質量爆散〈マテリアル・バースト〉

質量爆散〈マテリアル・バースト〉は、司波達也が操る戦略級魔法。究極の分解魔法^{[Ⓝ劣-3-333,7-312]}。

質量をエネルギーに直接『分解』する魔法^{[Ⓝ劣-7-312,23-120]}。

アインシュタイン公式の通りに、質量を光速定数の2乗の倍率でエネルギーに変換する。対消滅反応ではないため、対消滅反応に伴うニュートリノ発生によるエネルギーロスも無い^{[Ⓝ劣-7-312]}。

世界最強の破壊力を持つ魔法であり^{[Ⓝ劣-31-267]}、2100年時点では「超戦略級魔法」などとも呼ばれている^{[Ⓝメ-2-262]}。

軍事機密指定がなされており^[出展?]、国防軍との約束によって、達也がマテリアル・バーストの術者だと明かすことは許されていない^{[Ⓝ劣-30-59]}。

USNAでは「グレート・ボム」の名で呼ばれている^{[Ⓝ劣-10-36,21-228]}。

十文字克人は「世界の根幹に踏み込む事象改変」と表現している^{[Ⓝ㊕星呼-139]}。

普段は司波深雪の魔法力によって達也自身の魔法力に制約が掛けられているため使用できない^[Ⓝ劣–]。

2092年の沖縄海戦において、初めて実際に使用された。

仕組み

基本原理

マテリアル・バーストは、物質をエネルギーのみ・・に直接変換する魔法。質量を消し去って、そこに「質量相当の高エネルギーが存在する」空間を出現させる魔法^{[Ⓝメ-3-129,Ⓝ㊕星呼-27]}。

膨張する空間に触れた物質は、激しく振動し、加速され、燃焼、融解、蒸発、崩壊、爆発などの変化をもたらす^{[Ⓝ㊕星呼-27]}。

より詳細には、発生した膨大なエネルギーは、消滅した物質に隣接する物質へ伝わり、分子間結合が切れて分子が原子に、さらに電子と原子核に分断され、生じたプラズマに巨大な運動エネルギーを与える。また部分的には、原子核の分解や中性子の崩壊まで引き起こす^{[Ⓝメ-3-129]}。

マテリアル・バーストの発動によって観測される破壊の力は、そのほとんどが隣接する物質が変化したプラズマの運動エネルギーである。プラズマ同士の衝突によって外側の物質が高熱を帯び、さらに破壊を広げ、巨大な爆発が引き起こされる^{[Ⓝメ-3-129]}。

発動手順

1. 成層圏プラットフォーム等の映像情報を経由し、攻撃対象を情報的に特定する^{[Ⓝ劣-7-310]}。
2. 攻撃対象の情報に『精霊の眼』でアクセスし、魔法の対象とするものの情報を捕捉する^{[Ⓝ劣-7-310]}。
3. 魔法の対象の情報を照準し、起動式の読み込み・変数の入力を実行する。
4. 魔法式を構築し対象に投射する。
5. 魔法を発動する。

補足

• 初めて行使した際には、魔法の対象としたのは弾丸だった。この弾丸を撃ち出す前に、手元で一旦元素レベルに分解し、続いて再成することで情報的なマーキングを施した。これによって弾丸を情報的に追跡することができた^[Ⓝ劣-8-]。
• 2097年時点では、少なくとも全世界を射程に収めることができる^{[Ⓝ劣-24-267]}。

発動履歴

1回目

魔法の対象

沖縄侵攻を目論む大亜連合艦隊めがけて放った弾丸^{[Ⓝ劣-8-245･252]}

使用CAD

射程伸長術式組込武装一体型CAD^{[Ⓝ劣-8-238･244]}

内容

マーキングを施した弾丸4発を射出し、弾道の情報を『精霊の眼』で追跡^{[Ⓝ劣-8-249･250]}。
1発が艦隊上空に達したところで弾丸の質量をエネルギーに分解し、艦隊を消滅させた^{[Ⓝ劣-8-252]}。

射程伸長術式については、当該項目を参照のこと。

被害

大亜連合艦隊（高速巡洋艦2、駆逐艦4）が全滅^{[Ⓝ劣-8-236･252]}

発生した津波により沿岸部が浸水^{[Ⓝ劣-8-252･254]}

2回目

対象

相模灘を南下している大亜連合軍の偽装揚陸艦甲板に付着している水滴^{[Ⓝ劣-7-308]}

使用CAD

サード・アイ^{[Ⓝ劣-7-308･309]}

内容

成層圏監視カメラの赤外線映像を経由し、対象（偽装揚陸艦）の情報を特定^{[Ⓝ劣-7-310]}。
『精霊の眼』で、対象の甲板上に付着している水1滴（50mg）の情報を取得^{[Ⓝ劣-7-310･312]}。
約80kmの距離から照準・発動し、TNT換算1キロトンの熱量を発生させ、偽装揚陸艦を消滅させた^{[Ⓝ劣-7-312･314]}。

被害

偽装揚陸艦が消滅

3回目

内容

成層圏監視カメラの赤外線映像を経由し、攻撃対象の情報を特定^{[Ⓝ劣-7-324･325]}。
『精霊の眼』で、大亜連合艦隊旗艦の戦闘旗（質量1kg）の情報を取得^{[Ⓝ劣-7-325]}。
これを照準して魔法を発動し、TNT換算20メガトンの熱量を発生させた^{[Ⓝ劣-7-325∼327]}。

被害

艦隊および鎮海軍港が消滅^{[Ⓝ劣-7-327]}。数万人が死亡^{[Ⓝ劣-26-96]}。
艦隊に乗り込んでいた大亜連合の国家公認戦略級魔法師（十三使徒）・劉雲徳が死亡^{[Ⓝ劣-8-209]}。

また、魔法発動に伴って発生した竜巻と津波により、巨斉島要塞が壊滅^{[Ⓝ劣-7-327]}。

備考

この事件は、以後灼熱のハロウィンと呼ばれるようになった^{[Ⓝ劣-7-328]}。

4回目

対象

小惑星2095GE9〈ジーク〉が地球に向けている面の岩塊2トン^{[Ⓝ㊕星呼-25]}

使用CAD

サード・アイ^{[Ⓝ㊕星呼-26]}

被害

なし（ジークが粉々に破壊）

5回目

状況

巳焼島から、日心黄道座標 黄緯60～61°、黄経121～123°のエリア、3億kmの彼方に向けて発動^{[Ⓝメ-3-114･128]}

対象

地球に衝突する懸念のある彗星（平均直径20km）の表面積の1割、深さ10mまでのタール^[Ⓝメ-3-]

使用CAD

サード・アイⅡ^{[Ⓝメ-3-126]}

被害

なし（彗星の軌道が変更された）^{[Ⓝメ-3-132]}

その他

• 自作のサード・アイによる発動であっても、数km程度の近距離であれば微小質量照準は可能である^{[Ⓝ劣-13-237]}。
• マテリアル・バーストは、四葉家が開発した魔法ではないか、という声も少なくない^{[Ⓝ劣-20-113]}。
• マテリアル・バーストは、威力・速度・射程距離において絶対的な優位を持つ兵器だが、破壊力の調節は困難であり、領域を限定して攻撃することができないという欠点もある^{[Ⓝ劣-21-137,27-122･123]}。また、（その強力さのあまりに）使用者を取り巻く状況を悪化させる可能性もある^{[Ⓝ劣-21-137,管補]}。
• 司波達也のマテリアル・バーストは、津久葉冬歌の『誓約』によって封印されている^{[Ⓝ劣-7-,23-212]}。これは、達也が自身の理性的な意志によらず、衝動的に使ってしまうこと（魔法の暴走）を予防するためのものだった^{[Ⓝ劣-24-43]}。
  しかし冬歌の魔法力だけでは抑えきれなかったため、達也に掛けられた『誓約』には、司波深雪の魔法制御力を使って達也の魔法演算領域を縛り上げるというアレンジが加えられている^{[Ⓝ劣-23-214]}。
  この封印は、2097年、達也自身が解呪した^{[Ⓝ劣-23-228]}。
• マテリアル・バーストの術者が司波達也であると判明するに至り、それを脅威に感じるエドワード・クラークなど一部の者は達也を排除すべくディオーネ―計画を立ち上げ、達也を木星圏へ排除しようと試みた^{[Ⓝ劣-24-177]}が、失敗に終わった^{[Ⓝ劣-27-83]}。
• 島をまるごと吹き飛ばすようなこともできなくはないが、その場合には世界の気候に悪影響が出るおそれもある^{[Ⓝ劣-27-70]}。
• 達也自身は、マテリアル・バーストについて「如何なる戦場においても過剰戦力」と考えている^{[Ⓝメ-3-120]}。
• 瞬間熱量が大きすぎるため、熱量を別のエネルギー形態に変換するなどの生産的利用は行えない^{[Ⓝメ-3-120]}。
• 達也は2100年、マテリアル・バーストの用途を「地球への天体衝突災害の防止」に決めた^{[Ⓝメ-3-121･122]}。
• 作者は、Twitterで以下のように言及している。
  

  Ｑ．マテリアル・バーストの原理は？Ａ．究極の分解魔法です。それ以上のことはネタバレになるので、第７巻発売後とさせてください m(_ _)m

  — 電撃文庫『魔法科高校の劣等生』 (@dengeki_mahouka) June 7, 2012

  これ以上は本当にネタバレになりますのでご容赦ください（汗）。マテリアル・バーストの射程距離についてもご質問を頂いていましたが、これに限らず、魔法は物理的距離に左右されません。認識が届く限度が射程距離です。 #mahouka

  — 電撃文庫『魔法科高校の劣等生』 (@dengeki_mahouka) October 22, 2012