3巻前半部分の感想をば。
殴り書きで申し訳ない。
達也
元老院
達也が、樫和主鷹を呼び捨てにしました。敵認定一歩手前ってところなんでしょうか。
そういえば、これは完全に元老院案件だったのに、真夜に確認とりませんでしたね。2巻でもそうでしたが。四葉家内における達也の地位向上が感じられます。
あるいは、単に描写されていないだけで、実は了承を得ていたりするのかもしれませんが。
達也と情報部
達也、ちょっと情報部に嫌われ過ぎですね。まぁ大体情報部が悪いと、僕はそう受け取っちゃうんですが、情報部側から見れば厄介極まりないジョーカーですから、致し方ないのかもしれません。
しかし、このままでいいのでしょうかね。仮にも国防陸軍の重要部署なので、どうにかして協調していかないとまずい気がしますが。
達也についての違和感
『魔法科高校の劣等生』シリーズの後半くらいから、達也さんには何か違和感を抱くことがちょいちょいあります(やたら故事を引用することとか)。
今作だと、61Pで響子の恋路?に謎の疑惑を向けました。
司波達也、こんなことする人でしたっけ? 恋のフラグ描写は、モロなものはここまで無いですし、いちおう「フラグ」と読み取れなくもない描写もあるにはありますが、あんまり描かれていない。
仕事で展示会に行くのは普通のことですし。
明確なフラグがあれば、達也がこんなふうに訊ねることはあるかもしれませんが、疑惑とも言えない段階で訊ねたことには違和感アリアリでした。
達也自身について
達也は今回の実証実験で、防衛政策局長さんに「人間なのか」と言われています。
この流れは、はたして達也にとって問題ないことなのでしょうか?
特典小説『IF』でも語られていたことですが、達也は「自分はまだ人間なのか」というところに疑問を抱いています。
今作においても、「人間的な自分」に対して苦笑しているシーンがあります。
前シリーズから「魔王」呼ばわりはしょっちゅうでしたし、「神」呼ばわりも散見されます。
達也が「力そのもの」となったあの日以降は、神や魔王などと同一視されるケースは、きっと増えているのだろうなぁと思います。
五十里明とか、ある種の信仰ともとれるでしょう。
「魔法」が存在し、「言霊」が存在し、「存在が認識に影響される」というこの世界において、かように「恐れられ」「怖れられ」「畏れられる」存在は、「人間」のままでいられるのでしょうか。
「ヒトでないナニカ」に変質してしまうことは、無いのでしょうか。
先行きが不安です……。
深雪
実証実験に際して、寝起きのリーナが駆け込んできました。
深雪さん、返事をするのはいいけども、達也の方を向いたまま返事するのは、少しばかりお行儀が悪いのではありませんか?
これは「淑女」らしい行動なのでしょうか?
まぁ、それだけ愛が深い(重い)のなら仕方ないのかもしれませんね……
相手もリーナですし、まぁ……いやいや、やっぱりあれはどうなんでしょうね。うん。
八雲
今作では九重八雲師が登場しました。師匠キタ!
それは嬉しいんですが、八雲が達也相手に腰が引けてるように感じられてしまって、少し残念でした。
いくら比叡山側の落ち度であっても、いつも通り飄々としている、というのが個人的な九重八雲の理想像なので……。
◇◇◇
ところで達也が八雲に出されたお茶を飲まないのは、苛立ちや不信の表現と読み取りましたが、それで合ってるのでしょうか? わざわざ傍点を振ってあるんで、何かしら伝えたいメッセージが込められているとは思うのですがね。
文弥・亜夜子
「重さ」に関する文弥の考え方、ちょっと考えさせられますね。
センシティブなテーマなので言及が難しい所ですが、文弥のセリフはまぁひとつの真理でしょう。重くない忠臣なんて信じられません。
それはそれとして、文弥君の吹っ切りっぷりは最高ですね。
女装イラストを所望します。笑
幹比古とエリカ
怒る幹比古、いいです。
猛る幹比古もいい。
思い遣るエリカも最高ですね。
色気ある感じで「幹比古君」って呼ぶエリカもこの上ないです。
それ以上の言及は不要でしょう。
真由美と摩利
摩利様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
連隊に配属されたんですね。やっぱり、達也のヤバさとか伝え聞いているのでしょううか?
しかし、摩利さんは、あんまり「軍人」ってイメージがないんですよねー。似合わないし、苦労していそうな感じを持っています。
卒業パーティが流れたことを気にする摩利様、尊いです。
それくらいいいのよ? そこまで悔やむことじゃないのよ???感。
軍人として、親友にも礼を重んじて接するのもいいですね。
「軍人の顔になる」、これって大人の姿。必要に応じて立場を変化させる技術。形だけでも、19歳でできるのはしゅごい。
挿絵の真由美さんが大人っぽくてよき。
USNAで起こったであろう摩利とリーナのワチャワチャも、超楽しみです。
ところで真由美さん、「初めての本格的な海外旅行」に傍点が振られているってことは、「本格的でない海外旅行」は経験あるんです?
樫和主鷹
樫和主鷹の陰謀、ショボすぎなのではありませんか?
達也は攻撃できないから、達也の友人を攻撃しよう、人質にしようとか、こんなの「陰謀」って言えます?
常套手段すぎますし、ありがちすぎる下衆手段ですし、本当にこのお方は何を考えているのでしょう。
事に当たって調を動かすわけでもなく、情報部の暴走が潰されるのも傍観しています。
現時点では、何をしたいのかさっぱりですね。
国防軍・防衛省
防衛大臣
40代の大臣って若すぎではないですか?
「実証実験」にあたって防衛省に来てないの意味不明ですし、緊急幹部会議に「出席させられる」のも残念過ぎる……。
現実の大臣も、そんなものなのかもしれませんが……。
防衛省
今回は、防衛大臣の他、統合軍令部長や参謀本部長、防衛事務次官、防衛政策局長など、いろんなポストが登場して、個人的には興味深いものがあります。
調べたところ、現実世界の防衛省組織でも同じポストがあるようですね。防衛事務次官は制服組か背広組か、という点についても、いずれ考えてみたいところ。
そのうちまとめたいですね。
国防陸軍情報部
情報部がいろいろ人事異動したようですが、わかりにくいですねー。
前副部長はどうなったのか。副部長は複数いるらしいので、22巻らへんで登場した副部長は、今も副部長のままなのか。
現部長は以前の部長なのか。
十課の新課長は、過去登場した人なのか。
詳細が知りたいところです。
独立魔装連隊
今回初登場の習志野基地第一空挺団。調べてみると、かなり独立魔装大隊感があって興味深かったです。『GATE』『空母いぶき』『暗殺教室』等の有名作品でも登場する部隊らしいので、界隈では知名度があるのかもしれません。佐島先生もインタビュー等で言及したりしてるんでしょうか……。
風間大佐については、佐伯の呪縛から解き放たれ、自身の気持ちに嘘を吐かなくて良くなったんだろうなぁ、という感想を持ちました。
そんなことは書かれてないので「感想」ですが。
風間は軍の規律、軍人の姿勢を大切にしながらも、一方で達也を人間として好意的に捉えている節がありました。
しかし、佐伯がいたころは達也と風間のミスマッチが多く、いざこざもありました。
ここのモヤモヤが、今シリーズでは払拭されていくのかな、そうなって欲しいな……という想いです。
あと、「前回の大戦末期」という風間のセリフですが、風間が軍人として「次回の大戦」を意識している感があってよきです。
その他国防軍
幹部候補生学校なるものが登場しました。
軽く調べたところ、カノープスが通っていた「ウエストポイント」に相当する士官学校っぽいですね。
自衛隊の場合は、陸自は福岡県久留米市、海自は広島県江田島市、空自は奈良県奈良市にあるようです。
少し気になったのは、海自の学校が「無番地」になっている。ドウシテ。
いきさつを調べるのもおもしろいかもしれません。
ちょっと関東の基地が多すぎるので、他の地域の国防軍基地も知りたいところですね。
藤林大門
長正の異母弟ですか。異母弟にしては、年がめちゃくちゃ離れてますね。藤林家の家系図もややこしそうです。
と言うか、何時の間にか代替わりしたんですね。前シリーズで言及されてましたっけ? あるとすれば入院シーンのあたりでしょうか?
とまれ長正さん、お勤めご苦労様でした。長太郎さんガンガレ
あと、大門に対して偉ぶるのは、達也の趣味じゃないと思うんですけど、達也も本当に大変ですね。
追記:「UNIX系OSのバックグラウンドプロセス『デーモン』」のことを忘れてました。
魔法
ドッペルゲンガー
以前ツイートで言及しましたが、「ドッペルゲンガー」は光宣の魔法とは別物なのでしょうか?
「いちおう別物だが類似点は多い」とか、そういう感じなのでしょうか。
光宣の『仮装行列〈パレード〉』は人造精霊化という工程が入っていますが、光宣のドッペルゲンガー的謎魔法にはこの技術も使われていそうだなぁ、などとも思っています。
精霊の眼〈エレメンタル・サイト〉
「情報的なパスをつなげ、それを手掛かりにして『視認』する」というくだりは、31巻86Pの描写の言い換えですね。
「ある種の循環参照のように思われるかもしれないが」の部分です。
マーキング
「情報的なマーキング」は、顧傑に使った「想子印によるマーキング」と同じものなのでしょうか?
この手の技術については、水波の追跡時などに、特に明記もされずにさらっと使われていることが多く、もうよく分かりませんね。
「封印の解呪」の影響も絡んでいるのかもしれませんが。解呪により、わざわざマーキングをせずとも、一度情報的に接することが出来れば、あとは追跡できる、とかとか。
本件については、wikiでまとめてみないとよくわかんないですね。
魔法と時間
「魔法は時間の外で作用する」
これ意味不明です。どういう意味なんです?
いや、ニュアンスとしては分かるよーな分からないよーなという感じなんですけど、「論理的な理解」ができません。
「時間の外」とは何を指しているのか?
イデアには時間的な縛りがないとか、そういう絡みの話だとは思うんですが、やっぱりニュアンスでしかわかりません。
時間の外って何だ!
幹比古の魔法
以下は、ざっくり調べて掴んだ感想です。詳細は間違っている可能性があります。
「ノウマク・サマンダ・ボダナン・アギャナウエイ・ソワカ」は心身を浄化するもののようです。
「ソワカ」は密教系の発音とのことなので、ここの火天アグニは「密教における火天」を指しているのでしょうか? 同じ名前の同じ神様だけど、別の宗教では異なる解釈をされていたりすることが多いようでして、理解がなかなか難しいですね。
「オン・シュリ・マリ・ママリ・マリ・シュリ・ソワカ」も心身の浄化らしいです。
「オン」も密教系の発音。烏枢沙摩明王は「火神」とのこと。
なおネットで調べると「ママリ・マリ・シュリ」ではなく「ママリ・マリ・シュシュリ」になってるんですが、これは単なるミスでしょうか?
何らかの意味があるのでしょうか?
あるいは「マリ・シュリ」ver.のマントラがあるのでしょうか?
そして、アグニも烏枢沙摩明王も火にまつわる存在のようです。
密教における「火」とは何なのでしょうね。「火葬」という様式があることを考えると、「火」には「浄化」の意味合いがあるのかもしれません。
「かけまくもかしこき~」は神事で使われる「祓詞(はらえことば)」という祝詞の一種だそうです。罪や穢れを払うもの。
浄化2連発+祓いの組み合わせで呪詛対策とした、ということなのでしょうか。
宗教界隈は難しい……。
追記:「青銅鏡ではなく銅鏡」の件も良く分かりませんでした。
ちょろちょろ調べてみましたが、古来より「鏡」は「自分を映すもの」として神聖視されると同時に、「害をはね返すもの」として捉えられ、それゆえこのシーンでは「返しの術法」的な用途で用いられた魔法具なのだろうと推察します。
ただし、「青銅ではなく銅」なのはよく分かりませんでした。事前知識が足りなすぎる。そこにある意味は何? 青銅じゃダメなのですか?
銅と青銅、微細な経緯の違いがあるらしいことまでは知りましたが、それがどのようにしてこの手の伝統・宗教に影響していったのかについては、まだ理解できていません。佐島先生がわざわざ強調したのだから、意味はあるはずですが、少しばかり深く潜って調べないと分からなさそうです。
質量爆散の「試し撃ち」について
126Pの話ですが、これ、いつ、どんな風にやったんでしょうね。いろいろ疑問が出てきます。
個人的には、「たぶん、『星を呼ぶ少女』のジークぶっぱの話だろうな」と思っています。
◇◇◇
試し撃ちを実際にやっていたとして、
①そのターゲットは、どうやって見つけたのか。
→未発見だったものを、四葉家独自に見つけて、誰にも知られないうちに処理したのなら問題はないでしょう。
しかし、四葉家にそこまでの技術があるのでしょうか? 描写がなく不明ですね。
②あるいは、発見されたばかりで、その情報がごく一部に留められていて、そのごく一部に四葉家が手を回して口止めをし、世間に知られないうちにこっそり試し撃ちしたのか。
→これも筋は通せそうです。
ただ、そういう暗躍があれば、佐島先生なら描くだろうと僕は感じています。
なので、やや違和感があります。
③1と2のどちらでもない場合
→「天体が突然軌道変更した・消滅した」等の謎現象が確認されるはずなので、これはやや問題があります。
四葉家が「知られても問題ない」と判断したならば、その限りではないですが。
……と、諸々の違和感が噴出しました。
このことから、ここでいう「試し撃ち」は、2096年の2095GE9〈ジーク〉の破壊のことを指しているのでは?などと想像してしまいました。
達也は、126Pで次のように述べています。
「5年ぶりじゃない」のは、ジークをぶっぱしてるので、確かに5年ぶりではありません。
一方で、「試し撃ちは済ませてある」については、「『サード・アイⅡ』の試し撃ち」と捉えれば、次の3つの可能性が考えられます。
- 実際に小天体をぶっぱした。
- いわゆる「発動前実験」を実施しており、それを指して「試し撃ち」と述べた。
- 実は試し撃ちなんかしておらず、達也がウソをついている。
1の場合は、前述したように違和感が残ります。2と3については、どっちもありそうで、何とも言えないところですが。
ここで、「『サード・アイⅡ』の試し撃ち」 ではなく、「超長距離マテバの試し撃ち」という解釈でいけば、ジークぶっぱの件を「試し撃ち」と言っても、まぁウソではないでしょう。
リーナの質問に対して具体的な回答をせず、あやふやな表現にとどめたのは、ジークの件にはリーナも縁がないわけではないからではないか?などと思ったりもします。
以上の想像とは別に、ありそうだな~というのが「佐島先生によるミスリード」です。
ミスリードというか、読者に『星を呼ぶ少女』を想像はさせたけど明言はしないという今回の表現は、前巻の「進人類戦線の前リーダーによる事件」から「オフショアタワーテロ事件」を想起させた部分にそっくりです。
アニメ〈来訪者編〉を見た人は、当然このテロを想像すると思いますが、前巻では明言されていない。
劇場版『星を呼ぶ少女』を見た人は、当然ジークの破壊を想像すると思いますが、今巻では明言されていない。
構図がそっくりです。何を意図してのことなのかは判然としませんが、「作者があえて想起させている」という可能性は捨てきれないと思います。
佐島先生
「古典は侮れない」←これすきです。
ってかアダムスミス懐かしいですね。倫理の授業、結構面白かった記憶があります。
「国家機関による強制自粛」、コロナ禍における佐島先生の想いを反映している感があります。
作品の流れについては、いったん6月19日まで話を進めてから、キリのいいところで6月15日に話を戻しています。
これ、佐島先生はあんまりやらない手法だと思うんですが(基本的に時系列順に展開する)、読みやすいし理解しやすくていいですね。
複数の勢力が複雑に絡み合うようなストーリーでは、時系列をいかに描写していくかって、かーなーり難しいと思うんですけど、少なくとも今回はわかりやすかった。
よく考えたらそんなことも無い気がしてきたので撤回します。
大した話ではないですし、今作以前から判明していたことですが、佐島先生のカレンダーは、日曜始まりのようですよ。
「誰かを呪う」という行為に対する嫌悪感は古式魔法師こそ強い、とのこと。
こういう超細かい設定が魅力的すぎて、魅力的です。
以上、雑な感想文(前半)でした。
読みづらくて申し訳ない。