魔法技能師

アニメ〈入学編Ⅰ〉/©2013 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/魔法科高校製作委員会

魔法技能師(Magic Constructor, Magi-crafter)は、実用レベルで魔法を行使するスキルを持つ者の総称[Ⓝ劣-5-8]。通称「魔法師」[Ⓝ劣-1-8・13]メイジスト(Magist)と表現されることもある[Ⓝ劣-30-90,Ⓝメ-1-45]

使用する魔法が現代魔法であっても古式魔法であっても、一括りに魔法技能師と呼ぶ[Ⓝ劣-5-8]

ただし、古式魔法の使い手は、自らを表現する際には「魔術師」「陰陽師」「行者」「忍び」などの伝統的な名称を好む[Ⓝ劣-5-8]
八雲はその好例で、魔法を使うことはできるが、自分自身のことは古式魔法の伝承者たる「忍び(忍術使い)」として認識している[Ⓝ劣-1-63・64]。実際、リーナの「貴方も魔法師でしょう」という問いに対して「僕は『忍び』だ。魔法師ではないよ」と答えていることから、自身のことを「魔法師」と認識していないことが分かる[Ⓝ劣-9-287・288]

資質

魔法の資質

魔法演算領域

魔法師を魔法師たらしめている本体は、魔法師の無意識領域に存在する精神システム、魔法演算領域である[Ⓝ劣-1-68]

想子感受性と霊子感受性

魔法師は、サイオン可視光線可聴音波と同じように知覚する。これは魔法を行使する上で必須の技術である[Ⓝ劣-1-178]
とは言え、干渉力の程度まで判別するにはそれなりの熟練が必要となる[Ⓝ劣-6-320]

一方、プシオンについては、プシオン感受性サイオン感受性と概ね正比例しているものの[Ⓝ劣-1-36]、サイオンほど明確に知覚できる者は少ない[Ⓝ劣-3-424]
稀に先天的にプシオン感受性が高い者もいて、そういう症状(体質)のことを霊子放射光過敏症という[Ⓝ劣-1-35・36]
特にひどい症状の者は、オーラ・カット・コーティング・レンズを使用した眼鏡をかけるなどして、霊子放射光の刺激を緩和する必要がある[Ⓝ劣-1-36]

魔法師の資質

「魔法師の資質」については、多様な意見が存在している。その例を以下に列挙する。

  • 魔法師は、事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなければならない。(服部刑部少丞範蔵[Ⓝ劣-1-163]
  • 魔法師の資質とは、魔法力の大小や、使える魔法の多彩さや強力さといった技能的な問題だけで決まるものではなく、魔法を使わなければならない場面で正しく魔法を使えるかどうか、ということである。(服部刑部少丞範蔵)[Ⓝ劣-3-227]
  • 魔法は手段であって、それ自体が目的ではない。魔法力の面では低ランクの魔法であっても、戦況を動かすことができる。使い方を誤った大魔法は、使い方を工夫した小魔法に劣る。(九島烈[Ⓝ劣-3-272・273]
  • 本当に魔法というのは使い方が大切。(四葉真夜[Ⓝ劣-16-226]
  • 魔法師にとって、イメージとは現実そのものである。(司波達也[Ⓝ劣-3-351]
  • 嘘はいけない。私たち魔法師は噓を現実にする。だから嘘には慎重にならなければいけない。嘘は無意識に現実を上書きして、真実になってしまう。(エイミィの祖母[©優-7-93・94]
  • 家の実力は直接的な戦闘力だけで決まるものではない。(四葉真夜)[Ⓝ劣-16-211]
  • 戦闘力だけが魔法師の価値ではない。(司波深雪[Ⓝ劣-16-211]
  • 敵の魔法の性質を見極め、無駄なく適切な術式を実行することは、高難度の魔法を行使するのとは別の、魔法師としての技量の高さを表している[Ⓝ劣-22-148]

魔法師の種類

現代魔法師

現代魔法師は通常、サイオンの波動(サイオン波)によって魔法を知覚している[Ⓝ劣-3-424]
プシオンも知覚できないわけではないが、サイオンのようにその状態を見分けることは、普通はできない[Ⓝ劣-3-424]
それゆえ、その本体がプシオンで構成されているSBは、活性化していたならばいざ知らず、不活性状態(潜伏状態)にある場合には、知覚することは非常に困難である[Ⓝ劣-3-424]

現代魔法師は皆、イデアにアクセスする能力を持っており、イデアを経由してエイドス魔法式を投射することで現代魔法四系統魔法)を行使している[Ⓝ劣-4-249]

古式魔法師

超能力者

BS魔法師

魔法としての技術化が困難な異能に特化した超能力者のことを、BS魔法師(Born Specialized Magic Constructor)と言う。「 先天的特異能力者」「先天的特異魔法技能者」とも呼ばれる[Ⓝ劣-3-55]

「BSの一つ覚え」と揶揄され、一段下に見られることもあるが、その特異能力は他者に真似できないものが多く、たとえ真似ができるものであったとしても、技術的に極めて高いレベルを示す[Ⓝ劣-3-55]

その他

  • 魔術師
  • 魔女
  • 妖術師〈ソーサラー〉
  • 霊媒師

外見的特徴

魔法師は魔法師でない人間に比べ、左右対称性の高い身体をしていることが多く、魔法資質の高い人間ほど骨格が左右対称的になる傾向が見られる。ただし、美醜は別である[Ⓝ劣-5-335]

魔法師の人口

魔法の資質を持つ者の比率は10代で1000人に1人ほどで、成長期のストレスによる能力喪失によって、成人後には10000人に1人程度になると言われている[Ⓝ劣-5-8]
ただし、これはあくまでも「実用レベル」であって、「実戦レベル」の能力を持つ者になるとさらに希少な存在である[Ⓝ劣-5-8]

日本においては、魔法科高校9校を合わせた1学年あたりの総生徒数は1,200名であり、これはそのまま1年間あたりに供給できる魔法師の人数の上限となっている[Ⓝ劣-3-18]
この数字は、人口対比でみた有効レベルの魔法的素質を持つ少年少女の数(1,200~1,500名/実用レベルの魔法力を持つ国内の15歳男女の人数)とほぼ等しいと考えられている[Ⓝ劣-3-18・32]

なお、才能の開花が遅い、潜在的な魔法適性を持つ子供もいる筈だが、指導を行える魔法師が少ないために、このような人材の発掘は満足に行えていない[Ⓝ劣-3-18]

魔法師との戦闘

  • 包囲体勢からの近距離一斉投擲は、魔法師に対する有効な戦法の一つである[Ⓝ劣-5-153]
  • 少人数の魔法師を相手にする場合、一人が『キャスト・ジャミング』等により魔法を無効化しつつ、もう一人が拳銃で仕留める、という戦法は有効である[Ⓝ劣-6-71]
  • 現代魔法師は、CADの発達により銃器と渡り合うスピードを獲得したが、銃器より速いわけではない。魔法は、ある程度の速度差であれば状況を覆すことができるというだけであって、著しく不利な状況においては、その速度差が勝敗を分ける決定的な要因になることも十分にありうる[Ⓝ劣-6-155]
  • ハイパワーライフルは、対魔法師用に開発された携行武器で、魔法師の魔法の干渉力を凌駕し、対物防御魔法を撃ち抜くことができるだけの火力を有している[Ⓝ劣-6-338]
  • 魔法だけで戦う、というスタイルをとっているのはごく一部の強力な魔法師だけであり、銃を併用する魔法師はむしろ一般的な存在である[Ⓝ劣-7-90]

魔法教育

中学までの魔法教育

日本では中学校まで、公立学校では魔法は教えない。魔法の素質を持つ子供は、公立の魔法塾が放課後に魔法の基礎を手ほどきさせる[Ⓝ劣-1-89]
この段階では魔法の優劣を評価せず、純粋に才能だけを伸ばし、魔法を生業なりわいとする道に進むだけの才能があるかどうかを、本人と保護者に見極めさせる[Ⓝ劣-1-89]
一部の私立学校には課外活動の形で魔法教育を取り入れているところもあるが、魔法を成績に反映させないという点は徹底されている。
本格的な魔法教育は高校課程からとなる[Ⓝ劣-1-90]

高校以降の魔法教育

日本国内の15歳男女のうち、実用レベルの魔法力を持つ者は毎年1,200~1,500名程度であり[Ⓝ劣-3-32]魔法科高校9校の一学年あたりの総生徒数は1,200名であるため[Ⓝ劣-3-18・32]、魔法の才能を持つ少年少女で魔法師・魔工師を目指すものはほぼ全員が魔法科高校に進学する[Ⓝ劣-3-32]

魔法師は希少な存在であるため、それを教えられる教師の数も圧倒的に不足している[Ⓝ劣-1-22]
それゆえ魔法科高校においても、才あるものを伸ばし、劣るものは置いていかれるという、徹底した実力主義の世界となっており、教育機会の均等などという建前は存在しない[Ⓝ劣-1-13]
それを体現しているのが、第一高校などで採用されている一科・二科制度である[Ⓝ劣–]
この制度は合理的であり、現状ではやむを得ないものでもあるが[Ⓝ劣–]、この制度によって、才能の開花が遅い、潜在的な魔法適性を持つ子供の発掘は満足に行えていないことも事実である[Ⓝ劣-3-18]

有効レベルで魔法を行使できる成人が不足しているからこその国策学校であり、一科・二科制度も、魔法師・魔工師の供給を確保するための、ある意味で無理を承知の施策である[Ⓝ劣-2-133]

仮想型端末が魔法師に与える悪影響

仮想型情報端末は一般に、未熟な魔法師に悪影響を及ぼし、魔法力を損なう危険があると考えられている[Ⓝ劣-3-38]
これは、仮想型端末による魔法の仮想体験において、「何の苦労も無く現実の事象を改変できた」と錯覚し、「できないこと」を「できる」と勘違いさせてしまう、つまり「誤った成功体験をすり込んでしまう」という怖れがあるからである[Ⓝ劣-3-397・398]

ただしこれは、能力が発展途上にある、特に十代の魔法師についての話であり、魔法力が固まった成人の魔法師に悪影響はない[Ⓝ劣-3-38]
また、現実でも問題なく行えることを仮体験するためのものとしては、(未熟な魔法師にとっても)有益なツールである[Ⓝ劣-3-397・398]
ただ、そのような有益なコンテンツをきちんと選んで使用することが難しいために、一般に仮想型端末は有害とされている[Ⓝ劣-3-398]

以上の理由から、未熟な魔法師には、仮想型情報端末ではなくスクリーン型情報端末の使用が推奨されている[Ⓝ劣–]
第一高校においても、仮想型端末の使用は禁止されている[Ⓝ劣-1-26,3-396]

なお、魔法師以外でスクリーン型を使用する者は2095年時点では少数派であり、魔法師でも仮想型の利用者が増えつつある[Ⓝ劣-3-38]

魔法師の進路

  • 多くの魔法師の卵にとっては、「魔法を使えるから魔法師になる」という考え方が普通である。(柴田美月[Ⓝ劣-2-107・110]
  • 魔法師は、その能力・素質が進路と密接に結びついているため、魔法科高校の生徒は入学時点で既に進路希望を決めていることも珍しくない[Ⓝ劣-1-79]
  • 九校戦で活躍した選手で、軍人の道に進む者は多い[Ⓝ劣-3-223]
  • 八雲いわく、「魔法を使えるからと言って魔法師にならないといけないわけではない」し、「魔法師になったからと言って、国家に奉仕する義務が自動的に発生するわけでもない」[Ⓝ劣-9-288]

魔法事故

ノウハウの蓄積によって、死亡事故や身体に障碍が残るような事故はほぼ根絶されている。しかし、魔法技能は魔法の失敗体験などの心理的要因によって簡単にスポイルされる[Ⓝ劣-1-22]
魔法科高校においても、魔法事故によって魔法技能を喪失し、退学する生徒が毎年少なからず存在している[Ⓝ劣-1-22]

魔法技能を喪失する理由で最も多いのは、魔法の失敗による危険体験と、それによってもたらされる魔法への不信感である[Ⓝ劣-4-345・346]。多くの魔法師にとって、魔法は目に見えないあやふやな力であり、魔法がどういう仕組みで働いているのかを目で見ることはできない[Ⓝ劣-4-346]
魔法を学ぶ者は、その過程で「自分の魔法は本当に自分の力なのか」という疑念を一度は抱くものだが、事故などによってこの疑念が確信に変わると、その魔法師はもはや魔法を行使することができなくなる[Ⓝ劣-3-346]

魔法師の家系

魔法師の開発

魔法の才能は遺伝する[Ⓝ劣-3-379,4-90]。それゆえ、現代魔法超能力が未分化であった時代から、多くの国で血縁強化による魔法能力の向上が図られた[Ⓝ劣-2-266]

第三次世界大戦以前の魔法師開発は、後進国では素質を持つ者同士の強制交配(国家公認の強姦)で行われていた[Ⓝ劣-12-23]

一方、先進国では人工子宮を用いて行われ、受精前卵子の複製と非外科手術採取法(=射精促進剤)により採取された精子を用いた人工授精によって進められた。遺伝子操作はむしろ少数派で、遺伝子操作を伴わない「試験管ベビー」が大量に「生産」された[Ⓝ劣-12-23]

だが、複製卵子から生まれた子供たちは一様に夭折ようせつし、日本では平均寿命は7歳、最長でも17歳で、みな自然死だった。これは生殖細胞複製技術に問題があったためと考えられている[Ⓝ劣-12-23]

ただし、3歳になれば潜在的な魔法資質の計測は行えるため、彼らの犠牲によって卵子と精子の「正しい組み合わせ」が判明し、国家がお膳立てした「自主的な婚姻」によって、十師族をはじめとする魔法の名門の家系が生み出された[Ⓝ劣-12-23・24]
日本においては、魔法師の出自の8割以上が血統交配型と潜在能力開発型で、生物学的に「作られた」魔法師は2割に満たない[Ⓝ劣-8-161]

こういった経緯もあり、非魔法師の中には「魔法師は全て遺伝子操作で作り出された人造人間だ」というデマを信じ込んでいる者や[Ⓝ劣-5-242]、「魔法師は人間に奉仕するために作られた『もの』であり、人間に奉仕することは当然の義務」という認識を持つ者もいる[Ⓝ劣-8-159]。ただし、前者はともかく、後者に関しては事実の一端であることも間違いない[Ⓝ劣-8-160]

魔法師の家系

魔法の才能は遺伝する[Ⓝ劣-3-379,4-90]。それゆえ、魔法師の力量には、その血筋が大きく影響する[Ⓝ劣-3-239]

このため、血縁強化による魔法力の向上が図られ、結果として現代魔法の名門とされる様々な家系が誕生した[Ⓝ劣-2-266]

また、魔法は遺伝するが故に、一般に血縁者の間では得意・不得意が共通し、そのため同じ家系では魔法の得意・不得意も共通する(四葉家は例外)[Ⓝ劣-3-379]

現代魔法師の家系

現代魔法師は、その成立に至る過程で血縁強化が重ねられ[Ⓝ劣-2-266]、結果として強力な魔法師を輩出する家系が誕生した[Ⓝ劣–]

十師族および師補十八家二十八家)は、国家機関である魔法技能師開発研究所で生み出された家系であり、苗字に「一」から「十」までの数字を冠することを許されている[Ⓝ劣–]

魔法技能師開発研究所とは関係なく、独自に血縁強化を重ねた家系である百家は、十師族に次ぐ力を持っている[Ⓝ劣-2-266]。その中でも本流とされる家(百家本流)では、千葉家千代田家のように、苗字に「十一」以上の数字が入っている[Ⓝ劣-3-239]

十師族・師補十八家・百家本流の家系は、苗字に数字を冠していることから「数字付き」ナンバーズの隠語で呼ばれている[Ⓝ劣-3-8・239]

なお、本流に属していない百家である百家支流には、服部家[Ⓝ劣-20-245]渡辺家[Ⓝ劣-3-203]森崎家[Ⓝ劣-5-72]などがある。これらの家は苗字に数字を持たず、ナンバーズには数えられない[Ⓝ劣-3-8]

また、魔法が国力と結び付くにつれて各国で魔法師の血統の囲い込みが行われるようになったため、現代では魔法師の国際結婚は行われていない[Ⓝ劣-4-91]
ただし、達也たちの祖父母の世代では、より優れた魔法師を開発する目的で、同盟国間で魔法師の国際結婚が奨励された時代がある。このため魔法科高校には全国の高校の平均を上回る比率で、西欧系・インド系の血統を持つ生徒が在籍している(レオエイミィ[Ⓝ劣-4-91]

古式魔法師の家系

古来より伝統的な魔法を伝えてきた古式魔法師家系には、吉田家藤林家などがある。

魔法師の社会

ランク至上主義

日本の魔法師社会においては、現状、使える魔法の等級(ランク)が最も重視されている[Ⓝ劣-3-273]

魔法師の社会的な意義

魔法師は、人類社会の公益と秩序に奉仕する存在である[Ⓝ劣-8-160]

同時に、現代魔法師は、元々兵器として生み出された存在でもある[Ⓝ劣-4-420]

21世紀末においても、魔法師の開発はその9割が軍事利用を目的としたものだと言われている[Ⓝ劣-6-97]

こうした状況を打開するため、経済的便益による魔法師の地位向上を目指す者も、少数ながら存在している[Ⓝ劣-6-96∼98]

魔法師の管理

魔法師は国家の財産、国家の兵器であり、国家に属するものである[Ⓝ劣-8-208]
民間の魔法師であっても、国益に反する行動は許されず、それゆえ魔法師の人権は非魔法師に比べ著しい制限を受けている[Ⓝ劣-8-208]

魔法師は希少な人的資源であるため、日本国内の魔法師、特に実用レベルの魔法技能を持った魔法師は全て国の管理下にある[Ⓝ劣-14-106]
現代魔法師古式魔法師も、そのほとんどは十師族を頂点とする魔法師のコミュニティに属しており[Ⓝ劣-4-407]、間接的に国の管理下にある[Ⓝ劣-14-106]
ただし、古式魔法では特定の術に限り使えるようになるケースがあり、古式魔法師の中には国の管理下に無い「野良」の魔法師が存在している[Ⓝ劣-14-104・106]

魔法師の評価

  • 魔法師の評価は、多くの国では国際評価基準に基づいて行われる。魔法科高校においても、国際評価基準に即して作られた実技評価基準に基づいて評価される[Ⓝ劣-1-189]
  • 単一系統・単一工程の魔法で、起動式の展開完了・読込開始から起算して魔法の発動まで500ms以内が、魔法師として一人前と呼べる目安とされている[Ⓝ劣-2-102]

地位と職業

日本では、魔法師が地位を得て公式の権力を手にすることは、十師族により禁じられている[Ⓝ劣–]

その代わり、政府警察財界といった、様々な意味で権力を持つ者に魔法のスキルを提供することで、自らの存続する基盤を得ている[Ⓝ劣–]

たとえば百家本流の一つ・千葉家は、剣術道場を営むかたわら、多くの警官に魔法白兵戦技を教えたり[Ⓝ劣-2-120,4-240,11-279,]、魔法武器を開発して警察に納入したりすることを生業としている[Ⓝ劣-7-113]

十師族も、表の権力を放棄した代わりに、政治の裏側で不可侵に等しい、司法当局をも凌駕する権勢を手にしている[Ⓝ劣-2-266・267]

日本の魔法師の平均収入が高いのは、社会的に必要とされる希少スキルを有している魔法師がいることによるものである。魔法師はそもそも絶対数が少なく、その中に相対的に高い割合で高所得者がいるために、平均収入が高く算出されているだけである[Ⓝ劣-2-93]

確かに日本の魔法師の軍人・行政官は、そうでない者に比べ高い報酬を得ているが、それは単純に過重労働の対価でしかない[Ⓝ劣-2-72]。また、日本の魔法師の中には、魔法技能を有しながらも魔法とは無関係の職しか得られず、平均的なサラリーマンよりも低賃金に甘んじている者も大勢いる[Ⓝ劣-2-93]

このように、魔法師は正当な行為で利益を生み出した対価として金銭を得ているのであって、魔法師であるという理由で優遇されたり高い報酬を得たりしているわけではない[Ⓝ劣-2-93]

優れた魔法技能を有している者は、学生であっても短期就労(アルバイトなど)に困ることは無い。その魔法技能が無ければ務まらない求人の場合には、たいてい一般の求人よりも条件が良い[Ⓝ劣-5-141]

婚姻

21世紀末の日本では、魔法師は早婚であることが求められている。特に女性魔法師は、早くに結婚して、早くに子供を産むことが求められている。これは、代が新しくなるほど、先天的に高い能力を持つ傾向があるためである[Ⓝ劣-11-74]
結婚しなくても法令で罰せられることなどはないが、魔法師のコミュニティから弾かれる恐れがある[Ⓝ劣-16-40]

国際結婚については、魔法が国力と結び付くにつれて、各国で魔法師の血統の囲い込みが行われるようになった。そのため、現代では魔法師の国際結婚は行われていない[Ⓝ劣-4-91]
ただし、達也たちの祖父母の世代では、魔法師開発の目的で、同盟国間での魔法師の国際結婚が奨励された時代がある[Ⓝ劣-4-91]九島健が渡米し、USNAで家庭を持ったのも、この頃の話である[Ⓝ劣-9-66]

魔法師と魔工師

達也魔工師(魔法工学技師)と魔法師を区別しているが、これは自身の進路がこの二つで明確に区分されるからである[Ⓝ劣-1-80,3-23]

社会の一般的な分類では、魔工師は魔法師の一種であり、魔法を使えない魔法工学技術者は魔工師には分類されない[Ⓝ劣-3-23]

魔工師の社会的な評価は魔法師に一段落ちるが、業界内での需要は並みの魔法師より高く、一流の魔工師の収入は一流の魔法師を凌ぐ[Ⓝ劣-1-80]

魔法技能を持つ者の総数に占める魔工師の数は、魔工師ではない魔法師に比べて明らかに少ない[Ⓝ劣-21-144]

ルール・マナー・不文律・社会的風潮など

  • 他の魔法師が使った非公開術式の内容を詮索することは、マナー違反とされている[Ⓝ劣-1-177,7-123・275]
  • 苗字に数字を持つ一族は「数字付き」ナンバーズと呼ばれるが、これは隠語である[Ⓝ劣-3-8]
  • 苗字から数字を剥奪された一族である「数字落ち」エクストラ・ナンバーズを、それを理由に差別することは、魔法師のコミュニティにおいて重大な非違行為とされている。また、「数字落ち」という言葉も、公式に使用することは禁止されている[Ⓝ劣-3-8,5-332]
  • 21世紀末の日本では、ハイレベルな魔法師は、軍事資源たる遺伝子の流出を避けるため、政府によって海外渡航を非公式かつ実質的に制限されている[Ⓝ劣-9-22・23]
  • 上述の理由から、魔法師の長期出国は厳しく管理されており、それゆえ魔法科高校の生徒の海外留学も実現性に乏しい[Ⓝ劣-5-127]
  • 熱核兵器の使用阻止は、世界中の魔法師にとって最優先される義務である。それゆえ魔法師は、核兵器の使用を阻止するという目的に限り、属する国家のくびきを離れ、紛争に実力で介入することを許されている[Ⓝ劣-8-21]
  • 魔法師は、民間人として保護される権利を大きく制限されている[Ⓝ劣-9-307]
  • 魔法師は、早婚であることが求められている[Ⓝ劣-11-74]

社会の中での魔法師

  • 非魔法師には、「魔法師は政府によってコントロールされている」と高を括っている部分が存在していた[Ⓝ劣-21-49]
  • 新ソ連の、魔法師でない兵士は、「近い将来、軍で活躍するのは魔法師ばかりになるのではないか」ということを恐れている[Ⓝ劣-21-66]

反魔法主義運動

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