『事象干渉力霊子波理論』【じしょうかんしょうりょく-プシオンは-りろん】は、司波達也が発見した魔法理論[Ⓝ劣-28-75]。「事象干渉力の源、事象干渉力の正体は霊子波である」とする理論[Ⓝ劣-29-165,30-96,メ-2-204,3-104・105・245]。
2099年に達也、および共同研究者の東山知時が論文を発表し、これを提唱・証明した[Ⓝ劣-32-281,メ-2-109,3-183,9-29]。この論文は、達也が魔法工学技師としてだけではなく理論魔法学の分野でも評価されるようになる決め手となった[Ⓝメ-9-29]。ただしこの論文には「霊子波を事象干渉力に変換する加工方法」については示されていない[Ⓝメ-2-109]。
なお発表の具体的な時期について、2099年4月初頭に五十里明が「(達也は)先日も画期的な論文を発表した」旨を述べている。この「画期的な論文」が本研究を指すと仮定すれば、2099年の1~3月ごろに発表したものと推測される[Ⓝキ-1-179,管推]。
事象干渉力について
魔法師が魔法を行使するとき、事象干渉力は魔法師の無意識領域から対象のエイドスに直接注ぎ込まれる。それは魔法師本人にも「事象干渉力を注いでいる」としか認識できないものである[Ⓝ劣-28-75]。事象干渉力はテレポーテーションのように直接移動するものであるが故に、柴田美月のような霊子を直接視認することができる異能者にも霊子波として認識されることはなかった[Ⓝ劣-28-76]。『領域干渉』のような事象干渉力そのものを空間に満たす魔法でも、それはあくまで「魔法」として、空間に干渉した後の状態でしか観測されることはなかった[Ⓝ劣-28-76]。
なお事象干渉力の正体について、過去に探求がされてこなかったということではない。想子情報体だけではなく霊子情報体が事象干渉力を媒介しているという仮説も、少数派ながら魔法研究者の間には存在していた[Ⓝ劣-28-76]。
発見の経緯
2097年7月、アレクサンダー・アークトゥルスの幽体と戦っていた司波達也が、アークトゥルスが稼働させている『幽体離脱』の魔法チャネル(『幽体離脱』の術式を維持する為に肉体から幽体へ事象干渉力を送り込んでいる「通路」)を対象として『術式解散』を行使したところ、崩壊したチャネルから霊子波が漏れ出した[Ⓝ劣-28-73∼75,30-96,管補]。
事象干渉力の通路を破壊したら霊子波が漏れ出した。これにより達也は「事象干渉力の正体は霊子波である」という気づきを得た。ここから「魔法には想子だけでなく霊子も使われている」ことが判明した[Ⓝ劣-28-75・76,管補]。
事象干渉力の正体が霊子波であると観測されたのはこれが最初だった。達也の誤認でなければ、魔法学における一大発見となる[Ⓝ劣-28-75・76]。
個別の魔法や技術の事例
死体を使って出力するもの
「ソーサリー・ブースター」や『蹟兵八陣』に見られるような、死体を使って魔法を出力するタイプの技術は、その元となった魔法師の霊子情報体(亡霊)を死蠟の中に閉じ込め、死蠟に蓄積された霊子を使って事象干渉力を放出させる(亡霊の持つ事象干渉力を利用する)ものであるらしい[Ⓝ劣-29-164・165,30-96,管補]。魔法の強制終了
物体に掛けていた魔法が定義破綻により強制終了させられると、魔法のために用意された事象干渉力(霊子)は行き場を失い、一部は術者に逆流するらしい[Ⓝ劣-29-247・248,管補]。
人造レリック「マジストア」
全ての霊子波が事象改変を引き起こすわけではなく、(事象改変のためには)霊子波を事象干渉力に変換する必要がある[Ⓝメ-2-109,管補]。
司波達也が開発した人造レリック 「マジストア」による魔法発動においても、霊子波の事象干渉力への変換が重要であるらしい[Ⓝメ-2-109,管補,管推]。影響
司波達也はこの発見をきっかけに、事象干渉力だけを自分の中から取り出して鍛える方法や、事象干渉力を魔法式から切り離して別々に作用させる技術、事象干渉力を後から追加する技術などを開発し、これらの技術によって仮想魔法演算領域による魔法の威力を普通の魔法のレベルにまで引き上げることに成功した。2100年時点の達也は、たとえば一条将輝とそれほど変わらない強度の遮音障壁魔法を展開できるようになっている[Ⓝメ-2-204・205,3-105,Ⓝ㊕同窓-5]。また、この発見は刻印魔法にも新たな知見を与えた。それまで刻印魔法陣は「魔法式に相当する情報を刻んだ回路に想子を流すだけで魔法が発動されるもの」とされていたが、実際には想子だけでなく霊子波も想子に乗せて放たれていた。刻印により形成された回路を流れる想子が魔法式を形作り、霊子波がその魔法式を作動させていた[Ⓝメ-3-104・105]。

