精神の強制リンク【せいしん-の-きょうせい・りんく】は、複数の魔法師の魔法演算領域を強制的にリンクさせて大規模な魔法式を構築する魔法技術[Ⓝ劣-23-148,Ⓝ㊕星呼-63,Ⓒ星呼-1-92,孤立-1-84,㊮全テ-100,管補]。
第三次世界大戦中に日本軍とUSNA軍との間でこの技術の研究(人体実験)が行われていたが、実験台となった魔法師の自我が崩壊し、最終的に失敗と判断されてデータは破棄されたことになっている[Ⓝ劣-23-148,Ⓝ㊕星呼-63,Ⓒ星呼-1-92,孤立-2-84・85,㊮星呼パンフ-30]。

コミカライズ『星を呼ぶ少女』第1巻より.Ⓒ2016 佐島勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会,ⒸTSUTOMU SATO/Pinakes 2018
概要・特徴
一人の魔法師がイニシアティブを取り、他の魔法師の魔法演算領域を外付けの魔法演算領域として利用することで、巨大魔法式を構築する[Ⓝ㊕星呼-64,㊮全テ-118]。
外付けの記憶装置としてではなく演算装置として利用するので、利用される側の精神は魔法式の構築中に利用する側から一方的にアクセスを受けるのではなく、利用する側も利用される側から頻繁にアクセスを受けることになる[Ⓝ㊕星呼-64,㊮全テ-118]。これにより術者らの自我は喪失していき、能動的な意思を失い、命じられなければ食べることも排泄することもできない「生きた人形」のようになってしまう[Ⓝ㊕星呼-33・61∼63,Ⓒ星呼-1-89,㊮全テ-100,管補]。大戦中の実験では、実験台となり自我を失った魔法師は自発的な思考ができなくなり、自分の生命を維持する為の行動も満足にできなくなるという症例が続出した[Ⓝ劣-23-148,Ⓒ孤立-2-85]。
吉田幹比古は自我喪失の話を聞いて「無茶苦茶だ」「そんなことをして術者の精神が無事でいられるはずがない」と述べ、
司波達也もこれに同意している
[Ⓝ㊕星呼-64,Ⓒ星呼-1-92]。

コミカライズ『星を呼ぶ少女』第1巻より.Ⓒ2016 佐島勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会,ⒸTSUTOMU SATO/Pinakes 2018
事例
「わたつみ」シリーズ
2096年3月26日、国防海軍が開発中の新たな戦略級魔法『隕石爆弾』の実験が行われ、火星 公転軌道と地球公転軌道のほぼ中間宙域を漂っていた小惑星 「2095GE9〈ジーク〉」の公転軌道が変更された[Ⓝ㊕星呼-2∼7・24・152,Ⓒ星呼-1-6∼9・11・13・14・16・39・40]。これは『精神の強制リンク』の技術を用いて行われたものである[管補]。

『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』/©2016 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会
「わたつみ」シリーズは、専用の大型
CADである
「計都」に乗り込み『精神の強制リンク』によって大規模魔法
『隕石爆弾』を行使するが、この「計都」は
魔法師が乗り込んで操作するタイプではなく、魔法師を内部に取り込んで
魔法式を出力させるタイプのCADで、
定数も変数も外部から指定される
[Ⓝ㊕星呼-4,Ⓒ星呼-1-6,管補]。

『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』/©2016 佐島 勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会
起動式の読み込みの前にまず、「わたつみ」シリーズらの
想子波は同調させられる。続いて
起動式出力用の
想子を確保するために想子が自動的に吸入される。そののちに「計都」が起動式を出力し、「わたつみ」シリーズらはこれを強制的に読み込まされる。このとき「わたつみ」シリーズらは起動式の読み込みと
魔法式の構築を能動的に行える状態にはなく、その表情は虚ろなものになっている
[Ⓝ㊕星呼-4∼6,Ⓒ星呼-1-7∼9,管補]。
綿摘未九亜の担当者である
盛永明子は「このまま実験を続けると、
自我が消えて人形のようになってしまう」と述べている
[Ⓝ㊕星呼-61,Ⓒ星呼-1-89]。

コミカライズ『星を呼ぶ少女』第1巻より.Ⓒ2016 佐島勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会,ⒸTSUTOMU SATO/Pinakes 2018

コミカライズ『星を呼ぶ少女』第1巻より.Ⓒ2016 佐島勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会,ⒸTSUTOMU SATO/Pinakes 2018
実際に、「計都」の中から出た後の気持ちを問われた九亜は「私が、私たちの中に、ふわふわ、溶けていくみたいだった」旨を述べており、これについて司波達也は「自我消失の自覚症状がある」と判断している[Ⓝ㊕星呼-63,Ⓒ星呼-1-91・92]。

コミカライズ『星を呼ぶ少女』第1巻より.Ⓒ2016 佐島勤/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/劇場版魔法科高校製作委員会,ⒸTSUTOMU SATO/Pinakes 2018
USNAの空母「エンタープライズ」
USNAでは2097年時点において、
原子力機関非搭載の
航空母艦・
「エンタープライズ」の動力=発電システム(
フライホイールを回転させる魔法)に『精神の強制リンク』が用いられている。
アンジェリーナ=クドウ=シールズが感知したところによれば、投入されている
魔法師の数は「少なくとも10人以上、もしかしたら20人近い」とのことで、また「この
魔法には全ての要素が記述された
起動式を魔法師に
読み込ませて、強制的に術式を発動させている」「本人の
意思を無視して魔法師を完全に魔法機械のパーツにしてしまうこのテクノロジーは、軍人の人権を保障した
USNA軍の規則に違反している」とのことである
[Ⓝ劣-23-148・149,Ⓒ孤立-2-83・86∼88,管補]。

コミカライズ〈孤立編〉第2巻より.Ⓒ2024 TSUTOMU SATO,Ⓒ2024 Tsuna Kitaumi/SQUARE ENIX,Ⓒ2024 Fumino Hayashi・Chiaki Nagaoka/SQUARE ENIX

コミカライズ〈孤立編〉第2巻より.Ⓒ2024 TSUTOMU SATO,Ⓒ2024 Tsuna Kitaumi/SQUARE ENIX,Ⓒ2024 Fumino Hayashi・Chiaki Nagaoka/SQUARE ENIX
ベゾブラゾフの『トゥマーン・ボンバ』
新ソ連の
戦略級魔法師である
イーゴリ・アンドレイビッチ・ベゾブラゾフは
『トゥマーン・ボンバ』を行使する際、自身のクローンである
「アンドレエヴナ」らを補助用の
外部端末(
魔法力を増幅する為の外付け端末)として使用することがあるが、このときに『精神の強制リンク』の技術が用いられているものと思われる
[Ⓝ劣-24-264・265・291,Ⓒエス-3-83・84,管補,管推]。
具体的には、ベゾブラゾフ専用のCADである「アルガン」から出力された起動式は強制的に「アンドレエヴナ」らに読み込まされ、魔法式を構築させられる[Ⓝ劣-24-274,Ⓒエス-3-84,管補]。
「アンドレエヴナ」らは自我を奪われ、「指揮者」ベゾブラゾフが操るままに魔法を奏でるプレーヤー、「奏者」(=ただ魔法を発動する為の生体機械)と化しているが、これは本体であるベゾブラゾフの精神が浸食を受けないようにするための措置である[Ⓝ劣-24-265,Ⓒエス-3-82,管補]。
ベゾブラゾフが「奏者」らを使うたび、使用された「奏者」の精神は壊れていく。実際に使用されている時、「奏者」は意識の無いままに苦悶の表情を浮かべている。しかしベゾブラゾフはそれに躊躇いを持っていない[Ⓝ劣-24-266・274,Ⓒエス-3-83]。

コミカライズ〈エスケープ編〉第3巻より.ⒸTSUTOMU SATO/YUZUKI N’ 2024
備考
- 「一つの魔法を複数の魔法師で協力して発動する」という点で『魔法の協働発動』と内容が共通している部分があるが、技術的には大きく異なる[Ⓝ㊕星呼-64,管補]。
- 司波達也は盛永明子に対し、「精神の強制リンクなど、ろくな結果にならないのは分かり切っている」と冷え切った目で告げた[Ⓝ㊕星呼-149,Ⓒ星呼-2-17]。
- USNA軍では、魔法師から強制的に魔法を引き出すことは軍規で禁じられている[Ⓝ劣-23-148,Ⓒ孤立-2-84]。
-
アンジェリーナ=クドウ=シールズは、
「エンタープライズ」の真実を知って大きな衝撃を受けた
[Ⓝ劣-23-169∼171,Ⓒ孤立-2-136・139]。このことはのちに
日本に帰化する理由の一つになった
[管想,管推]。

コミカライズ〈孤立編〉第2巻より.Ⓒ2024 TSUTOMU SATO,Ⓒ2024 Tsuna Kitaumi/SQUARE ENIX,Ⓒ2024 Fumino Hayashi・Chiaki Nagaoka/SQUARE ENIX
- 精神生命体であるパラサイトは精神そのものをつなげることができる(最初からつながっている)ため、本当の意味で魔法力を束ねることができる(人間でいう魔法演算領域を完全にシンクロさせて一つの魔法に力を合わせることができる)[Ⓝメ-9-65,管補]。
- 作者は「計都」およびこの魔法技術について、「魔法師をパーツにするという非人道的なやり方が視覚的にもインパクトがあるので採用した」旨を述べている[㊮星呼パンフ-13]。