魔法技能師開発第九研究所【まほう-ぎのうし-かいはつ・だいきゅう-けんきゅうじょ】は、日本の国立研究機関である魔法技能師開発研究所のひとつ[Ⓝ劣-8-113,13-8・27,15-88,メ-1-125]。
2037年に旧奈良県 奈良市に設立された[Ⓝ劣-13-8]が、魔法師の人権が回復するにつれその研究内容について非人道的と非難され、第三次世界大戦の終結から程なくして閉鎖された[Ⓝ劣-8-113,13-8・27,㊮GB-劣3-3-21,管補]。
ただし研究所としての機能は2096年時点においても維持されており、第九種魔法開発研究所として実質的に存続している[Ⓝ劣-13-27・150,24-191,キ-6-164,Ⓒスティ-1-168,㊮GB-劣3-3-21]。この新しい研究所を「第九研」と略して呼んでも良さそうなものだが、魔法関係者は頑なに「旧第九研」と呼ぶ[Ⓝ劣-26-257,㊮GB-劣3-3-21]。
概要・特徴
研究内容
旧第九研は、合理化し再体系化した古式魔法を現代魔法として実装した魔法師の開発(古式魔法の術理・術法を取り入れた現代魔法師の開発)を目的に設立された[Ⓝ劣-9-263,15-85,17-190,㊮GB-劣3-3-21・22]。
取り組まれたテーマは『現代魔法と古式魔法の融合などの研究』。現代魔法と古式魔法の融合、古式魔法のノウハウを現代魔法に取り込むことで、ファジーな術式操作など現代魔法が苦手としている諸課題を解決しようとした[Ⓝ劣-13-8・26・307,15-85,17-8・190,25-188,29-120]。
この目的のため、旧第九研には古式の術者が大勢集められた。その中には九重寺の先代住職(九重八雲の師匠)も入っており、『仮装行列』の元となる『纏衣の逃げ水』を教えた[Ⓝ劣-9-263・264,13-26,14-25,Ⓒスティ-1-168,㊮GB-劣3-3-21・22]。また藤林家は、『影分身』を始めとする多くの術法を提供した[Ⓝ劣-29-118]。第九研ではこのように提供された術式を元にして新しい魔法の開発が行われた[㊮GB-劣3-3-21]。
また九鬼涼風の祖父あるいは祖母は、忍術使いとしての遺伝子サンプルを旧第九研に提供した。これはキメラ化に用いられたが、結局生まれてきたのは普通の現代魔法師だった[Ⓝキ-5-239・240]。
これらの古式魔法師たちは、自分たちが伝承してきた古い魔法を科学によって改良し、新しくより強力な魔法が生み出されることを期待して(秘術の見返りは秘術だと思い込んで)旧第九研に参加した。しかし旧第九研の目的はあくまで古式魔法の要素を取り込んだ強力な現代魔法の開発であり、優れた兵器としての魔法師の生産であった。このため古式魔法の改良や開発はなされなかった[Ⓝ劣-13-26,14-103・165,15-85・86,㊮GB-劣3-3-22]。
なお古式魔法師に協力を求めるに際して手渡された旧第九研に関する説明書には、その設立目的欄に「現代魔法師の開発」である旨が明記されていた。また見返りについては金銭、施設および社会的地位を謳っていたのみであり、新魔法を提供するという取り決めは何処にも存在していなかった[Ⓝ劣-15-85・86,㊮GB-劣3-3-22]。
伝統派と「九」の魔法師
伝統派との対立
結果としてただ利用され秘術を盗まれるだけに終わった古式魔法師らはこの顛末に納得できず、2096年に至っても「九」の数字付きとは敵対的な関係にある[Ⓝ劣-13-26,17-190・191,Ⓒスティ-1-168,㊮GB-劣3-3-22]。
自分たちを「裏切った」旧第九研に対する怒りと怨念を求心力として、伝統派という魔法結社が結成された。現在その敵意は「九」の数字付き、特にその盟主である九島家へ向けられている[Ⓝ劣-13-103・104,14-133・165,15-85・143,Ⓒ古都-2-16,3-81,4-57,㊮GB-劣3-3-22]。
なお四葉真夜はこの集団を嫌っている。その理由は、自分たちの意思で参加しておきながら望んだ成果が与えられなかったという子供じみた理由で「九」の各家へお門違いな怨みを懐くという、その幼稚なメンタリティにある[Ⓝ劣-14-92,Ⓒ古都-1-120,管補]。
また伝統派が「九」の各家を敵と定めたことについて、司波達也は「旧第九研は政府が運営していたのだから恨みは政府にぶつけるのが筋」と指摘している[Ⓝ劣-15-88,Ⓒ古都-3-83]。
「伝統派」と名乗る彼らについて、恥知らずだと考える古式魔法師もいる。これはかつて伝統に忠実であることをよしとせず現代魔法のノウハウを求めて旧第九研に参加したことと、現在「伝統」を謳っていることが矛盾しているからである[Ⓝ劣-14-103・104・228,管補]。
旧第九研に参加し現在「伝統派」を名乗っている古式魔法師たちの母体について、九島光宣は「江戸時代に政治権力にすり寄りその手先となった術者や、手にした武力を捨てられず地下に潜った戦闘魔法師(の末裔)」と述べた上で、「同じように旧第九研に参加した古式魔法師であっても、土御門から派遣された陰陽師や忍術使いたちはそんなみっともない真似はしなかった」と付け加えている[Ⓝ劣-14-168,管補]。
「九」の魔法師
- 「九」の数字付き(九島家・九鬼家・九頭見家)は二十八家の他家に比べて一体感が強く、本家と分家、主家と家臣の関係に近い。これは九島家を中心として伝統派に対抗してきたという旧第九研時代からの経緯によるものである[Ⓝ劣-13-143,管補]。
- (古式魔法師ばかりが被害者のように見えるが)「九」の魔法師も実験された側である[Ⓝ劣-15-88,管補]。
「九」の魔法
- 「九」の魔法とは、現代魔法と古式魔法のハイブリッドである[Ⓝ劣-24-192]。
- 「九」の魔法には、精神干渉系の術式も多く含まれている[Ⓝ劣-25-118]。
- 『仮装行列』は、旧第九研で開発された対抗魔法。大本になっているのは『纏衣の逃げ水』だが、これを現代魔法と結びつけたのは藤林家の『影分身』である[Ⓝ劣-29-118,㊮GB-劣3-3-21]。九島烈はこれに改良を重ねて完成度を高めた[Ⓝ劣-28-221,管補]。
- 古式魔法と現代魔法のハイブリッド魔法である『迷霧』は、旧第九研で開発されたものである[Ⓝメ-6-201]。
- 「九」を冠する三家を除き、明らかに古式魔法の特徴と言える術法を身に着けている旧第九研出身の魔法師はいない。これは、古式魔法の全ての伝統的要素が新たな魔法に溶け込み吸収されてしまっているためである[Ⓝ劣-13-307]。旧第九研ゆかりの魔法師であっても「九」の数字を得られなかった彼らは、一般的な現代魔法師とその能力において何も変わらない[Ⓝ劣-13-307]。
家系・キャラクター
十師族の九島家や師補十八家の九鬼家・九頭見家、数字落ちとなった九能家などは、旧第九研の作品である[Ⓝ劣-13-99,15-197,17-6,メ-1-125,キ-6-64・164,Ⓒ古都-4-117,Ⓐ劣2-11-B,㊮全テ-27,GB-劣3-3-21]。中でも九島家は、旧第九研最高の成功例である[Ⓝ劣-14-147,㊮GB-劣3-3-23]。- 九島烈:九島家の前当主。日本魔法界の長老にして国防陸軍の退役少将。国防陸軍の秘密研究機関で強化措置を受けたのち、新たに設立された第九研に国防軍からの出向という形で送り込まれ実験台となった[Ⓝ劣-3-,13-8・27,㊮全テ-27,GB-劣1-5-27,管補]。
- 九島健:烈の弟。アンジェリーナ=クドウ=シールズの祖父[Ⓝ劣-9-]。
- 九島真言:烈の長男で、九島家の現当主[Ⓝ劣-13-27,17-8]。
- 九島紫乃:真言の妻で、光宣の戸籍上の母[Ⓝ劣–]。
- 九島白華:真言の長女[Ⓝ劣–]。
- 九島玄明:真言の長男で、九島家の次期当主[Ⓝ劣–]。
- 九島朱夏:真言の次女[Ⓝ劣–]。
- 九島蒼司:真言の次男[Ⓝ劣–]。
- 真言の末の妹:光宣の遺伝子上の母[Ⓝ劣–]。
- 九島光宣:真言の三男。実の兄妹の生殖細胞から生まれた調整体。九島家の最高傑作であり、「九」の魔法師の完成形[Ⓝ劣-13-,14-,29-84・120]。
- 九鬼鎮:九鬼家の前当主[Ⓝ劣-13-142]。
- 鎮の長女:九鬼家の現当主[Ⓝ劣-13-142]。
- 九鬼圭祐:鎮の長男[Ⓝキ–]。
- 九頭見家の前当主[Ⓝ劣–]
- 九頭見家の現当主[Ⓝ劣–]
- 烈が引き抜いた元軍人:旧第九研の失敗作[Ⓝキ-6-164]。
備考
- 九重八雲は旧第九研について、「僕たちには因縁の場所」と述べている[Ⓝ劣-13-89]。
- 九重寺は、八雲の先代が旧第九研に協力した代償に、弟子を育成する拠点として手に入れた施設である[Ⓝ劣-14-25]。
- 九島家の屋敷の守りは、旧第九研の研究成果を取り入れながら少しずつ調えていったものである[Ⓝ劣-14-146]。
- 旧第九研では、日本だけではなく大陸の古式魔法も研究されていた。司波達也はこれについて「『電子金蚕』などが現実の脅威となっていたのだから当然だろう」という感想を抱いている[Ⓝ劣-15-164]。
- 当時の旧第九研では、参加した古式魔法師が『呪殺』と同じ結果を引き起こす古式魔法(幻覚により自殺に追い込む術や物質遠隔操作により刃物による自殺に見せかける術)の実演が行われたらしい[Ⓝ劣-14-166・167]。
- 九島光宣によれば、研究の協力者だった古式魔法師に対して九島家・九鬼家・九頭見家が威嚇したり実際に攻撃を仕掛けたことは無い[Ⓝ劣-15-87]。


