ベータ・トライデント

©2016 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会

ベータ・トライデントは、中性子を一斉にベータ崩壊させる魔法[Ⓝ㊕星呼-188・225]
「セブンス・プレイグ」および「ヘイル・オブ・ファイア」を破壊する際に用いた魔法[Ⓝ㊕星呼-188・224,全テ-123]

正式名称は「Beta Decay Dispersion Tridentベータ・ディケイ・ディスパージョン・トライデント」(ベータ崩壊を伴う三連分解の矛)[Ⓝ㊕星呼-87,全テ-123,星呼パンフ-31,㊮SB-星呼-18,管補]

劣化ウラン弾を積んでいる「セブンス・プレイグ」を処理するにあたって、たとえば『雲散霧消』ミスト・ディスパージョンを使うという選択肢が思い浮かぶが、その場合「劣化ウランをばらまく」という結果になるのは変わらない[Ⓝ㊕星呼-188]
ならば『質量爆散』マテリアル・バーストで爆破すればとも思うが、その場合には、少なくとも高熱で蒸発した劣化ウランが微粒子として広く散布される。さらに、爆発の衝撃が電離層どころかヴァン・アレン帯にまで届くことになるかもしれず、その結果大気圏上層に穴が空くと、有害な宇宙線が地表へ大量に降り注ぐ危険性も考えられる[Ⓝ㊕星呼-188]

以上をふまえると、劣化ウランを無害化する為には元素変換が必要となるのだが、『ベータ・トライデント』はこれに最適な魔法であった[Ⓝ㊕星呼-188・189]

なお、この魔法は達也が『バリオン・ランス』開発する過程で試作品として生み出された(=『バリオン・ランス』の元となった)未完成の分解魔法だが、達也は「実戦闘には使えない失敗作」と判定し、見切りをつけていた[Ⓝ㊕星呼-87,星呼パンフ-13・37]

原理

『ベータ・トライデント』は、『トライデント』と同じく3つの連続する工程から成り立っている[Ⓝ㊕星呼-188]

  1. 原子分解式の構築
    物質を原子分解する[Ⓝ㊕星呼-188・222,全テ-123,星呼パンフ-31,㊮SB-星呼-18]
  2. ハドロン分解式の構築
    原子核陽子中性子に分解する。核子の結合を解くだけであり、核子同士を引き離す効果はない。陽子同士は電磁気的斥力で反発し合うが、陽子の拡散が始まる前に次のステップが開始する[Ⓝ㊕星呼-188・222,全テ-123,星呼パンフ-31,㊮SB-星呼-18]
  3. ベータ崩壊式の構築
    中性子をベータ崩壊(負のベータ崩壊)させ、中性子から電子および反電子ニュートリノを分離し、中性子を陽子に変化させる[Ⓝ㊕星呼-188・224,全テ-123,星呼パンフ-31,㊮SB-星呼-18]

第1段階と第2段階は一瞬で終了するが、第3段階の工程(ベータ崩壊魔法)には継続時間が設定されており、その時間が経過するまで事象改変の効果が維持される。魔法の効果が持続している間、陽子は中性子から分離された電子を捕獲することができず、電子の大部分は陽子とともにプラズマ状態で拡散する[Ⓝ㊕星呼-188・189,全テ-123,星呼パンフ-31]

現象

  1. あらゆる構成物質が原子に分解され、対象となった物体は一瞬で形を失う[Ⓝ㊕星呼-224]
  2. 原子核ハドロンに分解され、ハドロンとレプトンが密集した雲が出現する[Ⓝ㊕星呼-224]
  3. 中性子から電子反電子ニュートリノが分離され、陽子と電子のプラズマ雲となる。南盾島事変のケースでは、魔法の効果によって電子捕獲は進行せず、結果として分解された劣化ウランはより安定的な元素に組み変わり、放射性物質の毒性は除去される[Ⓝ㊕星呼-189・224,全テ-123,星呼パンフ-31,㊮SB-星呼-18]
  4. 魔法の効果が切れた後に電子捕獲によって陽子と電子の一部は中性子に変化する[Ⓝ㊕星呼-189,㊮SB-星呼-18]
  5. 電子と陽子が爆発的に拡散する(質量の軽い電子の方が高速)[Ⓝ㊕星呼-224]
  6. 電子、陽子、プラズマ粒子が大気圏に到達。酸素原子や窒素分子と衝突し、高層の空気を電離させ、オーロラが生じる[Ⓝ㊕星呼-224・225,全テ-123,㊮SB-星呼-18]

課題

  • 一つのストレージを丸々占有する巨大な起動式を必要とし、『誓約』オースを解除した状態の達也であっても、この魔法の発動においては起動式の読み込みに5秒を要する。魔法式の構築においてもその規模に応じて時間がかかり、今回のケースでは5秒を要した(合計10秒)。そのうえ魔法演算領域に掛かる負荷が大きすぎて、発動後は次の魔法がしばらく使えなくなってしまう[Ⓝ㊕星呼-87・88・189,星呼パンフ-37,㊮SB-星呼-18]
  • 達也の魔法力では一発勝負になる[Ⓝ㊕星呼-218]

その他

  • 南盾島事変の際に、「コバート・ムーバル・スーツ」などの装備の貸出料として、「機会があれば実践でデータをとってほしい」と真田繫留に頼まれて、達也起動式が格納されたストレージを受け取った[Ⓝ㊕星呼-87・88・188]
  • この魔法は物質の根源に近いところにまで踏み込む分解魔法であり、結果を見れば現代魔法において不可能とされている元素変換魔法の一種であると言える[Ⓝ㊕星呼-189]
  • この魔法の行使は、分解魔法に特別高い適性を持っている達也にとっても大きな負担になる[Ⓝ㊕星呼-189]
  • 『大深度雲散霧消』ディープ・ミスト・ディスパージョンは、『ベータ・トライデント』の第2段階(原子核の分解)を独立の魔法にしたものである[Ⓝ㊕星呼-192]
  • 劣化ウランに用いた場合、電子捕獲が起こったとしても、ウランが再構成される可能性はほぼゼロに等しく、したがってこの魔法は劣化ウランの無害化に適している[Ⓝ㊕星呼-189]
  • オーロラの発生については、物理的な考証に基づくものである旨を作者が述べている[全テ-134]
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