「大砲」ならば、接触型術式解体は「鋼の城壁」と言える[Ⓝ劣-12-424]。
欠点は、「身体で触れなければ魔法を無効化できない」(十分な想子波を送り込むことができない)という点にある[Ⓝ劣-5-147,24-245,管補]。
また、普通の『術式解体』でも同じだが、エイドスに貼り付いた魔法式を想子の圧力で吹き飛ばすものであるため瞬時に魔法式を破壊することはできず、魔法式がエイドスに固着する強さに応じて、効力を発するまでにタイムラグが生じる[Ⓝ劣-24-243,管補]。
現象
魔法式が『接触型術式解体』に触れたときに起こった現象として、以下に具体例を挙げておく。- 十三束鋼と七宝琢磨の模擬戦において、『ミリオン・エッジ』の硬化紙片が鋼に届く寸前、鋼の全身から爆発的な想子光が迸り、硬化紙片はただの紙吹雪と化して散り散りに舞い落ちた[Ⓝ劣-12-415,管補]。
- 十三束鋼と桜井水波の模擬戦時、『接触型術式解体』を展開した鋼が水波の対物障壁に肩から体当たりすると、障壁は1秒近い時間を掛けて砕け散った[Ⓝ劣-24-239・244]。
- 司波達也の『接触型術式解体(完成形)』は、九島光宣の『仮装行列』を破壊した。これは、達也の濃密な想子が光宣の肉体に重なる想子情報体に圧し入り、『仮装行列』の魔法式を吹き飛ばしたためである[Ⓝ劣-32-211・212]。
- 達也の『接触型術式解体(完成形)』は、光宣が放った高出力の魔法の数々(人体発火、電撃、熱、冷気、圧縮空気弾 etc.)をも撥ね返した。このとき、空気中の想子(=光宣が放った魔法式)が『接触型術式解体』の想子とぶつかって、微かに想子光が舞った[Ⓝ劣-32-195・196,管補,管推]。
- 達也の『接触型術式解体(完成形)』は、九重八雲の『欺身暗気』には通用せず、魔法式は砕け散ることも吹き飛ぶこともなかった。それどころか八雲の放った「魔法式の大蛇」は、「鎧」を構成する想子の中へと浸透していった[Ⓝ劣-29-255・256,32-195・196,管補]。
十三束鋼
鋼の『接触型術式解体』
十三束鋼の「想子の鎧」は、大量の想子を無秩序に纏っているだけのものであり、情報体としての構造を持たない[Ⓝ劣-12-424]。2096年4月に行われた模擬戦において、達也の視界には(つまり情報の次元においては)「濃い雲に覆われて輪郭がハッキリしない鋼の本体」が映っていた[Ⓝ劣-12-423・424,管補]。
特徴
近接戦闘で強い
魔法戦闘において鋼に触れられた魔法師は、自身を守っている対抗魔法(おそらく情報強化や領域干渉などのこと)を解除され、無防備な状態で鋼と相対することになる[Ⓝ劣-5-148,管補,管推]。『分解』も通用しないが……
鋼の「鎧」は無秩序で情報体としての構造を持たないため、『術式解散』で破壊することはできない[Ⓝ劣-12-424・433,管補]。
ただし鋼が『セルフ・マリオネット』を使用した際には、この魔法の実行を阻害しないよう、「鎧」の想子構造は秩序だったものへと変化した[Ⓝ劣-12-431,管補]。
『セルフ・マリオネット』実行時には術者の全身を一つの魔法式が覆うが、これは非常に複雑な術式である。これを邪魔しないようにするためか、無秩序に身体の周りを巡っていた想子は組織化・秩序化され、『セルフ・マリオネット』以外の術式を寄せ付けない情報体に構築し直される[Ⓝ劣-12-433,管推,管補]。
このように構造化した「鎧」であれば、『接触型術式解体』の想子群にも『術式解散』が通用するようになる[Ⓝ劣-12-433,管推,管補]。
なお2096年4月に行われた達也と鋼の模擬戦において、達也が『分解』(『術式解散』)したのは『接触型術式解体』のみで、『セルフ・マリオネット』に対しては何もしていない。「鎧」を剝がされた鋼が『徹甲想子弾』を撃ち込まれて後ろに大きく吹き飛ばされたのは、継続実行されていた『セルフ・マリオネット』の副作用である[Ⓝ劣-12-434,管補]。
鋼の体質
十三束鋼は、遠隔魔法を上手く使えない。これは、鋼の「核」が非常に強固で想子を強く引き付けており、普通は外へ流れ出る想子が本体から離れようとしないためである。ゆえに『接触型術式解体』は、鋼にとっては呪わしい体質の産物でもある[Ⓝ劣-12-429・430,管補]。◇◇◇
鋼の「鎧」を構成している想子群は、想子を揺らす魔法(想子に対する無系統の振動魔法)によって揺らすことができる[Ⓝ劣-12-427・429,管補]。
この振動魔法は鋼の「壁」に跳ね返されるが、振動が消滅する瞬間、壁そのものに波を伝えた。その波が想子粒子を震わせて想子の力場を膨らませ、密度が低下した[Ⓝ劣-12-429]。
このとき鋼は、揺らされた自身の「場」(想子場)を騒音あるいは煙幕のように感じ取り、感覚を鈍らされている[Ⓝ劣-12-427,管補]。
司波達也
接触型術式解体の「完成形」
司波達也は2097年には、身体から50センチを境界とした「完全に均質な高密度の想子層」を生成できるようになっている[Ⓝ劣-32-2・195]。これについて司波深雪は、達也が一滴の想子も漏らしていない点に触れつつ「接触型術式解体の完成形」と述べている[Ⓝ劣-32-195]。 肉体に直接干渉する魔法だけでなく、電撃や熱、冷気、圧縮空気といった、改変された物理現象によって攻撃する魔法も、発動地点が身体から50センチ以内の場合には未発に終わる[Ⓝ劣-32-197]。
達也は自身が得意としている想子操作の技術を用いて、十三束鋼の体質的な特殊技能と同じ効果を持つ技を編み出した[Ⓝ劣-29-243,管補]。
ただし、鋼の『接触型術式解体』は体質任せの力業であり、「混沌」を装甲としているが、達也のそれは高度な技術によって生み出されたものである[Ⓝ劣-32-2・195,管補]。
イデアにまで及ぶ「鎧」
司波達也の「鎧」は、物質体次元だけでなく情報体次元にも濃密・均等に展開された。これは「(物質次元において)想子に包まれている」という情報が、情報次元でも再現されるためである[Ⓝ劣-32-207,管補]。情報次元において再現されたこの想子層は、精神に働きかける能動的な系統外魔法をも遮断する。そのような系統外魔法は「情報次元を通じて精神に作用する」(=情報体次元の想子情報体を通じて精神体次元の精神本体、霊子情報体にアクセスする?)が、そうした魔法式は情報次元のエイドスに届く前に想子層で止められてしまう[Ⓝ劣-32-207,管補,管推]。
ただし『鬼門遁甲』のような、受動的な系統外魔法の影響は遮断できない(通常の『鬼門遁甲』は、達也が自ら取り込んだ情報を通じて作用するため)[Ⓝ劣-32-206・207,管補]。
備考
- 高密度の想子波を身体に流し込まれると、生体波動をかき乱されて立つこともできなくなる[Ⓝ劣-5-148]。
- 『ミリオン・エッジ』は、魔法による持続的な事象改変によって単なる紙片を空飛ぶ刃に変える魔法なので、『接触型術式解体』は天敵と言える[Ⓝ劣-12-416]。
- (十三束鋼の肉体を対象とした)『雲散霧消』は、『接触型術式解体』を展開している鋼には通用しなかった。これは、魔法が効果を発揮するためには、最低限魔法式が魔法の対象に貼り付く必要があるが、鋼は分厚い想子の鎧を纏っており、これが『雲散霧消』の魔法式の接触を阻んだためである[Ⓝ劣-12-423・424,管補,管推]。
- 七宝琢磨には、鋼が『術式解体』を常時発動しているように見えている[Ⓝ劣-12-426]。
- 2096年度の九校戦3日目、男子シールド・ダウンペア本戦で鋼と相対した三高選手(三高生徒023)は、十三束の『接触型術式解体』を「狭い代わりに高強度の領域干渉」と勘違いしている[Ⓝ劣-13-240]。
- 鋼との模擬戦後、司波達也は『分解』が通じない相手への対策として、『バリオン・ランス』の開発を始めた[Ⓝ劣-14-272]。
- 十文字克人の『想子ウォール』は、鋼の『接触型術式解体』とは異なり、想子を固める段階で構造が発生している[Ⓝ劣-23-243]。
- 鋼の『接触型術式解体』の技能は、想子のコントロールが上達した2097年には、さらに強化されている[Ⓝ劣-24-238]。
- 八仙の対抗魔法、『渾然一体』は、『接触型術式解体』と似ている部分がありつつも、やはり異なる対抗魔法のように思われる[管推]。
具体的には、「高密度で無秩序な想子層」を自身の身体に沿って展開するところまでは同じだが、この層に接触した魔法式を薄めて溶かすという点で異なっている[Ⓝメ-6-219,管補]。
以下は根拠のない想像だが、鋼や達也の『接触型術式解体』では身体の周りで高密度の想子が激しく暴れ回っていて(激しい想子流)、ゆえに魔法式は「砕け散る」「吹き飛ぶ」ことになるのだろう。対して『渾然一体』は、魔法式を解きほぐすような、グズグズにふやかしてしまうような、そんな想子流になっているのかもしれない。