霊子〈プシオン〉は、超心理現象において観測される粒子[Ⓝ劣-1-35]。
心霊現象の次元に属する非物質粒子[Ⓝ劣-1-11]。
その存在は確認されているが、その正体、その機能については未だ解明されていない[Ⓝ劣-1-11,18-115]。
霊子放射光(霊子光)が情動に影響を及ぼすことから「意思や思考を産み出す情動を形作っている粒子」と言われているが、まだ仮説段階である[Ⓝ劣-1-35,3-174,18-114・115]。現時点では、霊子について体系的に整理することは難しい。
以下の記述は、作中の霊子関連情報を抜き出したに過ぎないが、参考になれば幸いである。
霊子の形状・形態
霊子は、霊子波(霊子波動)[Ⓝ劣-3-173,7-103,10-125]のような波としての姿や、霊子光[Ⓝ劣-3-174]・霊子放射光[Ⓝ劣-1-35]・霊気[Ⓝ劣-2-162]・霊的な光[Ⓝ劣-11-173]のような光としての姿、霊子の流れ[Ⓝ劣-29-248]のような流れとしての姿、などで表現されている。
魂を震わせるもの[Ⓝ劣-10-184]、想念の波[Ⓝ劣-10-222]なども、文脈から見て霊子が引き起こすものであると思われる[管推]。霊子波によってやりとりされていると思しきパラサイトの思念共有[Ⓝ劣-10-76]についても、これが「思念波」と表現されている[Ⓝ劣-9-136]ことから、思念波もまた霊子波の一種ではないかと思われる[管推]。
これらは霊子の活動の見え方、表れ方のひとつであると思われる[管推]。
これに関連して、作者は次のように述べている。
また、精霊には固有の色はありません。そもそも「色」は物理現象ですから非物理的存在である精霊に色は無く「固有の波」があるだけです。美月はそれを直接知覚している点が幹比古たちとは違っています。 #mahouka
— 電撃文庫『魔法科高校の劣等生』 (@dengeki_mahouka) November 6, 2011
また、霊子が情報体として組織されたものは霊子情報体と呼ばれる[Ⓝ劣-3-185]。
霊子情報体がこの世界に存在し、この世界の事象に影響を及ぼすためには、アクセス媒体となる想子情報体が必要となる(霊子情報体支持構造)[Ⓝ劣-30-95]。パラサイトの「現世で魔法を発動するための細い糸」は、この支持構造に類するものではないかと想像する[Ⓝ劣-10-107・114・125,管推]。
さまざまな霊子情報体
精神
「精神は霊子で出来ている」という説が広く支持されている[Ⓝ劣-19-124・125]。
作中では、「精神は霊子情報体である」ということが当然のものとして語られることが多い[Ⓝ劣-9-126,10-80,11‐258,24‐101,26-121,27-178・300,28-69・71]。
SB
SB(心霊存在)の本体は、霊子で構成されている[Ⓝ劣-3-424]。パラサイト
SBの一種であるパラサイトの本体は、霊子情報体である。その周りに想子の外皮(繊維状の想子情報体)を纏っている[Ⓝ劣-11-258・287,13-306,26-121・28-71]。
幽体
幽体のコアは霊子情報体だが、これと重ね合わせるように想子情報体の衣も纏っている[Ⓝ劣-28-57]。霊体・亡霊
九島光宣を襲った周公瑾の霊体は、霊子情報体である[Ⓝ劣-24-144]。ある種の霊子情報体が「亡霊」と呼ばれている[Ⓝ劣-30-96]。
霊子の性質
感情と霊子
感情の高まりは、霊子の活性化を引き起こす[Ⓝ劣-4-341,Ⓝ㊕IF-99]。 十三束鋼と七宝琢磨が模擬戦を行った際には、その場に立ち会っている者たちは「想子波とは別の非物質的な波動がぶつかり合っている」ことを感じとっている[Ⓝ劣-12-414]。 三矢詩奈は、軽井沢の洋館において「攻撃的な波動」という、感情を反映した波動を感じとっている[Ⓝ劣-22-239]。また、思考は感情の影響を受ける。この影響は想子波形に現れるので、波形から感情を推測することができる[Ⓝ劣-SS-66]。
想子と霊子
想子は、霊子情報体に干渉することができる。精神干渉系魔法の魔法式(想子情報体)が精神に干渉することがその証左である[Ⓝ劣-26-121・122,27-178,Ⓝ㊕続追-25]。(激痛などで生じる)霊子の乱れが想子に影響することもある[Ⓝ劣-15-214,管補]。
その他の性質
- 血液には、大量の霊子が含まれている[Ⓝ劣-10-126]。
- 人形は、霊子を集めることができる[Ⓝ劣-10-126]。
- 想子も霊子も、物質的な天井で閉じ込めることはできないが、「閉鎖されている」という概念は想子の滞留を招くことが分かっている。霊子も同じ性質を持つと推測されている[Ⓝ㊕IF-99]。
霊子感受性・霊子知覚力
魔法師の霊子感受性と想子感受性は大体において正比例する[Ⓝ劣-1-36]ものの、一般的な魔法師は活性化した霊子を「感じる」ことができるにとどまる[Ⓝ劣-1-11]。知覚できないわけではないが、想子のようにその状態を見分けることは、普通できない[Ⓝ劣-3-424]。
活性化した霊子ならば「そこにある」ということを知覚できるが、活性が低い状態だと難しい[Ⓝ劣-3-424]。
例えて言うならば、赤外線を「暖かい」という漠然とした認識で知覚することはできても、赤外線の波長の違いを可視光線の波長の違いのように色彩として捉えることはできないようなものである[Ⓝ劣-3-424]。
ただ、霊子情報体を情報体として認識できなくても、霊子流を漠然と感じとることはできる[Ⓝ劣-29-248]。
感受性・知覚力等の例示
司波深夜
司波深夜は、精神の構造を認識することができる(精神構造認識力)。精神の構造を認識し、その構造を変えることができる(精神構造干渉魔法)[Ⓝ劣-8-275]。司波達也
司波達也は、霊子を粒子として視認できないし、霊子波を信号として理解することもできない。だが、霊子波の明暗程度は知覚できる[Ⓝ劣-28-75]。司波深雪
司波深雪は、精神(霊子情報体)の「所在」を感知する「触覚」の異能を持っている[Ⓝ劣-9-255,11-297]。 「封印」を解除すれば他者の精神に「触れる」ことができ、世界に漂う「霊魂」のひとつひとつに触れることさえできるかもしれない[Ⓝ劣-9-255]。黒羽文弥
黒羽文弥は、精神干渉系魔法に高い適性を持つからか、先天的に想子感受性と霊子感受性が高い[Ⓝ暗-1-247]。しかし2094年の段階では、想子と霊子を厳密に見分ける技術はまだ未熟で、霊子光は見えるが、想子光ほどはっきりとは見えない[Ⓝ暗-1-247・248]。
柴田美月
柴田美月は、霊子に対する感覚が非常に鋭敏で(霊子放射光過敏症)、霊子を直接視認する異能を持っている(水晶眼)[Ⓝ劣-1-35・36,28-76]。吉田幹比古
吉田幹比古は、意識の焦点を合わせれば霊子波に気づく[Ⓝ劣-10-70]。西城レオンハルト
西城レオンハルトは、霊子波によって交わされていると思われるパラサイトの思念共有を、単なる雑音としてではあるが知覚している[Ⓝ劣-9-138,10-76]。九島光宣
九島光宣は精神干渉系魔法にも適性があり、霊子波を知覚することができる。美月のように霊子そのものを見ることはできないが、霊子波を「聞き分ける」ことはできる[Ⓝ劣-24-192]。 パラサイト化してからは、霊子波を知覚するだけでなく、霊子情報体を明瞭に認識できるようになった[Ⓝ劣-27-178]。三矢詩奈
三矢詩奈は、目を覚ましていて、かつイヤーマフや聴覚遮断の魔法を使っていないときには「主観的な魔法的知覚力」が鋭くなり、想子波、および(霊子波と思われる)感情的な波動を感じとることができる(鋭敏すぎる聴覚)[Ⓝ劣-22-238・239,管推]。アリアナ・リー・シャウラ
アリアナ・リー・シャウラは、精神干渉系魔法の防御に長けており、その一環として異常な霊子波動を捕捉する能力が高い[Ⓝ劣-26-31]。ブルーノ・リッチ
ブルーノ・リッチは、「魔眼」を持つ視覚系異能者で、霊子波形を見分ける「視力」を持っている[Ⓝメ-2-176]。『事象干渉力霊子波理論』
2097年7月8日、司波達也はアレクサンダー・アークトゥルスの幽体と交戦した。
アークトゥルスが『幽体離脱』を維持するために稼働させている魔法チャネル(事象干渉力の通路)を分解したところ、霊子波が漏れ出した。事象干渉力の正体=霊子波であると観測されたのは、これが最初であった。ここから「魔法には想子だけでなく霊子も使われている」ということが判明した[Ⓝ劣-28-75・76]。
ただし、全ての霊子波が事象改変を引き起こすわけではなく、霊子波を事象干渉力に変換するには、何らかの工夫が要るらしい[Ⓝメ-2-109]。
司波達也は2099年、『事象干渉力霊子波理論』を発表した[Ⓝ劣-32-281]。
この発見によって、魔法の世界はさらに広がりと奥行きを見せている。
魔法と事象干渉力
魔法が強制終了させられると、魔法に注がれるはずの事象干渉力は行き場を失う。ほとんどはその場で霧散するが、一部は術者へと還流する[Ⓝ劣-29-247・248]。刻印魔法と事象干渉力
刻印魔法では、刻印により形成された回路を流れる想子が魔法式を形作り、霊子波がその魔法式を作動させることが判明した[Ⓝメ-3-105]。霊子波と魂
司波達也の事象干渉力は、生来の魔法である『分解』と『再成』に最適化されている[Ⓝメ-3-105]。またエレメンツとは、特定の事象に対する干渉力、特定のタイプの霊子波を出力する魂を宿し易い肉体を持つ魔法師のことを言う[Ⓝメ-3-245]。
この2点から、事象干渉力(霊子波)にはいろいろなタイプがあって、魂にもいろいろなタイプが存在するものと思われる[管推]。
霊子の正体とは
霊子の正体については未だ不明だが、重要な示唆がある。
事象干渉力の通路を破壊されたアークトゥルスは、このとき「命に直結している『何か』が抜け出していく感覚」を味わっている[Ⓝ劣-28-78]。『魔法科高校の劣等生』シリーズにおいて、「生」と「死」とは何か、ということは、重要なテーマのひとつに設定されているように感じられる。上記の描写は、このテーマに霊子が絡んでくることを暗に示している[管推]。
霊子関連技術
霊子の観測機器の性能は、想子センサーに比べればお粗末なものである[Ⓝ劣-10-257]。
プシオンと個別の魔法
- 『蹟兵八陣』では、魔法師を生きたまま死蠟化する過程で、霊子情報体を死蠟の中に閉じ込める。死蠟に蓄積されている霊子を使って事象干渉力を定期的に放出させ、隠蔽結界を維持する[Ⓝ劣-29-165]。
- 隠形術では、想子光より霊子光の方が誤魔化しにくい[Ⓝ暗-1-248]。
- 『仮装行列』には、霊子情報体まで偽装する力は無い[Ⓝメ-2-176]。
- 『呪刻』は、霊子波と想子波の二つを鍵として機能する。鍵となる感情は、被術者の危機感と自己防衛である[Ⓝメ-2-250]。
その他パラサイト関連情報
- パラサイトの思念共有は、霊子波で交わされる[Ⓝ劣-10-76]。
- パラサイトの想子波形は人間のものとほとんど変わらないが、霊子波形は異なる[Ⓝ劣-10-76]。
- パラサイトは、強い霊子波動に引き寄せられる性質を持つ[Ⓝ劣-10-125]。
- パラサイトは存在するだけで少しずつ霊子を排出しているため、存在し続ける為には霊子を吸収する必要がある[Ⓝ劣-10-125]。
- パラサイトは、物質体次元において独力で霊子を吸収することができない。吸収するためには、霊子を集めることのできる「形あるもの」と一体化する必要がある[Ⓝ劣-10-125]。
その他
- 英語の綴りは「psycheon」。
サイオンは psyon です。プシオンはかなり変則的な綴りで psycheon です。英語の読み方でこれをプシオンとは発音しないのですが、意味の方から決めた専門用語ということでご理解下さい。 #mahouka
— 電撃文庫『魔法科高校の劣等生』 (@dengeki_mahouka) March 9, 2014