隕石爆弾〈ミーティアライト・フォール〉は、調整体魔法師 「わたつみ」シリーズが操る戦略級魔法[Ⓝ㊕星呼-6・29,㊮星呼パンフ-27・30]。地球近傍に来た小惑星などの巨大質量体の軌道を操作して引き寄せ、地球に落下させる魔法[Ⓝ㊕星呼-69・152,Ⓒ星呼-1-108,2-20,㊮星呼パンフ-30,全テ-116]。
国防海軍が極秘に研究しているもので、南盾島基地の南方諸島工廠で開発が進められている[Ⓝ㊕星呼-69・88,㊮星呼パンフ-30]。ベンジャミン・カノープスは「大戦時代の遺物」と表現している[Ⓝ㊕星呼-8,Ⓒ星呼-1-16,㊮全テ-116]。なお2096年3月末の南盾島事変は、この魔法を世界の脅威と判断したUSNA軍 統合参謀本部が、関係する研究資料や実験機器を(術者や研究員も含めて)完全に破壊するようスターズに命じたことによって起こったものである。アンジー・シリウスにしか使えない戦略級魔法『ヘビィ・メタル・バースト』の使用許可までもが下りていることから、統合参謀本部の本気度が窺われる。この魔法の使用は「日本という外国においてUSNAの使徒が戦略級魔法を使用した」ことの状況証拠となるものだが、これについてカノープスは「『世界の脅威となる戦略級魔法が新たに生み出されることを許容しない』というステイツの意志を知らしめるためのもの」とコメントしている[Ⓝ㊕星呼-69∼71・141・169,Ⓒ星呼-1-107∼109・111,2-54,㊮SB-星呼-10・14,管補,管想]。
概要・特徴
魔法の威力
-
落下させる質量にもよるが、都市どころか一国を丸ごと消滅させることすら可能な極めて危険な魔法。例えば直径1kmの隕石が地球に落下した場合には、(隕石を構成する物質の密度にもよるが)TNT火薬換算で10~25ギガトンに達する。これは国を消滅させるどころか世界の文明と生態系を破壊するのに十分な威力である。しかもその程度のサイズの小天体は、太陽系内において珍しい存在ではない[Ⓝ㊕星呼-69,Ⓒ星呼-1-108,㊮全テ-117,管補]。
質量体を引き寄せるタイプと遠ざけるタイプがある
- 小惑星を地球上に落下させるタイプの発動と、地球を周回している衛星を地球から離れさせるタイプの発動は、起動式/魔法式の方向性を逆転させたものであるらしい[Ⓝ㊕星呼-30・153,Ⓒ星呼-2-22,管補]。
欠点
- 破壊力が大きい一方でコントロールが難しく、万が一魔法が失敗した場合の被害は途轍もなく大きい[㊮SB-星呼-10]。
- いったん発動させると停止する方法がない[㊮全テ-117]。
- 2096年3月末時点では小惑星の軌道を確実にコントロールするだけの技術は無く、実験を行った場所に小天体を引き寄せることができるだけのものである[Ⓝ㊕星呼-28]。
- 作中では未完成のまま用いられており、術者が魔法を発動した地点に対象物を引き寄せる性質がある[Ⓝ㊕星呼-222]。
- 欠点があるうえに威力が大きすぎるため、兵器としてはあまりにも使い勝手が悪い[㊮全テ-117]。
精神の強制リンク
- 惑星間レベルの非常に長い距離で照準を設定する。具体的には、超遠距離にある天体を捕捉・スキャンし、軌道変更して地球へ向かわせる。これには膨大な計算が必要となり、そのデータ処理は大型CADでなければ行えない。また魔法の規模が大きすぎる為、一人分の魔法力ではキャパシティが足りず魔法式を構築することもできない。このため複数の魔法師が同期して魔法式の構築を行う必要がある[㊮星呼パンフ-13・30,全テ-100・116・118,管補]。
- 術者を使い潰すことを前提とした魔法であり、司波達也はそのような存在を許すつもりはない[Ⓝ㊕星呼-88・195,㊮星呼パンフ-27]。
その他
- 移動系統魔法と知覚系魔法は、『隕石爆弾』との関連が深い[Ⓝ㊕星呼-32]。
開発の経緯と背景
元々は第三次世界大戦前夜に日本とUSAが共同研究を進めていた魔法で、大戦中もUSNA軍と共同研究を行っていた。しかし実用化の目途が立たない(失敗した場合は地上に隕石が落下してしまうという重大なリスクを抱えていた)ために打ち切られた[Ⓝ㊕星呼-27,㊮星呼パンフ-30,全テ-116,管補]。
研究資料は破棄されたはずだったが、実際には調整体の製造手順と共に小笠原諸島・父島の秘密倉庫に隠匿されていた(父島にはUSAとの共同研究施設があった)。大戦終結直後にこの資料を発掘した国防海軍は、統合軍令部にも報告せず自分たちだけでこの研究を復活させた[Ⓝ㊕星呼-27・28,㊮星呼パンフ-30,全テ-116]。
当時彼らが自分たちだけで利用しようとした理由は、万が一この事実が露見した時の責任を海軍内部に留める為だった(USNAが責任を追及してきた時に海軍参謀部が首を差し出すことで日本政府が負債を負わないようにしようという目算だった)のだが、年月が経つにつれて彼らはこの研究を海軍のものと考えるようになり、何時の間にか「海軍の発言力を高める為の手段」に変わっていた。[Ⓝ㊕星呼-29,管補]。
◇◇◇
2095年10月末日、国防陸軍は大きな戦果を挙げた。国防海軍の上層部はこれを受けて「海軍の戦略級魔法」の完成を焦った。日本の「使徒」・五輪澪は民間組織十師族の所属だし、「灼熱のハロウィン」を引き起こした戦略級魔法師は陸軍の所属である。それに対して海軍は2092年8月の沖縄海戦では易々と制海権を奪われ、佐渡侵攻事件ではむざむざと佐渡島に上陸された。そして今回の横浜事変では艦隊の動員が間に合わなかった。このように黒星続きの海軍参謀部は、焦りから兼丸孝夫に早急な成果を迫った[Ⓝ劣-7-323,Ⓝ㊕星呼-29・30・150,Ⓒ星呼-2-18,㊮星呼パンフ-27,全テ-101・116,管補]。
実際には海軍は予算削減の憂き目を見てはおらず、むしろ海防強化の為に艦艇を増やすべきだという声が高まっているのだが、首脳部はそれに安心することができず「少なくとも陸軍と同等の切り札を持たなければ相対的に発言力が低下してしまう」という焦りに囚われていた[Ⓝ㊕星呼-30]。2096年3月末に行われた2度の実験は、国防陸軍に対抗意識を燃やした国防海軍兵器局の首脳部が強行したものである[㊮全テ-116]。
発動履歴
1回目
日時
2096年3月26日(月)夜[Ⓝ㊕星呼-2・152,Ⓒ星呼-1-5,㊮星呼パンフ-5,SB-星呼-6]
状況
国防海軍の対空ミサイル艦 「だいこく」内でテストとして発動(『小惑星落下実験』)[Ⓝ㊕星呼-6・28・29,Ⓒ星呼-1-5,㊮星呼パンフ-5,全テ-116]魔法の対象
小惑星 「2095GE9〈ジーク〉」[Ⓝ㊕星呼-24・25・152,Ⓒ星呼-1-40]術者
9名の「わたつみ」シリーズ(綿摘未一亜、二亜、三亜、四亜、五亜、六亜、七亜、八亜、九亜)[Ⓝ㊕星呼-5・6・89,Ⓒ星呼-1-6∼9]
使用CAD
「計都」[Ⓝ㊕星呼-6・7]内容
被害
なし(28日から29日に日付が変わる頃に司波達也が『質量爆散』で「ジーク」を破壊)[Ⓝ㊕星呼-26∼29,Ⓒ星呼-1-40・42,㊮星呼パンフ-5,SB-星呼-6,四継パンフ-3]
備考
- 兼丸らには「ジーク」の大気圏突入を防ぐ術は無く、無責任なことにその破壊には『質量爆散』を(勝手に)当て込んでいた。もし『質量爆散』が使われなかった場合には九州地方は壊滅し、最悪の場合には第四次世界大戦が起こっていた可能性すらある[㊮SB-星呼-6,全テ-117,管補]。
- この実験は、当初予定されていた人数を割り込んだ状態で進められた[Ⓝ㊕星呼-30]。
- 実験後、綿摘未三亜の消耗は著しく、衰弱により感覚が鋭敏化していた[Ⓝ㊕星呼-32]。
2回目
日時
2096年3月30日(金)19時[Ⓝ㊕星呼-29・31・144,㊮SB-星呼-6]
魔法の対象
「セブンス・プレイグ」[Ⓝ㊕星呼-29・153∼155,Ⓒ星呼-2-23,㊮SB-星呼-14]術者
8名の「わたつみ」シリーズ(綿摘未一亜、二亜、三亜、四亜、五亜、六亜、七亜、八亜)[Ⓝ㊕星呼-156]
使用CAD
「計都」[Ⓝ㊕星呼-]内容
先日行われた『小惑星落下実験』だが、実際には隕石を厳密にコントロールすることはできず、兵器としてはあまりにも使い勝手が悪い。海軍上層部を説得するため『隕石爆弾』に防衛兵器としての役割も持たせようと考えた兼丸は、隕石落下の魔法式の方向性を逆転させ、現在あるいは将来的に脅威となる人工衛星を衛星軌道から外し宇宙の彼方へと葬り去るための『軌道離脱実験』が行われた[Ⓝ㊕星呼-29・153,Ⓒ星呼-2-22,㊮SB-星呼-6,全テ-117,管補]。
実際には実験中に南盾島事変が勃発。アンジー・シリウスの『ヘビィ・メタル・バースト』による影響か、あるいは術者の一人である綿摘未九亜が欠けていたためかは不明だが、実験は失敗し「セブンス・プレイグ」は地球に向けて落下することとなった[Ⓝ㊕星呼-155∼158,Ⓒ星呼-2-25∼28,㊮SB-星呼-14]。
被害
なし(司波達也が『ベータ・トライデント』によって「セブンス・プレイグ」を無害化)[Ⓝ㊕星呼-222∼224,Ⓒ星呼-2-152∼158]
備考
- 南方諸島工廠の所長である兼丸は、「この実験が成功すれば『隕石爆弾』は攻撃手段としてだけでなく防御手段としても使えるようになる」「衛星軌道兵器対策として大きな意味を持つようになり、大規模攻撃にしか使えない陸軍の『質量爆散』よりも戦略的な価値は高い」と考えていた[Ⓝ㊕星呼-29,㊮SB-星呼-6,全テ-117]。
- 『隕石爆弾』の魔法は「セブンス・プレイグ」が落下し始めたのちもしばらく作用し続けたらしく、達也が衛星を発見できなかったのはこのためである[Ⓝ㊕星呼-221・222]。
備考
- 「わたつみ」シリーズは、精神の強制リンクによる『隕石爆弾』行使のために作られた調整体魔法師で、『隕石爆弾』に最適化されている[Ⓝ㊕星呼-6・27・32,㊮星呼パンフ-27,SB-星呼-9,全テ-100・101,管補,管推]。
- 「わたつみ」シリーズらを心配した盛永明子は、『小惑星落下実験』からのインターバルが短すぎる『軌道離脱実験』の実施に反対した[Ⓝ㊕星呼-30,㊮SB-星呼-6]。
- 「わたつみ」シリーズは14歳なので、「非常事態を除き18歳未満の魔法師を軍役に使用しない」という魔法師人権保護の国防軍規則を、国防軍が自ら破っていることになる。本件について(魔法師の利益を守るための組織である)十師族が動いた。十文字克人が南盾島基地を訪ねたのはこのためである[Ⓝ㊕星呼-59・87・89∼91,㊮星呼パンフ-27,管補]。
- 南方諸島工廠で行われている研究内容については、南盾島基地内でも上層部の一握りにしか知らされていない[Ⓝ㊕星呼-142]。
- 他国が使用中の衛星に対してこの魔法を使用した場合、面倒なことになる可能性がある[Ⓝ㊕星呼-153]。
- 「わたつみ」シリーズが乗り込む「計都」は、本来12人用のCADである[Ⓝ㊕星呼-156,管補]。
- 作者によれば、原作小説にまだ出てきていない戦略兵器(USA軍が開発しているという噂のある極超音速飛翔体=「神の杖」や「ヘルストーム」などの戦略宇宙兵器・ポスト核兵器)を大規模魔法にしたらどうなるか、というのがこの魔法のアイディアの出発点である。ゲーム系ファンタジーの一つの定番である「隕石落とし」について実現可能性を考え、最終的に「地球に近い小天体を引き寄せる」という形に落ち着いた[㊮星呼パンフ-13,全テ-134]。











