十山家【とおやまけ】は、二十八家のひとつで、師補十八家の一角[Ⓝ劣-3-8]。
現当主は十山信夫[Ⓝ劣-22-270]。
「家のことは弟に任せている」というセリフ[Ⓝ劣-21-216]から、次期当主はつかさの弟と思われる[管推]。
十山家は、国民・市民ではなく、国家機能すなわち政府要人を守るために存在している一族である[Ⓝ劣-21-20・217,22-282]。
所在地 | 不明 |
担当地域 | ― |
所属 | 国防陸軍 情報部 防諜課 首都圏防諜部隊 防諜十課 |
家族構成 | 十山信夫(現当主) 十山つかさ つかさの弟(次期当主?) |
概要
十山家は、「空間に仮想構築物を生成する領域魔法の開発・研究」を行っていた魔法技能師開発第十研究所から生まれた家系[Ⓝ劣-17-8]。
防衛戦を突破された後の重要施設防衛や要人護衛を目的として開発された一族で、「中央政府の最終防壁」などと称される[Ⓝ劣-21-217,22-53・54・282]。
しかし現在ではそれに留まらず、その魔法発動形態の特殊性から単なる盾を超えた役割が与えられている。味方に対して選択的に障壁魔法を展開する技術を獲得したことで「逃げ出す為だけの魔法師」から「前向きな国家貢献ができる一族」へと変化し、情報部で活躍している[Ⓝ劣-22-211・282・283]。
所属
十山家は防諜工作部隊として国防軍情報部に完全に取り込まれ、その一部となっており、部内で密かな影響力を振るっている[Ⓝ劣-22-211]。
首都圏防諜部隊防諜十課の「十」は、十山家の直接のパートナーであることを意味している[Ⓝ劣-29-46]。
戦力
戦闘力
十山家は、生まれたときから国防軍で軍事訓練を受けており、戦闘魔法師としてではなく軍事用魔法師としてならば、十山家は四葉家・十文字家に匹敵する、と情報部は確信している[Ⓝ劣-23-155]。
その実力について、真夜は十山家を十文字家・九島光宣と並ぶ「警戒すべき相手」に挙げ[Ⓝ劣-22-52]、また四葉家・十文字家・十山家以外の二十八家を「二十五家」と一括りに表現して格下扱いした[Ⓝ劣-22-53]。
魔法技能
十山家の魔法師は、複数の人間に対して個々に防壁を形成する『個人用魔法障壁の同時多数投射』を得意とする[Ⓝ劣-22-54・280∼283]。
本来は政府要人の逃亡を支援するための術式だったが、現在は情報部において味方を積極的に守るためのものとして使われており、非魔法師にも障壁を展開できるという点が特に有用とされている[Ⓝ劣-22-282∼284]。
精神性
十山家の人間は、力を手に入れた代償としてアイデンティティが希薄になっており、自分の心を第三者のように感じるという歪みを抱えている。不安を覚える精神機能も低下している。それは、食事や睡眠といった生命維持に必要な行動すら疎かになってしまうほどの欠陥である[Ⓝ劣-22-154・155・284]。
アイデンティティが希薄なのは、「他人を起点として魔法を発動する」という性質の為に複数の他人を自らと同一視し、「個我」が曖昧になってしまうためである。これは十山家に植え付けられた、先天的な欠陥である[Ⓝ劣-22-283]。
拠点
不明
活動
2097年4月には、USNA軍工作員拉致事件(16日)[Ⓝ劣-22-241]、マナースクール襲撃事件(19日)[Ⓝ劣-22-139・155・241]、三矢詩奈失踪事件(20・21日)[Ⓝ劣-21-296,22-88・89・210・250・251]が立て続けに起こった。
これらの事件は、司波達也の危険性を認識した情報部が、その思想や能力を調査し、政府要人に害を成す可能性があるかどうかを見定め、「処理」の必要性を判断するために画策したものであり、遠山つかさも裏で糸を引いていた[Ⓝ劣-21-223・296,22-88・139・155・169・250・251,23-29]。
しかし最終的に南総収容所襲撃事件(21日)へと至り[Ⓝ劣-22-242・270・281・286]、つかさは達也と交戦[Ⓝ劣-22-281・290]。魔法の過剰行使により入院を余儀なくされた[Ⓝ劣-22-293]。
この一連の経緯は情報部のさらなる警戒を招き[Ⓝ劣-23-29]、達也に対する「再教育」の方針が決定された[Ⓝ劣-23-31]。
同年5月26日、伊豆での克人と達也の激突を利用して、弱った達也を拉致しようという作戦が行われることになった[Ⓝ劣-23-154・155]。つかさもその作戦に投入されたが[Ⓝ劣-23-155・264]、勝負には達也が勝利したうえ、つかさ達の襲撃もエリカ達の不意打ちによって失敗に終わった[Ⓝ劣-23-259・264・270∼273]。
同年7月12日には、イリーガルMAPの暗躍を防ぐために情報部が出動した。伊豆での失態の挽回のため、つかさもこれに同行し、ほのかを救出した(光井ほのか誘拐事件)[Ⓝ劣-29-48・49・188・189]。
家庭
十山信夫
十山家の現当主[Ⓝ劣-22-270]。
十山つかさ
信夫の娘[Ⓝ-22-270,29-289]。2073年度生まれ[Ⓝ劣-21-217]。国防陸軍情報部所属の曹長[Ⓝ劣-22-2]。
2代目の「遠山」であり、「遠山つかさ」の名で軍に籍を置き、超法規的任務に従事している[Ⓝ劣-21-216,22-283]。
つかさの弟
つかさいわく「家のことは弟に任せている」[Ⓝ劣-21-216,22-87]。
対外関係
国防軍
国防軍中枢との関係は、二十八家の中で十山家が最も強い。これは、「いざという時は権力者を逃がす為に尽力する」という使命のために、国防軍の影・闇の部分と深く結びついているためである[Ⓝ劣-21-217・218,Ⓝメ-3-34]。しかし、十山家と国防軍の関係はそれだけではない。
曖昧な「個我」の反動として生まれている(ものと思われる)「集団に対する貢献欲」を満たすため、十山家は情報部と取引し、「遠山」として軍に籍を置き、国家に貢献している[Ⓝ劣-22-283]。
十山家の魔法は権力者を逃がす為のものであり、市民にその存在を知られてはならないために、権力者によって秘匿されている。つかさが「遠山」の姓で軍に籍を置いている(本名として届けている)のもその一環である。これは犯罪行為だが、軍の方針であるため咎める者はいない[Ⓝ劣-22-85]。
なお、防諜課は十山家の魔法に信頼を置いているが、特務課はそれほどでもない[Ⓝ劣-23-260]。