アニメ第3期考⑱ ‐ 第7話感想②〈時系列・脚本編〉

作品考察
©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会

〈スティープルチェース編Ⅲ〉の感想②です。

原作のネタバレがあるのでご注意ください。

また、以後に添付する画像のクレジットは、特に注記が無いものは、「©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会」です。

概要

原作との比較画像。

6話で描かれた内容は、灰色の矢印とピンク色の文字で表示しました

今回は時系列移動は少なく、わりと原作通りに進んだ。

とは言え、オレンジ色の矢印は3つある。しかし最初の2つについては大した話でもない。

1つ目の「夜の会場調査」は、原作ではおそらく3日の夜だが、日付が変わっている可能性も否めない。
アニメでは「4日」のできごととなっているが、日付が変わった直後かもしれない。
もしそうなら、双方に矛盾はない。

2つ目は、達也ケントが一緒に作業しているシーンをどこに差し込むかというだけの話。原作では6日(おそらく夕方~夜くらい?)に、作業車内での様子が描かれているが、アニメでは5日の晩、作業車脇での様子に変更された。

3つ目については、次話〈スティープルチェース編Ⅳ〉の構成にも影響する。
八雲の警鐘シーンをヒキに持ってきたかったからこういう時系列(おそらく13日の晩)にしたのだろうが、原作だとこれは14日の晩、すなわちモノリス・コードの本戦も終わり、最後の競技であるスティープルチェース・クロスカントリーを翌日に控えてのできごととして描かれている。
さすがにモノリス・コード本戦を描かないとは考えにくいから、〈スティープルチェース編〉最終話のアヴァンで14日を描き切り、A・Bパートで15日を描くのかな。

Cパートもありそうな気がするけど、これは予想がつかない(笑)

カットされたシーンについては、日付がめちゃくちゃ進んでいることを考えると、意外と少ないと言えると思う。

そもそも原作でも試合描写が非常に少なく、ダイジェスト的な描写になっているので、アニメであんな感じになるのはある意味当然かと。

ちなみに、原作描写がどれくらい少ないかというと、深雪アイス・ピラーズ・ブレイクソロ本戦決勝リーグの様子ですら5行しか書かれていない(笑)

深雪は出番が多いから気づきにくいけど、アニメの深雪の試合描写、まだ無いですからね。笑

7話について個人的に強調しておきたいのは、13巻では具体的な試合描写はないがSS巻では描かれている、エイミィクーちゃん先輩の女子ロアー・アンド・ガンナーペア本戦、そして花音の女子ピラーズ・ブレイクペア本戦が盛り込まれている点だ。

7話では描かれなかったが個人的に見たかった試合は、深雪の女子ピラーズ・ブレイクソロ本戦、沢木碧の男子シールド・ダウンソロ本戦、千倉朝子の女子シールド・ダウンソロ本戦、水波が出場した女子シールド・ダウンペア新人戦。
このうち深雪以外は、13巻とSS巻の両方で具体的な描写が一切なされていない。深雪にしたって、13巻でわずか5行で済まされている。

それに対して、女子ロアガンペア本戦と女子ピラーズペア本戦はSS巻で詳しく描かれている。

以上のことから、7話では13巻を本筋として描きつつ、13巻とSS巻でそこそこ描写がなされている試合を織り交ぜたと言えると思う。密度の濃い7話なのに、頑張ってSS巻まで含めて試合を描いてくれたことは感謝しかない。

ただ、香澄泉美があんな感じで出るなら、水波もチラッと出して欲しかったなぁ……
13巻での描写行数は3人とも3行程度なので……

まぁ言っても仕方ない!

本編

アヴァン

アヴァンは、8月4日(土)の会場調査から。

上述したように、日付が変わったばかりの4日なのか、それとも4日の晩なのかはよく分からない。

原作では、ホテルで達也を貶したり、深雪と会話するシーンがあるが、そこはカット。

話の内容は、冒頭の達也のセリフはアニオリだが、その他は概ね原作通りだった。

Aパート

8月5日(日)

Aパートは大会初日の5日から。この日の競技はアイス・ピラーズ・ブレイクのペア本戦(予選リーグ)と、ロアー・アンド・ガンナーのペア本戦。

なお、エリカたちが合流してみんなでランチをとる4日の様子はカットされた。

ロアー・アンド・ガンナー(女子ペア本戦)

一つ前のブログでも書いたが、ここの五十里のセリフは、原作とは異なり達也を気遣う内容に変更されている。

ロアガンに出場するエイミィが達也にCAD調整してもらうシーンは13巻でもチョロッと描かれているが、

クーちゃん先輩も登場した具体的な競技描写はSS巻の内容。

ただし、SS巻ではエイミィは『モンキーシート』の要領(両膝立ち)でボートに乗っているのに対し、アニメでは普通に立っている点が異なる。見栄えを優先したのかな?

また、エイミィの魔法が『散弾型不可視の弾丸』のようには見えず、ここはよく分からない。『ループ・キャスト』を使っているようにも見えない。見栄え優先だろうか。

アイス・ピラーズ・ブレイク(女子ペア本戦の予選リーグ)

SS巻では第4試合の対七高戦が描かれているが、これはカットされた。

第7試合の対五高戦は、SS巻でも具体的な描写がほとんど無い。

一日の競技が終わり、達也がケントを指導している描写が入るが、これはかなりアニオリ。

原作では夕食の席での反省会や、その後のお茶会が描かれるが、ここはカットされた。

SS巻ではこのタイミングで、エリカやレオのアレコレが描かれているが、これは結構な量のサイドストーリーで、本筋にも無関係なので当然描かれていない。

その後の、ピクシーパラサイドールを探知させようとするシーンは原作通り。

8月6日(月)

未明のイチャイチャは原作通り。けっこうな尺で、制作陣の重視っぷりが分かる場面(笑)

とは言え、その後の朝の気まずいシーンはカットされた(笑)

この日の競技はピラーズ・ブレイク(ソロ本戦予選リーグ)とロアガン(ソロ本戦)だが、これらはオールカット。

後者については第一高校は無得点に終わり、見るべきところがないので残当(第七高校の活躍を見たかった気がしないでもないが)。

前者については深雪が出場しているのだが、もちろん余裕の圧勝だったので、別の意味で見るべきところが無い(笑)。

また、ロアガンに出場した吉祥寺真紅郎の反省シーンもカットされた。

原作ではここで達也がケントを指導するシーンに移るが、これは前日に移行され、この日は達也が独りで作業していた。

そこで一条将輝との会話のシーンに移る。

流れとしては概ね原作通りではあるのだが、アニオリ要素がある。

原作では、達也は将輝の話も頭の片隅でちゃんと聞いている。そして達也が脳内で(責任を押し付けられるような都合のいい存在、たとえば国防軍に潜在的な反乱勢力とか、そういうのはいないだろうか?)などと考えていたタイミングで将輝が「反乱」という言葉を出したため、達也の意識は再び将輝の方に向かい、二人の会話が続けられる。

このあたりがアニメではまるっと改変されているが、最終的に(柄にも無くあれこれ迷い過ぎているようだな……)という達也のセリフで締め括られる点は原作通り。

8月7日(火)

この日の競技はピラーズ・ブレイクのペア本戦(決勝リーグ)と、シールド・ダウンのペア本戦。

前者には花音が、後者には桐原十三束が出場する。

これ全然気づいてなかった!

達也が調整してるの、桐原のCADだ!

原作を読むと、「桐原のエンジニアは達也」である旨が確かに書かれている(13巻232P)。

シールド・ダウン(男子ペア本戦)

相手が第三高校であることから、原作で描かれている優勝を懸けた「決勝リーグ第三試合」であると思われる。

シールド・ダウンの様子は概ね原作通りだったが、エンジニアの平河千秋が十三束のために頑張った『ゼロ距離ブラスト』は描かれていないように見える。

千秋、なんて不憫な子……。

アイス・ピラーズ・ブレイク(女子ペア本戦の決勝リーグ)

花音と雫のピラーズ・ブレイク本戦は、SS巻で描かれた内容。

一高が優勝した点は変わらないが、試合経過と魔法の描写が決定的に異なっている。

詳しくはSS巻を参照!

場面は夜のお茶会に移るが、ピラーズ・ブレイクで優勝した雫を誉めるシーン以外は、かなりアニオリ的な要素が入っている。

まず、水波のセリフは完全にアニオリ。
また、スバルの「不敗神話」うんぬんの言葉は、ミラージ・バット本戦決勝直前のシーンから持ってきたもの。

原作と大きく異なるのは、エリカレオ美月幹比古がいないこと。

(なぜ消したんだろう)(画面がうるさくなるからかな)(わからん)

十三束のことでエイミィがいじられるシーンはカット。

そして達也がピクシーの能動型テレパシーを受信してからのシーンは、若干の差異はあるが概ね原作通り。

深雪が達也を止めるシーンも、概ね原作通り。

いや、概ねとは言えないか。ここの一連のセリフは、ほとんど原作通りに描かれている。

きっと、それだけ重視したシーンなのだろう(あたりまえだが)。

前のブログにも書いたように、コミカライズリスペクトの演出が入ったりもする。

そしてこのギュッは原作にもコミカライズにも無い完全アニオリ。

最、高、です。(ガクッ)

Bパート

8月8日(水)

Bパートは大会4日目の昼食後から。

この日の競技はアイス・ピラーズ・ブレイクソロ本戦の決勝リーグとシールド・ダウンソロ本戦。

この時点で女子ピラーズ・ブレイクは終わっていて、優勝者は深雪(圧勝)だが、特に描かれていない。(既に書いたように原作でも5行で終わっているのでカットとは言えないと思う)

午後は男子ピラーズ・ブレイクと男子シールド・ダウンで、後者に沢木が出場する。
また特に書かれていないが、おそらく女子シールド・ダウンも午前に終わっているのかと。(千倉朝子が優勝)

エンジニアを担当している達也と、少年風味の強い沢木くん(褒め言葉)とのやりとりは原作通り!

試合の様子は原作でも描かれていないが、コミカライズではいかつい系の三高選手を場外に落として優勝している。

8月9日(木)

5日目からは新人戦! 初日はピラーズ・ブレイク(ペア)の予選リーグとロアー・アンド・ガンナー(ペア)。

計4日間行われる新人戦はダイジェスト的な駆け足描写だったが、13巻でも5ページほどで済まされている。(SS巻には亜夜子文弥の活躍に焦点を当てた物語が入っているが、それでも2095年度の九校戦のようにじっくりと描かれてはいない)

ロアガン女子では、香澄一高生徒049のペアが優勝した。原作でも3行だけなので、ダイジェスト的描写で終わり。「どんなもんだい!」のセリフは原作通り。

2位と3位について原作では言及されていないが、アニメでは第七高校が2位。そしてエンブレムが見えにくいのでたぶんだが、第四高校が3位として描かれている。

また原作では、達也とケントがロアガン男子のエンジニアを務め、一高ペア(一高生徒047048)が七高ペア(七高生徒009010)を打ち破って優勝している。

8月10日(金)

新人戦2日目の競技は、ピラーズ・ブレイク(ペア)の決勝リーグとシールド・ダウン(ペア)。

女子ピラーズ・ブレイクでは、泉美一高生徒054のペアが優勝。これも原作では4行程度で、ダイジェスト的な描写。

泉美が深雪に抱き着くシーンは、若干変更されて描かれた。

ところでこのかわいくない?(唐突) というか3人とも、なんかすごい見慣れたタッチの絵のような……。

また原作では、女子シールド・ダウンで水波一高生徒039のペアが優勝している旨が書かれている(2行)。

アニメでは描かれなかったが、コミカライズでは1ページだけ描かれている。コミカライズに感謝!

8月11日(土)

新人戦3日目は、モノリス・コードの前半戦とミラージ・バット

ミラージ・バットでは、原作通りに亜夜子が圧勝。なお原作13巻とSS巻によれば、優勝を諦めた一高生徒055は堅実にポイントを稼いで2位に入ることになるが、上のポイント表示がそれを表している。

それにしたってポイント差が圧倒的過ぎるやろ……と思ってコミカライズを開いてみたら、2位が17点、1位が356点でワロタw 心折れるわw

8月12日(日)

新人戦最終日は、モノリス・コードの後半戦。

原作13巻では第9回戦・岩場ステージ、七宝琢磨率いる第一高校チームと黒羽文弥率いる第四高校チームの戦いが2ページちょいで描かれている場面。

ディフェンスの琢磨が奮戦するも、最後は『ダイレクト・ペイン』に倒れる流れは原作通り。

12ページほどを使ってやや詳しく描かれている、SS巻の一部も含めて再現した描写になっている。

8月13日(月)

本戦再開の大会9日目は、モノリス・コードの前半戦とミラージ・バットが行われ、アニメでは後者が描写された。(前者については原作でもコミカライズでも具体的な試合描写がない)

ミラージ・バット

司波達也の不敗神話を巡って光井ほのか里美スバルが激しく戦う。

そうなった経緯については原作で描かれているが、そのシーンはカットされた。

そしてほのかが優勝し、達也の不敗神話は守られた(ほのかのエンジニアは達也)。

競技を終えた夜、ホテルの展望台からパラサイドールの探知を試みる達也とピクシー

このシーンは、原作ではモノリス・コードの試合もすべて終わり、あとはスティープルチェース・クロスカントリーを翌日に控えるだけとなった大会10日目・8月14日(火)の夕食後の様子として描かれているのだが、アニメではおそらく9日の夜であり、時系列が変更されている。

達也と八雲の会話はだいたい原作通りだが、響子との会話はカットされ、場面は一気に車内へとジャンプする。

響子が用意した車内での会話は、前半部分が大幅にカット。後半部分の、達也による本筋のセリフから始まる。

設定的に重要な内容も入っている部分だったのだが、話のテンポと尺の都合だろうか。

後半部分の会話はほぼ原作通りだった。

ただ、達也の「いずれこの貸しは~」のセリフがカットされた……うう。

八雲と響子の会話は、多少カットされているものの、重要な部分は拾い上げられた。

ただし、おそらくは達也に向けて聞かせている側面もあったであろう尋問内容のうち、八雲の最後の質問はカットされている。

風間が現れてからの会話内容は、概ね原作通り。

ただし、九島家に大陸の方術士を送り込んだのは周公瑾であることを八雲に伝えたのは、原作では響子だが、アニメでは風間に変更されている。

立ち去っていく風間と響子。原作ではこのあと歩きながらの会話が入るのだが、7話では描かれなかった。8話アヴァンに来るのだろうか……。

アニメでは、達也は近くに隠れて盗み聞いていたが、原作では情報体次元イデアに記録された言葉の情報を、『精霊の眼』エレメンタル・サイトを使って読み取っている。

第7話感想② おわり

〈時系列・脚本編〉終わり~。

次回の注目点は、風間響子の残りの会話が描かれるかどうかと、モノリス・コード本戦後半戦が描かれるかどうかですかね。

まぁ後者は描かれると思うけど、前者は無いんやろな……。

いよいよ次で〈スティープルチェース編〉も最終話。楽しみ!

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