身体鍛造〈bodily – forging〉は、自身の肉体そのものに対する硬化魔法[Ⓝキ-5-128・139・140]。司波達也が『ジークフリート』をアレンジした魔法[Ⓝキ-5-129・144・145]。『身体硬化魔法』などとも表現される[Ⓝキ-5-141]。
魔法発動後に発生した肉体の損傷を、発動時点の状態に修復する。この意味で、硬化魔法であると同時に医療魔法でもある[Ⓝキ-5-146]。
一条茜の『生体液震』に苦杯を喫した遠上茉莉花が千葉エリカと西城レオンハルトに相談したところ、「肉体に直接干渉する魔法を封殺する手段」として起動式を受け取った[Ⓝキ-5-128・131]。原理
『ジークフリート』は細胞の相対位置を固定する硬化魔法だが、人体は生きている限り常に動いている(心臓の鼓動、血管の膨張と収縮など)。したがって細胞の相対位置を固定などしたらすぐに生命活動が停止してしまうと考えられ、五十里明は「心肺停止と同じ状態になるわけだから(細胞を)全部止めたら厳しい」「数十秒なら生きていられるだろうが、1分を超えると脳にダメージが残るかもしれない」「そのため凄く複雑な条件が設定されていて、余程高い適性が無いと発動できない」と述べている。[Ⓝキ-5-143・144,管補]。 司波達也は、この「適性のある者が限られており、適性者でも発動に伴って大きな負担がかかる『ジークフリート』」を「普通の高難度魔法」にアレンジし、特別な適性が無くても発動できるようにした[Ⓝキ-5-144・145]。具体的には、細胞の状態を魔法発動時点のものに戻すことで、魔法発動後に肉体が外から受けた影響を無かったことにする。細胞の相対位置を固定し続けるのではなく、事後的に固定する魔法とも言える[Ⓝキ-5-146]。
この魔法について五十里啓は「作用の類型としては医療魔法の一種だが、元になっているロジックは硬化魔法のもの」と述べ、また「魔法式に未知のプロセスが含まれているが有害な副作用は見当たらない」とも語った[Ⓝキ-5-141・142・145・146]。
この「未知のプロセス」については「四系統八種のどの類型にも当てはまらない、だからと言って古式魔法にも一致するパターンが見つからない魔法のプロセス」と述べられている[Ⓝキ-5-145]。
これについては、のちに五十里啓が「『時間』の要素が関わっている」「司波達也は限定的な時間遡行の魔法を使った」等の指摘をしている[Ⓝキ-5-202∼204]ことから、『ジークフリート』に『再成』の要素を組み込んで『身体鍛造』の魔法にアレンジしたものと考えられる[管推]。より具体的には、「時間を記録する」「『時間』を情報として『保存』する」プロセスらしい[Ⓝキ-5-203]。この「時間を情報として保存する」という部分は、『自己修復術式』における「コア・エイドス・データのバックアップ」を模倣したもののようにも感じられる[管想]。
なおこの「時間」に関する指摘を補強する要素として、『魔法科高校の劣等生 来訪者編 Animation Design Works』において「『自己修復術式』は実は時間に対する干渉」である旨が記述されていることを付記しておく[㊮来ADW-94]。
開発と修得の経緯
元となった『ジークフリート』は西城レオンハルトのBS魔法のようなもので、誰にでも使えるものではない[Ⓝキ-5-129]。
しかし、以前にレオが「燃費改善のため」に司波達也に相談し、専用の起動式を作ってもらったことがあった[Ⓝキ-5-129]。
レオから受け取った起動式を実際に試してみた遠上茉莉花は「すっごく分かりやすい起動式だった」と述べたのだが、十文字アリサは「あんな訳が分からない魔法が⁉」と驚きを露わにした[Ⓝキ-5-139]。
茉莉花は「論理が首尾一貫していて無駄も不足も一切無く、最小限の労力で魔法式を完成させられる起動式であること」について「分かり易い」と述べたのだが、アリサは「できあがった魔法式は何が何にどう作用するのかシステムが全く理解できない、辛うじて結果だけが予測できる魔法式」について「訳が分からない」と評した[Ⓝキ-5-139]。
どのような理屈でどのように「硬化」されるか理解できない気持ちの悪い魔法を茉莉花に使わせたくなかったアリサは、五十里明に調査を依頼した[Ⓝキ-5-141]。この魔法に関する五十里啓の意見[Ⓝキ-5-141]が載っているのはそういった経緯によるものである。
上述の「未知のプロセス」について、五十里啓はそのプロセスを取り出して実行してみたが何も起こらなかった。一方で、このプロセスに対応する記述を削除した起動式を実行してみたところ、有効な魔法式は構築されなかった(プロセスを戻したら発動した)[Ⓝキ-5-145・146]。
開発後のモニター
起動式を司波達也から受け取る際に、西城レオンハルトは「自由にして良い」「使えそうなヤツを見付けたら分けてやってくれ」「渡した相手のことは後から報せろ」と言われていた。だからこそ遠上茉莉花に起動式をすんなりと渡したのだが、譲渡についてそれ以外に条件は特になく、太っ腹すぎるため茉莉花と十文字アリサは警戒している[Ⓝキ-5-131・132]。なお「私的に譲られたプログラムの複製を第三者に渡す場合、少なくとも事後に承諾を取る」ことは、現代社会におけるごく普通のコンセンサスであるため、今回のケースでは問題はない[Ⓝキ-5-131・132]とのことである。
特徴
- 魔法を発動している間は不死身状態かもしれないが、極短い時間しか発動できない(せいぜい3秒)[Ⓝキ-5-146]。
- 「未知のプロセス」の内容が判明したのち、五十里明は「この魔法の発動にあたって、一般的な魔法を超える範囲のリスクは無い」と述べている[Ⓝキ-5-205]。
名称について
フォージング(forging)は「鍛造」を意味する言葉だが「偽造」という意味もあり、そちらのニュアンスが含まれている可能性もある[Ⓝキ-5-139]とのことであった。
『再成』を意識した命名にも思えるが、特に明記はされていない[管補]。
備考
- 人体は柔軟性を持つから自由に動けるのであって、肉体を「硬化」してしまったら動けなくなるというのが常識だが、これについて千葉エリカは「常識が間違っているわけではないが、この魔法は非常識な例外」と述べている[Ⓝキ-5-128・129、管補]。
- 古式魔法には「気」や「加護」や「神憑り」によって肉体の強度を上げる術式が存在するらしいが、それらは「強化」であって硬化魔法とは別の術理に基づくものである、と記述されている[Ⓝキ-5-128・129]。
- 2095年度九校戦において、司波達也が基本コード仮説について「16種の基本コードの組み合わせで全ての系統魔法を構築できる、という点でこの仮説は間違っているが、基本コードは実在する」「俺はただ、基本コード仮説では理論的に構築できない四系統魔法を知っているだけだよ」などと漏らす場面があった[Ⓝ劣-4-274・277]。
この表現だけでは「理論的に構築できない四系統魔法」が何を指すのか断定することは難しかったが、先の「四系統八種のどの類型にも当てはまらない未知のプロセス」という記述[Ⓝキ-5-145]から、「この四系統魔法は『再成』を指しているのではないか」という推測が強まったと考える[管想]。 - 時間干渉のプロセスを削除したら魔法が発動しなかった[Ⓝキ-5-145・146]のは、飛行術式におけるセーフティのように、司波達也があえて施した機能なのかもしれない[管想]。

