魔法技能師開発研究所【まほう-ぎのうし-かいはつ-けんきゅうじょ】は、日本の国立研究機関[Ⓝ劣-8-113,メ-1-125,㊮全テ-145]。現代魔法の勃興期、第三次世界大戦前の2030年代に、緊迫化する国際情勢に対応して先進各国と同様に日本政府が次々に設立した魔法師開発の為の研究機関[Ⓝ劣-8-113,13-8,24-191,㊮全テ-145,GB-劣3-3-21]。
国家にとって必要不可欠な施策として始まり、第一から第十までの10ヵ所が設立された。第三次世界大戦の期間中にもっとも活発に活動していたが、現代魔法の暗部であるため半数が封印の憂き目に遭い、戦後相次いで閉鎖された。しかし2096年~2100年時点においても5ヵ所が稼働している[Ⓝ劣-8-113,9-263,13-8,15-164,24-191,メ-10-244,Ⓒ動乱-4-45,㊮全テ-148,GB-劣3-3-21]。
なお魔法科高校を魔法師開発研究所の後継と考える者もいるが、表面的には二者の間に繋がりは無い[㊮全テ-148]。
概要・特徴
魔法師開発研究所の目的は、魔法の開発ではなくあくまでも魔法師の開発であり、目的とする魔法に最適な魔法師を産み出す為の遺伝子操作を含めて研究されていた[Ⓝ劣-13-8]。
優れた魔法師を開発するために、人間性を無視した非人道的な内容を含めて様々な実験・技術開発が行われていたらしい[Ⓝ劣-12-24,㊮GB-劣3-3-21]。そんな魔法師開発研究所であっても、親子間や兄弟姉妹間の遺伝子を使うことは避けられていた[Ⓝ劣-15-262]。
魔法師開発研究所では、遺伝子の組み合わせが慎重に吟味された。その成功例が二十八家だが、九鬼家を除く二十七家では遺伝病の発生がむしろ少ない傾向にある[Ⓝキ-5-240]。
第三次世界大戦中、魔法は軍事技術と見做されていた。(ゆえに)魔法師開発研究所は兵器開発拠点と同等であり、たとえ研究所に身を置く人物の婚約者であっても立ち入りは厳格に管理されていた[㊮画集-3-146,管補]。歴史
魔法の存在とその重要性が判明した1999年の核兵器テロ未遂事件ののち、世界中で魔法技能の開発が行われた。しかし魔法は遺伝することが分かり、その方針は魔法技能の開発から魔法師の開発(高い能力を持つ魔法師を安定的に供給できる「優れた血筋」の開発=人間の改造)へと舵が切られた。やがて(魔法師の開発における)卵子と精子の正しい組み合わせが判明すると「人間の品種改良/交配実験」が半ば公然と行われるようになった。後進国では素質を持つ者同士の強制交配(国家公認の強姦)が行われた。また先進国ではスマートな形での効率的な開発(複製した受精前卵子および射精促進剤で採取した精子による人工授精=試験管ベビーの大量生産など)が行われた。このようにして人の尊厳は踏みにじられた[Ⓝ劣-12-22∼24,㊮全テ-145,管補]。 日本では、世界の中でも最も整理された形で十師族という「魔法師の名門」が成立した(=魔法師という「種族」の開発に成功した)。これは「国家がお見合いのお膳立てをして自主的に婚姻を結ぶように仕向けること」が先進国の中で最も容易という文化的背景によるものであった[Ⓝ劣-12-22∼24,管補]。魔法師開発研究所が建てられた時点では日本の魔法師研究は無暗な実験を繰り返す段階を終えており、魔法師研究は魔法師を誕生させることではなく、その“血統”を作り整備する段階に達していた。世界各国の魔法師開発で問題とされていた“複製卵子から誕生した子供が短命に終わる”という欠陥も克服され、魔法師開発研究所は数多くの優秀な魔法師の家系を輩出した。これが後に十師族を頂点とする「数字付き」となる[㊮全テ-145]。
2060年ごろの魔法師開発研究所は、政府の管理下で運営されていた(第四研を除く)[㊮画集-3-146]。
第四研以外の魔法師開発研究所は、成功例に対しては好い待遇(衣食住の全てにおいて平均以上。お金を出しても物が買えないことも少なくない戦時下においても政府から優先的に物品の供給を受けられる)を与えていた[㊮画集-3-146]。
魔法師開発研究所をルーツとする魔法師たち
魔法師開発研究所出身の魔法師たち
- 魔法師開発研究所では、その作品に自らが関する数字を含む姓を与えた[Ⓝメ-1-125]。
- 魔法師の家名として数字の入った苗字が使われるようになったのは、魔法師開発研究所が輩出した優秀な魔法適性を持つ人々が研究所のナンバーを元にした苗字に改名したのが始まりで、これは出身と魔法特性を示すものであった。改名後世代を重ねつつ、ある状況で権威や伝統といった要素が加わり変化が生じた苗字もある。だが当初は分類名に近い考え方で、条件を満たさなければ改名させられることがしばしばあった[㊮全テ-145]。
- 魔法師開発研究所をルーツに持つ魔法師の間では、入り組んだ血縁関係は珍しいものではない[Ⓝキ-2-131]。
二十八家
また風間玄信は烈との会話の中で、十師族(を始めとする魔法師開発研究所出身の魔法師)について「我々(古式魔法師)とあなた方(二十八家の魔法師)に大した違いはないが、自らを人間ではない、とする認識を子供や若者に強要する遣り口を使っているには嫌悪感を懐く」という旨を述べた[Ⓝ劣-4-408]。烈はこの風間の意見を肯定しつつ、「元来は兵器として開発された存在であっても今は違う」「ただ兵器として在るだけでは人の世界からはじき出されてしまう」とコメントしている[Ⓝ劣-4-410]。
また風間は四葉家について、「『兵器として開発された魔法師』の伝統を最も忠実に守り続けている一族」と評している[Ⓝ劣-4-410]。
数字落ち
「数字落ち」は、魔法師開発研究所においてナンバーを与えられながら後に不良品と判定され姓から数字を剥奪された魔法師の家系。数字の剥奪は、期待された性能を発揮できなかった場合や、国家や家に対して反逆行為を行った場合など行われる[Ⓝ劣-14-238・239,メ-1-125,㊮全テ-146]。
数字落ちは魔法師開発研究所での魔法師開発における非人道性の生きた証拠であり、日本魔法界に君臨する十師族にとっては同族を見捨てた罪の証で、どうしようも無く罪悪感を催す存在であるが故にに差別と忌避の対象とされてきた[Ⓝメ-1-125,2-189]。
ただし十師族は数字落ちを追放した側ではなく、彼らもまた国防の大義名分の下に魔法師開発研究所で弄ばれた存在である[Ⓝメ-2-190]。
なお、数字の剥奪後には元の姓に読みが似ている苗字を与えられるのが通例であった[Ⓝメ-1-125]。
各研究所
稼働状況
2095年11月時点においても稼働しているのは、第二[Ⓝ劣-13-8,]、第三[Ⓝ劣-13-8,]、第五[Ⓝ劣-13-8,]、第六[Ⓝ劣-13-8,]、第八研究所[Ⓝ劣-13-8,] の5ヵ所である[Ⓝ劣-8-113,9-263,13-8]。
残る5ヵ所(第一[Ⓝ劣-13-8,]、第四[Ⓝ劣-8-113,13-8]、第七[Ⓝ劣-13-8,]、第九[Ⓝ劣-13-8,]、第十研究所[Ⓝ劣-13-8,])は魔法師の人権が回復するに連れて研究内容が非人道的との理由から次々と閉鎖された[Ⓝ劣-8-113,9-263,13-8,㊮GB-劣3-3-21]。ただし閉鎖された5ヵ所のうち3ヵ所は2097年時点においても看板と運営主体を変えて実質的に存続していて[Ⓝ劣-24-191]、具体的には第一研(金沢魔法理学研究所)[Ⓝ劣–]と第九研(第九種魔法開発研究所)[Ⓝ劣-24-191]であると思われる。残りの1ヶ所は第七研と第十研のどちらかだと思われるが、これについては明記が無く不明である[管補,管推]。
各研究所の概要
各研究所にはそれぞれ研究テーマがあって、テーマに沿った能力を得意とする魔法師が作られていった[㊮全テ-145]。
- 研究テーマ:『対人戦闘を想定した生体に直接干渉する魔法の開発・研究』[Ⓝ劣-13-8・26,17-6]
- 設立年:2031年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:不明(看板と運営主体を変えて実質的に存続)[Ⓝ劣-13-8,24-191,㊮GB-劣3-3-21]
- 所在地:旧石川県 金沢市[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:一条家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、一色家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、一之倉家[Ⓝ劣–]、一花家(数字落ち)[Ⓝ劣–,メ-1-126,Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 跡地には金沢魔法理学研究所が設立[Ⓝ劣-5-196,27-98・111,32-253,㊮画集-2-149]
- 研究テーマ:『無機物に干渉する魔法の開発・研究』[Ⓝ劣-13-8,17-6]
- 設立年:2031年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:元の看板のままで稼働中[Ⓝ劣-13-8,21-292]
- 所在地:旧兵庫県 淡路島[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:二木家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、二瓶家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、二階堂家[Ⓝ劣–]、二宮家(数字落ち)[Ⓝ劣–,Ⓐ劣2-11-B]、仁科家(数字落ち)[Ⓝ劣–,Ⓐ劣2-11-B]、深見家(数字落ち)[Ⓝメ-2-189]
- 備考:
- 深見家の元の名は「二宮」もしくは「仁科」のどちらかと思われるが、どちらかなのかは不明[Ⓝメ-2-189,Ⓐ劣2-11-B,管推]
- 研究テーマ:『魔法同時発動の最大化の研究』[Ⓝ劣-13-8,17-6,21-292]
- 設立年:2032年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:元の看板のままで稼働中[Ⓝ劣-13-8,21-292,メ-10-244]
- 所在地:旧神奈川県 厚木市[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:三矢家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、三日月家[Ⓝ劣–,メ-1-125]、三枝家(第七研に移籍)[Ⓝ劣–,㊮画集-3-146]、三咲家(数字落ち)[Ⓝ劣–,Ⓐ劣2-11-B]、三宅家(数字落ち)[Ⓝ劣–,Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 魔法師開発研究所には珍しく開放的な性格を有しており、研究成果は第七研や第十研、国防軍などに共有されている[Ⓝ劣-12-353,21-292]。
- 2097年時点で稼働中の魔法師開発研究所の中で最も活発に活動している[Ⓝ劣-21-292]。
- 研究テーマ:『精神干渉系魔法による魔法演算領域の強化』[Ⓝ劣-13-8・26,17-7]
- 設立年:2033年(推定)[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:閉鎖されたことになっているが、実態は不明。時期も不明[Ⓝ劣-13-8]
- 所在地:
- 甲府市から諏訪市の間[Ⓝ劣-17-7,29-102]
- 旧長野県との境に近い旧山梨県の、山々に囲まれた狭隘な盆地[Ⓝ劣-12-25]
- 作品:四葉家およびその分家[Ⓝ劣–]
- 備考:
- 人道・人命を無視した研究が行われていたと噂される、悪名高い「死の第四研」[Ⓝ劣-8-113・114,9-263]
- 他の魔法師開発研究所とは設立の経緯が異なっている[Ⓝ劣-13-8]
- 表向き閉鎖されたが四葉家の下で実質的に稼働中[Ⓝ劣-12-31]
- 魔法師開発研究所の中でも特段の秘密保持が図られた[Ⓝメ-9-147]
- 研究テーマ:『物質の形状に干渉する魔法の開発・研究』[Ⓝ劣-13-8,17-7]
- 設立年:2035年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:元の看板のままで稼働中[Ⓝ劣-13-8,21-292]
- 所在地:旧愛媛県 宇和島市[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:五輪家[Ⓝ劣–]、五味家[Ⓝ劣–]、五頭家[Ⓝ劣–]、五来家(数字落ち)[Ⓝ劣–,Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 研究テーマ:『魔法による熱量制御の研究』[Ⓝ劣-13-8,17-7]
- 設立年:2035年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:元の看板のままで稼働中[Ⓝ劣-13-8,21-292]
- 所在地:旧宮城県 仙台市[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:六塚家[Ⓝ劣–]、六角家[Ⓝ劣–]、六郷家[Ⓝ劣–]、六本木家[Ⓝ劣–]
- 備考:
- 研究テーマ:『対集団戦闘を念頭に置いた魔法の開発・研究』[Ⓝ劣-13-8・26,14-238,17-8]
- 設立年:2036年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:2066年[㊮画集-3-146]
- 所在地:旧東京都[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:七草家(第三研から移籍)[Ⓝ劣–,㊮画集-3-146]、七宝家[Ⓝ劣–]、七夕家[Ⓝ劣–]、七瀬家[Ⓝ劣–]、七倉家(数字落ち)[Ⓝ劣-14-239・240,Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 七草家の魔法研究所との関連は不明[Ⓝ劣-13-122,管補]。
- 研究テーマ:『魔法による重力、電磁力、強い相互作用、弱い相互作用の操作の研究』[Ⓝ劣-13-8,17-8,メ-2-57]
- 設立年:2037年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:元の看板のままで稼働中[Ⓝ劣-13-8,21-292,メ-2-51]
- 所在地:旧福岡県 北九州市[Ⓝ劣-13-8]
- 作品:八代家[Ⓝ劣–]、八朔家[Ⓝ劣–]、八幡家[Ⓝ劣–]、八島家(数字落ち)[Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 研究テーマ:『現代魔法と古式魔法の融合などの研究』[Ⓝ劣-13-8・26,17-8,㊮GB-劣3-3-21]
- 設立年:2037年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:第三次世界大戦の終結から程なくして閉鎖(看板と運営主体を変えて実質的に存続)[Ⓝ劣-13-8・27,24-191]
- 所在地:旧奈良県 奈良市[Ⓝ劣-13-8,24-191]
- 作品:九島家[Ⓝ劣–]、九鬼家[Ⓝ劣–]、九頭見家[Ⓝ劣–]、九能家(数字落ち)[Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 跡地には第九種魔法開発研究所が設立[Ⓝ劣-13-27,24-191,㊮GB-劣3-3-21]
- 研究テーマ:『空間に仮想構築物を生成する領域魔法の開発・研究』[Ⓝ劣-13-8,17-8]
- 設立年:2039年[Ⓝ劣-13-8]
- 閉鎖年:2066年[Ⓝキ-1-108]
- 所在地:旧東京都 台東区 蔵前[Ⓝ劣-13-8,夜闇-3-92,キ-1-96・107,3-128,管推]
- 作品:十文字家[Ⓝ劣–]、十山家[Ⓝ劣-21-217]、遠上家(数字落ち)[Ⓝメ-1-125,キ–,Ⓐ劣2-11-B]
- 備考:
- 閉鎖された魔法師開発研究所のうち、保存が決定されたのは第十研のみである[Ⓝキ-3-128]。
備考
- 一色家の秘匿術式である『神経電流攪乱』についての情報は魔法大全には載っていないが、国立魔法大学が所蔵する魔法師開発研究所についての聞き取り調査を纏めた文献には記されている[Ⓝキ-3-108∼110]。
- 2062年当時、四葉深夜は魔法技能師開発研究所について「私たちをモルモット扱いしている人の方が多い」旨を述べている[㊮画集-3-150]。
- 二十八家は、国防軍そのものが開発した魔法師ではない[Ⓝ劣-12-389]。


