アニメ第3期考⑫ ‐ 第4話感想③〈時系列・脚本編〉

作品考察
©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会

4/30 一部追記等しました。

〈ダブルセブン編Ⅳ〉の感想③です。

〈ダブルセブン編〉の最終話は、原作と比較すると、時系列が超絶ぶっ飛んでる回でした。

またCパートがすごく見事で、すげー!!!!!ってなった回でした。

原作のネタバレがあるのでご注意ください。

また、以後に添付する画像のクレジットは、特に注記が無いものは、「©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会」です。

概要

原作と比較した全体像はこちら。

時空が歪みまくっている……笑

大きな変更点は3つ。

まず第一に、前話〈ダブルセブン編Ⅲ〉で、恒星炉実験が原作より1日前倒しされた。

これに伴い、琢磨香澄の諍い、「誇り」を懸けた模擬戦、そして「わからせ」模擬戦×2が1日前倒しされた。

第二に、小和村真紀が襲撃される日程が(おそらく)3日間も前倒しされた。
厳密には、襲われていた女性はキャラデザ的には完全に小和村真紀だが、アニメではこの女性の氏名が出てこないので、「小和村真紀と思われる女性」と言うべきか。

……と思ったけど、名前はアニメ版でも「小和村真紀」で、女優という設定もそのままらしい。

さて、原作勢としては、「周公瑾による『裏切者』への制裁として真紀が襲われた」という設定に引っ張られるけど、アニメだと「裏切者への制裁」という設定は無くなってて、単に「真紀パパが言うこと聞かなかったから襲撃された」ってことになっている。

結果として、「いつ襲撃させるか」という日程選びの自由度は増え、アヴァンに入れるのがもっとも都合が良かったのだろうと思う。

なお、ここで一つの疑問があるのだが、それは後に書くことにする。

そして第三に、Cパートで2095年11月6日の会話が、2096年4月(?)の世界線に融合した!!!!!

最終話はリアタイできていたのだけれど、マジでびっくらこいた! こう来るか~!って。(笑)

違和感が無くて凄すぎた……まさかの半年後ろ倒し!!!!!

本編

アヴァン

もう出ないんだろうと思っていた真紀さん(と思しき女性)が出てきた。状況は原作とかけ離れているが……。

部屋に進入した達也が襲撃者をデリート

と言うか、そもそも何でこの案件で独立魔装大隊が動くんや?
君らのお仕事ちゃうやろこれ?

拘束されている真紀さん(仮)。

……アニメだと、七宝琢磨という(隊にとって)有望な人材が真紀と通じているわけでもなく、やっぱり隊が動く理由が分からない。公安とか内情とかの案件なのでは?

遠隔で乗員と飛行船を消す達也

原作だと飛行船に乗り込んでいたので、アヴァンを視て「そうやん、遠隔で消せばええやん、何で乗り込んだんや」と思ったが、原作を読み直すと「飛行船はゴシップ系のマスコミのもの」で、乗り込む目的は「盗撮を止めること」だったので納得した。

あと、原作だとこいつらはロバート=孫を始めとする無頭竜ノー・ヘッド・ドラゴンの残党なんだけど、アニメ版だとその辺の設定も怪しい。大都市でこんな大胆な攻撃をかまそうとするとか、一体どういう連中なんだ? 捕まってもアシ付かない系?

襲撃が失敗したと知って肩を落とす周公瑾

ここで周は「魔醯首羅マヘー・シュヴァラについて調べる必要がありそうだ」としか言っていない。
原作ではこれに続いて七草家への干渉についても言及しているが、これはカットされているので、今後七草家に接触するかどうかは気になるところ。名倉さんの運命や如何に―――。

実は、アヴァンで気になっていることが一つある。真紀(と思しき女性)の父親(原作だと小和村喜夫)が、周の要求を受け容れなかった理由だ。

原作で周が制裁を決意するに至ったのは、「弘一と真紀の交渉」が原因だ。
しかしその流れは、アニメでは無くなった。琢磨と真紀の絡みも、「新秩序」ニュー・オーダーの概念も出てこないので、そうした交渉そのものが行われていないのだろう。

ならば、喜夫(と思われるTV局社長)が、反魔法師工作に加担しないことを選んだ理由は何故なのだろう?

真紀パパは、反魔法主義的な思想を嫌う人物だった?
あるいは弘一の世論分断工作に喜夫が乗って、結果的に「反魔法師工作に加担しない」ことになってしまったのだろうか?

この辺りがよくわからん。

Aパート

朝のニュースチェック

通学時、恒星炉実験に対して好意的なニュースが多いことを知り、達也が意外に感じるシーンはカット。

「カウンターを仕掛けるつもりだったのにな……」とうそぶく達也くん、見たかったです。笑

廿楽と百山の裏での行動

廿楽民権党に録音データを送付したり、百山が党に抗議を入れるシーンもカット。

こういうしたたかさ、『魔法科』の大きな魅力だと思っているので、ちょっと残念。

昼の食堂

食堂で流れるエルンストのニュースを、みんなで見てる場面は原作通り。

幹比古の表情が特にどうともなってないの、ちょっと面白いな。笑

何よりエリカの表情が最高すぎた! これ、〈スティープルチェース編〉に期待していいやつですよね?!笑

1年A組の教室

琢磨が歯噛みするシーンは、原作では5時限目の教室にスポットが当てられていたけど、アニメでは昼の食堂で描かれた。

ちょうどエルンストのニュースも流れてるタイミングなので、尺の短縮にちょうど良いんだろうな。

原作では「今日何度目か分からない不愉快なお喋り」と書かれてるので、食堂で不愉快に思っていてもおかしくない。

一触即発の香澄と琢磨、それを止める雫と森崎

琢磨が食堂の方から階段を昇ってきたので、流れ的にも昼休みのできごとかな?と思っている。

ただ、この後に授業も部活もあるわけで……

昼に揉めて止められて、放課後に風紀委員会本部に呼び出されたのか? いやでもそれはそれで違和感あるな……

これって何時ごろなんだろう。部活終了後の下校前なのか?

それ以外は、ほぼ完全に原作通りだった。

下校前とのことでした。そっか、CAD持ってるもんな……。

風紀委員会本部に連行

ここも概ね原作通り。

森崎が最高だったwww

模擬戦

模擬戦も、概ね原作通り。

琢磨がしつこく食い下がったり、香澄泉美がそれぞれ達也にひとこと言ってから退出したりするシーンはカットされたけど、まぁ残当か。

そう、実は原作だと、琢磨はもっともっと食い下がっているのである!笑

そら十三束も殴るわ、という。笑

ほのかルート消滅

ほのかが琢磨を助け起こそうとして、琢磨がほのかな恋心(ほのかだけに)じゃなくて、淡い気持ちを抱くシーンはカット。

十三束ルートでいいじゃんね(爆)

生徒会室の服部とあずさ

あずさ服部くん、何だか十文字先輩に似てきたね」

カットされちゃいました。。。

夜の司波家

模擬戦の日の夜の司波家では、達也・深雪水波が琢磨について話し合ったり、藤林響子から電話がかかってきたりといろいろあったのだが、アニメではばっさりカットされた。

周公瑾の思惑

原作だと、日付が変わるころに、マスコミ工作が思ったほど進んでいないことに気を揉む周公瑾が、その原因を調べた上で「制裁」を課すことを決定するのだが、ここもカット。

……というか、先に書いたように、真紀絡みの設定は大きく変更されたっぽい。

模擬戦~模擬戦環の中1日

原作では、琢磨が学校を休んで発動媒体を準備したり、独立魔装大隊の3人が琢磨と真紀の密会を盗聴したり、達也が脅迫行為をしたりと、いろいろあったけど全部カット。

周が手配した飛行船を達也がデリートするところと、周が「魔醯首羅」について考えるところは、大きな設定変更を伴いつつアヴァンに移動した。

Bパート

わからせ模擬戦①

十三束琢磨模擬戦は、ほぼそのまま描かれた。

唯一大きく違ったのは、十三束がこんなに優しく起こしてあげるところ。

原作だともっと厳しい感じに書かれてるのに。笑

わからせ模擬戦②

達也と十三束の模擬戦もほぼそのまま描かれた。『セルフ・マリオネット』奇怪映像感謝~!

なお、試合開始前に『ミリオン・エッジ』の紙片が散らばった室内を深雪がお掃除して、その魔法に琢磨が衝撃を受けるという場面はカットされた。

ハンカチ

香澄が琢磨と会話するシーンは、ほぼ完全に原作通りに描かれた。

めちゃくちゃ丁寧に描かれていて最高だった。

その後は全面的にカット

模擬戦が終わったあと、達也がピクシーにデータ改竄の確認をしたり、その日の夜に真紀への襲撃者についての情報を響子から伝えられたりするシーンは、全面的にカットされた。

また、これは日時不明だが、名倉三郎周公瑾が密会するシーンもカットされた。上にも書いたが、周公瑾と七草家の絡みがあるかどうかは、今後の注目ポイントだと思う。

Cパート

深雪四葉家次期当主決定」という話が、Cパートに入ってきた。

原作の読み過ぎですっかり忘れてたけど、「誰が次期当主になるのか問題」、そういえばまだ決まってなかったな……と気づいて腑に落ちた。
そして「そのための策もちゃんと考えてある」という、今後を示唆する重要なセリフもここで描かれた。

この話を差し込むの、先を見据えると確かに必要やな……なるほど。

冒頭の葉山さんの「達也殿の評価が、いささか高まりすぎているようですが」というセリフは、文脈的に恒星炉実験を指したものだろう。

しかし、その後に続いた四葉真夜と葉山の会話は、原作8巻〈追憶編〉のやりとり(225~228P)がほぼ完全に再現されている。

過去話が現代設定として登場したの、すごい脚本だったと思う。こう来るか~!ってなった。

〈ダブルセブン編〉感想 おわり

以上、〈ダブルセブン編Ⅳ〉の時系列と脚本についての感想でした。

ページ数的には、321Pから446Pまで、126ページ分も進んで12巻を終えたことになる。もっとも、最後の3ページは〈スティープルチェース編〉もしくは〈古都内乱編〉で描かれる可能性も無いではないと思うが。

ということで、〈ダブルセブン編〉の感想はこれにて完了!

〈スティープルチェース編〉を楽しみに待ちます!!!

ではでは~^^

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