アニメ第3期考⑭ ‐ 第5話感想②〈時系列・脚本編〉

作品考察
アニメ〈スティープルチェース編Ⅰ〉より.©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会

〈スティープルチェース編Ⅰ〉の感想②です。

原作のネタバレがあるのでご注意ください。

また、以後に添付する画像のクレジットは、特に注記が無いものは、「©2023 佐島勤/KADOKAWA/魔法科高校3製作委員会」です。

概要

まずはいつもの比較画像を。

今回もいろいろカットされた場面や時系列の移動があった。

カットされた内容について

こうして眺めると、げる部分を無理なく削いだ、という印象を受ける。

削られた内容で最も重要なのは、P兵器情報リークの部分。ここを本当に削ると色々マズい。
けど、公式HPの次回予告を見ると、どうやら〈スティープルチェース編Ⅱ〉で描かれるらしいので大丈夫そう。

あらためて原作を確認すると、奈良行き決定が7月4日で、実際に奈良へ調査に行くのが7月21日と、かなり開きがある。確かに、情報リークの話を1週間くらい遅らせても問題ない……かもしれない。

◇◇◇

一条将輝吉祥寺真紅郎の会話のシーンが削られた点にダメージを受けている人も多いと思うけど、そんな心配せんでも九校戦が始まったら普通に出て来るんちゃうの?と僕は思ってる。

流れ的には、第3話のBパート冒頭くらいかな?(第3話は深雪達也を引き止めるシーンでヒキになる気がするので)

ここまでのアニメ第3期を見ていると、〈ダブルセブン編〉では司波兄妹と「㐂」を中心に描きつつ、他のキャラの魅力も可能な範囲で描こうと努力しているように感じる。

たとえば1話のエイミィ真由美。超絶ドライ思考になってストーリーの展開だけを重視するなら、この両名をあそこまで尺をとって強調する必要は別にないんだけど、実際には尺も使ってるし強調もしてる。
特にエイミィとか、原作5巻の物語がアニメ化されているわけでもなし、カットしても良いかもしれないのに、ちゃんと十三束くんにアピールする様子が描かれている。

3話なんて、アニオリでリーナが登場したわけだし。
4話では、十三束の魅力がこれでもかというほど描かれたわけだし。

(ちなみに2話は、外せない物語と魅せたいキャラクターの登場がきれいに重なった回だったので、七草真由美に十文字克人七草弘一九島烈黒羽亜夜子黒羽文弥など、まんべんなくスポットを当てられたんだと思う。そしてその反作用で、達也と深雪の出番が少なくなっている)

要するに、『魔法科』という作品は話が複雑なので、そこを視聴者に伝えることを最優先にしたうえで、余った範囲でできる限り様々なキャラクターの魅力を描いていこうとしているんだろうなと思うわけです。

そうすると、〈スティープルチェース編〉は九校戦の話なので本当にたくさんのキャラクターが出て来るので、三高コンビが出ないわけがない。

しかも〈ダブルセブン編〉で織り込んでいた〈追憶編〉との融合が無くなるのだから、尺の余裕度は上がるわけで。

いや、政治的なアレコレを描く必要があるから余裕はないんだけど、それでもこのコンビを出さない理由はないと、僕は思っています。

……まぁ、ファンからすると「1mmも削らないで!」なのかもしれないけど、1クールになってしまった以上、そこはもうどうしようも無いと思う……

2クールだったらなぁ……(言っても仕方ない話)

なお「ここまでで本当に苦渋の決断で削ったシーン」は、小和村真紀七宝琢磨の関係性、達也大好きなケントくん光井ほのかのプレゼント、の3つかなって思っています。ジェニファー・スミスは……うん、まぁ、苦渋ってほどではなかったのかもしれないなぁ……。

ちな4月頭の北山家のパーティについては、〈来訪者編〉ラストのオフショアタワーテロ事件で代替しちゃったのかなぁ、と。

だから苦渋の選択とかじゃなくて、そもそも選択のしようが無かったのかなって思います。

時系列変更について

今回も時系列はいろいろ移動しているが、なにより原作12巻〈ダブルセブン編〉のラストの場面がここまで移動してきた。

名倉さん周公瑾の密談は外せないはずなのに外れちゃったからどうなるんだろうと思っていたら、まさかこうなるとは。

ただ、この変更を始めとした時系列移動で、話のロジックと言うか、「誰がどういう動機でその行動をとったのか」という部分について、原作とズレが生じてくる気がする。特に注目なのは周・顧傑・弘一・名倉の行動の動機かな。

まぁ、原作とアニメは別物なので、両者への理解が混ざらないようにしつつ、以下の各論で細かい部分を考えてみようかなと思う。 やろうとしたけど無理でしたゴメンナサイ

本編

アヴァン

アヴァンは、2096年6月25日(月)の話。

内容はほぼ原作通り。気になる点があるとすれば、「第九研究所」っていう表記で良いのか?ってくらい。

光宣の部屋を去りながら決意を再び固める

原作だと自室に戻り、光宣の生い立ちに対する苦悩を感じつつ、何百回目、何千回目の決意を固める様子が描かれている。

その生い立ちについての説明もアニメではカットされた。〈古都内乱編〉で描かれるのかな。

Aパート

6月最終週

達也生徒会を強制早退させられる話や、山岳部の練習に参加する場面はカット。

7月2日(月)

生徒会室~アイネブリーゼ

意気消沈あーちゃんが、九校戦の種目が変更されたことを説明するシーンは、日時ともに原作通り。

変更された3種目の競技内容について、達也が深雪に説明するシーンは、少しの時系列移動を伴ってアイネブリーゼでの会話に変更された。

また、落ち込むあずさをが励まそうとしているところに花音がやってきてしまったシーンはカットされた。

第三高校

九校戦の種目変更は当然第三高校にも伝えられた。これに関する会話が一条将輝吉祥寺真紅郎の間でなされるが、これもカット。当然、一条茜とのコミカルなやりとりもカット。

将輝が上の空になっている様子がストーリーに絡む部分だが、これは7話か8話あたりでまとめて描くのかなと思っている。

7月3日(火)?

土浦基地
佐伯広海風間玄信のシーンは、原作だと3日の朝だが、アニメでは日時がハッキリしない。

会話内容はおおむね原作通りだが、風間が大黒特尉にこの話を伝えないことについて懸念している様子がカットされた。

そのほか、細かい変更点としては、原作では「話が長くなるから」風間に椅子を出しているが、アニメでは立ったままになっている。

また佐伯という新キャラの説明のため、地の文を風間に喋らせるなどのセリフ変更がなされている。

大混乱の第一高校

種目変更を受けて、生徒会を中心に一高全体がてんやわんやになっている様子はカット。

差出人不明のメール

九校戦対応で疲れきっている達也のもとに、「差出人不明」という、システム上あり得ないメールが届く場面が描かれなかった。

ここは非常に重要な場面なのでカットはあり得ないが、予告によればどうやら次話で描かれるらしい。ヨカッタ

顧傑と周公瑾
顧傑周公瑾に、P兵器の試験への介入を命じる場面は、おおむねそのまま描かれた。

ただし日時については、原作では3日の話だが、アニメでは判然としない。

日時不明

名倉と周の会談は、原作だと12巻〈ダブルセブン編〉の末尾で描かれた内容。これは本来なら5~6月のできごとだと思われるが、アニメでは7月2日と8日の間に挟まっている。

このシーンは、顧傑が周にP兵器試験への介入を命令した後に時系列移動しているため、ストーリーが変更となる可能性がある。

この変更の可能性について考えてみたものの、アニメではまだ情報が少なすぎて何とも言えなかった。

Bパート

7月4日(水)

八雲への相談

原作では、達也深雪スティープルチェース・クロスカントリーで行われるパラサイドールの試験について九重八雲に相談するが、このシーンはアニメでは描かれなかった(差出人不明メールがまだ届いていないため)。

公式HPの予告内容を見ると、これはどうやら次話に持ち越されるらしい。また時系列移動……

7月5日(木)

達也と服部の会話
九校戦のメンバーについてビシバシ決めていく様子はカット。これもどうやら次話。(サンドイッチもぐもぐ)

練習メンバーの選定

ここもカット。これも次話あり得るのかな。でも重要じゃないからカットされそうな気がする。

日時不明:九島真言と周公瑾の会談

原作では7月5日あるいは6日に行われたと思われるこの会談は、アニメではさらに後ろ倒しされ、どうやら7月8日(日)に行われたらしいので、後に回す。

7月7日(土)

九校戦の練習風景
シールド・ダウンおよびアイス・ピラーズ・ブレイクの練習風景は、〈スティープルチェース編Ⅰ〉では描かれなかったが、どうやらこれも次話に回されるっぽい。

弘一への名倉の報告

周公瑾から得た情報を名倉が弘一に伝えるシーンも、Bパート終盤に移動された。これも後述する。

7月8日(日)

完全思考操作型CADテスト
FLTでのテストは、原作通り7月8日として描かれた。

ただし、原作ではテストに同行していない深雪が、アニメでは同行する形に変更されている。

渋谷デート

深雪との渋谷デートはFLTのテスト後にそのまま始まったが、原作だといったん帰宅した達也が深雪を誘う形で描かれている。

それ以外は概ね原作通り。

九島真言と周公瑾の会談

先述の通り、原作では7月5日あるいは6日に行われたと思われるこの会談は、アニメでは7月8日(日)に行われたらしい。

周公瑾と九島真言、双方の思惑が絡み合うが、亡命方術士の受け入れについて真言は即答を避け、「一両日中に回答する」と伝えた。

なお原作では、真言は「月曜日(9日)の16時に回答する」旨を伝えており、「一両日中」ではない点がアニメとは異なる。

弘一と名倉の会話をヒキに持ってくるために時系列を移動させたのかもしれない。

7月9日(月)

真言が方術士を受け容れ

周公瑾が再び九島邸を訪ね、九島真言は亡命方術士を受け容れる旨を回答した。

ここは〈スティープルチェース編Ⅰ〉では描かれていない。

弘一への名倉の報告

Bパートラストの、周公瑾から得た情報を名倉が弘一に伝えるシーンは、先述の通り原作では7日(土)の夜だが、アニメでは9日(月)に変更となった。

これはシンプルに、真言と周の会談が8日に行われるよう変更されたためだろう。

第5話感想② おわり

以上、〈スティープルチェース編Ⅰ〉の時系列と脚本についての感想でした。

ページ数的には、27Pから141Pまで、115ページ分進行した。ただし時系列の入れ替えが激しく、次話に持ち越された部分もかなりありそう。

前のブログで書いた通り、時系列移動に伴う変化点についていろいろ考察しようとしたが、まだわからないことが多くて無理だった。

その過程でグチャグチャといろいろ考え、書いては消しを繰り返した残滓。もったいないので貼っときますが、この推測が妥当かどうかは全然分からないので要注意。笑

それでは今夜の最新話、そして今日発売のメイカン8巻を楽しみにしつつ、今回はこの辺で!^^

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