十文字家【じゅうもんじけ】は、二十八家のひとつで、十師族の一角[Ⓝ劣-3-8・205]。
七草家とともに、伊豆を含む関東地方を監視・守護している[Ⓝ劣-17-8・243]。「鉄壁」の異名をとる[Ⓝ劣-3-379]。
初代当主は十文字鎧[Ⓝキ-1-20]。
2代目当主は十文字和樹[Ⓝ劣-17-8・238]。
3代目当主は十文字克人[Ⓝ劣-2-13,4-456・478,17-242]。
2097年2月5日の十師族選定会議で再び選出され[Ⓝ劣-17-273]、引き続き十師族の役目を担っている。
所在地 | 旧東京都・台東区・蔵前 |
担当地域 | 伊豆を含む関東地方 |
事業・収入源 | 国防軍を得意先とする土木建設会社の経営 |
家族構成 | 十文字鎧(初代当主) 十文字和樹(2代目当主) 和樹の前妻(克人の実母) 十文字克人(現当主) 十文字慶子(和樹の後妻) 十文字竜樹(慶子の長男) 十文字和美(慶子の長女) 伊庭ダリヤ(和樹の浮気相手) 十文字アリサ(ダリヤの娘) 和樹の弟 和樹の弟の妻 十文字勇人(和樹の弟の息子) |
概要
十文字家は、「空間に仮想構築物を生成する領域魔法の開発・研究」を行っていた魔法技能師開発第十研究所から生まれた家系[Ⓝ劣-17-8]。
ミサイルや機械化部隊を迎撃する目的で開発された一族で、「首都防衛の最終防壁」などと称される[Ⓝ劣-21-217,22-53・54・282,23-247,26-174]。
収入源
国防軍を得意先とする土木建設会社の経営によって収入を得ている[Ⓝ劣-17-8・238,24-74]。戦力
戦闘力
十文字家の能力は拠点防衛に適したもので[Ⓝ劣-26-174]、情報収集よりも戦闘面に偏っている[Ⓝ劣-21-94]。
その戦闘力を維持するため、十文字家の人間には他のことに割けるだけの時間がほとんどない[Ⓝ劣-22-269]。
その実力について、真夜は十文字家を十山家・九島光宣と並ぶ「警戒すべき相手」に挙げ[Ⓝ劣-22-52]、また四葉家・十文字家・十山家以外の二十八家を「二十五家」と一括りに表現して格下扱いした[Ⓝ劣-22-53]。
魔法技能
十文字家の魔法師は、障壁魔法に特化している[Ⓝ劣-19-177]。
空間に対する天性の認識力を更に磨き上げることによって数々の領域防御魔法を駆使し、「鉄壁」の異名を取っている[Ⓝ劣-3-379,4-451]。
その代名詞ともいえる魔法『ファランクス』は、歩兵相手ではなく、機動兵器や航空戦力、飛翔体兵器を相手にしたときに真価を発揮する。大口径機関砲や大型爆弾に止まらず、極超音速質量弾や戦術核さえも無力化するだけの性能を誇る[Ⓝ劣-22-53]。
能動的干渉力は卓越しているが、受動的な知覚力はワンランク落ち、魔法の余波で生じる想子波を捉えるのも余り上手くない[Ⓝ劣-28-83]。
その代わり十文字家では、あらゆる攻撃を防ぎとめるために、情報次元にパッシブレーダーのような知覚網を広げ、攻撃の兆候となる「変化」を読み取る技術、広い範囲の「変化」を受動的に見つけ出す知覚の技術を磨いている[Ⓝキ-2-164]。
また、十文字家の魔法師は『魔法演算領域の過剰活性化〈オーバークロック〉』という、「鉄壁」の異名を支える魔法技術を切り札としている。これは、十文字家の魔法師だけに埋め込まれている機能である。
この機能故に十文字家は「最強の十」と認められたが、この技術には魔法演算領域のオーバーヒートを起こしやすいという性質があり、魔法技能を喪失することがある[Ⓝ劣-21-88,22-270,23-211・247,25-87,Ⓝキ-1-27・48・53・54]。
これは制御できる技術だが、制御しなければ暴走し、魔法力を失うどころか人間としての命さえ縮める怖れがある[Ⓝキ-1-23・27]。
人員
十文字家の魔法師は一人一人が強力な力を持ち、一騎当千の実力を有しているが、配下の人数は少なく、七草家ほどには手駒は多くない[Ⓝ劣-9-129,19-143,21-93]。
これは、同じく首都圏を地盤とする七草家と三矢家に、めぼしい魔法師を取られてしまっているためである[Ⓝ劣-21-93]。
情報収集
情報収集はあまり得意ではなく[Ⓝ劣-12-238]、他家に後れを取る傾向がある[Ⓝ劣-21-94]。
それゆえ、調査は七草家が担い、実戦闘では十文字家も動く、という役割分担になっている[Ⓝ劣-17-245]。
急を要する事態に際しては、克人が真由美から情報を仕入れることがある[Ⓝ劣-21-94]。
拠点
旧東京都・台東区・蔵前に屋敷を構えている[Ⓝキ-1-96]。府中市にある司波兄妹の家からは、直線距離で30km以上ある[Ⓝ劣-18-85]。
また、茉莉花のマンションからは徒歩10分足らずの場所にある[Ⓝキ-1-98]。
屋敷は少し大きめの現代風建築で、司波兄妹の家よりは大きいが、北山家とは比べ物にならない。ただし庭(空き地)は、東京とは思えないほどに広い[Ⓝ劣-18-82,Ⓝキ-1-107・198]。
門は、見かけ以上に堅牢な造りになっている[Ⓝキ-1-108]。
玄関も特に豪華ということはなく、広さは平均的な一戸建て住宅の2倍程度で、目立つ調度品も無い[Ⓝ劣-18-83]。
和樹の書斎には、会社関係の書類や本が並んでいる。また、執務中の仮眠用ベッドにもなる一人掛けのソファが置かれている[Ⓝキ-1-17]。
庭(空き地)には、アリサの離れが建てられており、ここは最新のキッチンと浴室を備えた、ワンルームの独立した平屋家屋になっている[Ⓝキ-1-198]。
敷地が東京とは思えないほどに広々としているのは、旧第十研の敷地をそっくり受け継いでいるためである。塀で仕切られているために一見別々に分かれているように見えるが、取り壊されず残っている旧第十研の土地も十文字家の所有地である[Ⓝキ-1-107]。
旧第十研は国有財産であるため、その施設は十文字家でも自由に使える訳ではないが、訓練場の利用は国から認められている[Ⓝキ-2-23]。
活動
十文字家は、十師族として伊豆を含む関東地方を監視・守護している[Ⓝ劣-17-8・243]。
また、旧第十研の研究を管理する役目を与えられている[Ⓝキ-1-108,2-23]。
2096年4月の反魔法主義運動に際しては、七草家のマスコミ工作に対して正式に抗議し、反魔法師キャンペーンへの関与を直ちに止めるよう求めた[Ⓝ劣-12-247]。
箱根テロ事件においては、克人をリーダーとして七草家・達也・将輝とともに顧傑の捜索にあたった[Ⓝ劣-19-260]。2097年4月には、七草家の提案により、二十八家若手会議を主催した[Ⓝ劣-21-261・270]。
2097年5月には、日本魔法界のため、十文字家として正式に四葉家に申し入れたうえで[Ⓝ劣-23-173]、達也を説得しようとしたが決裂[Ⓝ劣-23-237]。克人はやむを得ず実力行使に出たが、達也に敗北した[Ⓝ劣-23-259]。
2097年夏には、水波を拉致しようとする光宣への対策として、十文字家は調布碧葉医院周辺の警備にあたった[Ⓝ劣-25-213・218]。
1度目の襲撃では光宣の撃退に成功したが、逃走する光宣の追跡は失敗した[Ⓝ劣-26-171・177・184]。
2度目の襲撃では光宣の策に翻弄され、病院内への侵入を許した[Ⓝ劣-27-277・278・285,28-82]。その後、水波を拉致した光宣を追跡したが、樹海の隠れ家に逃げ込まれ、失敗に終わった[Ⓝ劣-28-42・81・90・94]。
研究
十文字家では、「魔法演算領域のオーバーヒートの予防方法」について研究を行っている[Ⓝ劣-21-88]。
2097年時点では、十文字家の魔法師がオーバーヒートを患いやすい理由はすでに判明しており、対策も確立している。その方法を学べば、魔法技能を失うことはあっても、命を失うことはない[Ⓝキ-1-29]。
家系
十文字鎧
十文字家の初代当主。故人[Ⓝキ-1-20]。
十文字和樹
鎧の息子[Ⓝキ-1-20]。十文字家の2代目当主[Ⓝ劣-17-8・238]。
度重なる『オーバークロック』の使用によって魔法技能を喪失し、2097年2月4日、息子の克人に当主の座を譲った[Ⓝ劣-17-239・240・242,23-247,25-87,Ⓝキ-1-23・27]。
代替わり後も、社長として土木建設会社を経営している[Ⓝキ-1-17]。
和樹の前妻
克人の実母。故人[Ⓝキ-1-18]。
2079年に病死した[Ⓝキ-1-18・19]。
十文字克人
和樹の前妻の息子。十文字家の3代目当主。誕生日は2077年4~12月の間[Ⓝキ-1-19]。
2095年時点では代表代理として和樹の補佐を行っているが、実際のところは実質的な当主である[Ⓝ劣-7-130,18-68]。
2097年2月4日、師族会議の場において、正式に当主の座を継いだ[Ⓝ劣-17-239・242]。
結婚相手は未定だが、真由美との縁については何度も囁かれている[Ⓝ劣-9-127,11-359,12-235・236,22-122]。
十文字慶子
和樹の後妻。竜樹と和美の母[Ⓝキ-1-18・19・109]。
2082年12月に和樹と結婚した[Ⓝキ-1-18・19]。
十文字竜樹
慶子の長男[Ⓝキ-1-18・108]。2084年2月生まれ[Ⓝ劣-18-83・108]。
第三高校の2099年度入学生[Ⓝキ-1-110]。
十文字和美
慶子の長女[Ⓝキ-1-18]。2085年度生まれ[Ⓝ劣-18-83]。
伊庭ダリヤ
和樹の浮気相手[Ⓝキ-1-19]。故人[Ⓝキ-1-21]。
2077年頃に日本にやってきた亡命ロシア人(日本に帰化)で、新ソ連の調整体魔法師。元の名前はダリヤ・アンドレエヴナ・イヴァノヴァ[Ⓝキ-1-19・20・42・43]。
2080年に和樹と交際を始めたが、和樹が慶子と結婚する直前に自ら身を引いた……らしい[Ⓝキ-1-19・21・25・31]。
2091年に病死した[Ⓝキ-1-21]。
十文字アリサ
ダリヤの長女[Ⓝキ-1-19]。2083年9月生まれ[Ⓝキ-1-18・19]。第一高校の2099年度入学生[Ⓝキ-1-93]。旧名は伊庭アリサ[Ⓝキ-1-16・18]。
遠上家で暮らしていたが、2097年春に十文字家に引き取られた[Ⓝキ-1-22・24・29・85]。
十文字家の魔法資質を受け継いでおり、それは克人に匹敵するか凌駕するほどのものである[Ⓝキ-1-22・62・82]。
『オーバークロック』の暴走によって命が縮まるのを防ぐため、現在は第一高校に通いながら、十文字家で魔法の制御を学んでいる[Ⓝキ-1-23・32]。
和樹の弟
故人[Ⓝキ-1-93]。
和樹の弟の妻
故人[Ⓝキ-1-93]。
十文字勇人
2082年度生まれ[Ⓝ劣-18-83]。第一高校の2098年度入学生[Ⓝキ-1-93]。
和樹の弟の息子(克人の従弟)で、両親を亡くして和樹の養子となった[Ⓝキ-1-18・93・97]。
横浜事変にて初陣を果たした[Ⓝキ-1-260]。
60歳前後の老婦人
深雪よりも挙措が美しく、品位が感じられる女性。達也は「上品な方」と表現した[Ⓝ劣-18-84]。
達也の感想を受けて克人が照れ臭そうにしていることから、十文字家の縁者かもしれない[管推]。
住み込みの使用人
家事などを行っているが、使用人がそのすべてを行っているわけではない[Ⓝキ-1-128]。
十文字家の魔法師001~010
箱根テロ事件において、顧傑の追跡にあたった十文字家の精鋭[Ⓝ劣-19-143・170・174]。
十文字家配下に相応しい魔法力を有しており、ハイパワーライフルの銃弾すら防ぐ全方位対物障壁魔法を展開することができる[Ⓝ劣-19-170・174]。
稲垣との戦闘で1名が死亡した[Ⓝ劣-19-171]。
家族関係
- 年齢差もあり、克人と竜樹・和美の関係はそれほど親密とは言えない[Ⓝキ-1-18]。
- 十文字家の中でアリサのことを最も可愛がっている(気を遣っている)のは勇人であり、アリサが一番心を開いている相手は勇人である[Ⓝキ-1-96・97・103]。
- 和美は、アリサのことを姉とは呼ばないが、受け容れていないわけでもなく、最初からドライに受け止めている[Ⓝキ-1-102]。アリサも「まあまあ上手くやれている」と考えている[Ⓝキ-1-130]。
三高進学を決めた竜樹に対しては、軽蔑の眼差しを見せている[Ⓝキ-1-111]。 - 竜樹は、アリサを歓迎していない[Ⓝキ-1-110]。十文字家に不和を持ち込んでしまったことについて、アリサは自分を責めている[Ⓝキ-1-111]。
- 竜樹にとって、和樹は尊敬に値する父親であり、克人は自慢の兄である[Ⓝキ-1-110]。
- アリサと慶子は上手くやっている[Ⓝキ-1-130]。
その他
- 魔法力低下の病
十文字家固有の病[Ⓝ劣-17-240]。
十文字家の切り札・『魔法演算領域の過剰活性化〈オーバークロック〉』の多用による魔法演算領域のオーバーヒートが原因とされる[Ⓝ劣-21-88,22-270,Ⓝキ-1-27]。
2代目当主の和樹はこの病にかかり、44歳という若さで魔法技能を失った[Ⓝ劣-17-240,22-270]。
- 十文字家の行動の決定権
十文字家では、当主の一存だけで一族の行動を決めることはできない[Ⓝ劣-21-280,Ⓝキ-1-65]。
十文字家の当主とは、一族の最大戦力、最後の切り札、敵の攻撃を食い止める最終防壁であって、それ以上の存在ではない[Ⓝキ-1-65]。
- 体力作り
十文字家では、体力作りのために、魔法を使わないスポーツが義務付けられている[Ⓝキ-2-126]。