切陰【きりかげ】は、想子を固めて作った非実体の刀身で、相手の肉体に重なる想子情報体を斬る無系統魔法[Ⓝ劣-23-286,㊕星呼-184]。
千刃流剣術の裏奥義。千葉家の裏の秘剣の一つ[Ⓝ劣-23-273,㊕星呼-184]。
千葉エリカがラルフ・アルゴルや十山つかさを倒したときに使った技[Ⓝ劣-23-272・273,㊕星呼-184]。
陰流の始祖である愛洲久忠の逸話にヒントを得た千葉丈一郎が編み出した魔法剣技で、千刃流剣術において唯一の、情報体を直接攻撃する手段である[㊕星呼-184]。
攻撃対象とする想子情報体は、肉体のエイドスではない。これは物質世界で肉体に重なって自然に形成される残像のようなものであり、エイドスのように実体と強くリンクしてはいない。武術の上級者はこの「残像」を先に動かすことで肉体をコントロールしたり、あるいは敵の「残像」の動きを見て相手の動きを先読みしたりするが、『切陰』はこの術理を逆手にとって、「陰」を斬ることで肉体のコントロールを失わせる[Ⓝ劣-23-286,㊕星呼-184]。
吸血鬼事件の際にパラサイトに対して有効な攻撃手段を持たなかったエリカは、秘伝書のみを頼りに、むきになってこの裏奥義を修得した(それ以前は千葉家の中でも丈一郎しか使えなかった)[Ⓝ劣-23-286,㊕星呼-184・185]。◇◇◇
この技は千葉修次の『突陰』とよく似ているが、『突陰』は相手を殺害する技であり、また対象とするのは「魄」である[Ⓝ劣-28-280]。
「魄」と「陰」が同一のものなのか、あるいは異なるものなのかは不明だが、後者だとすれば、『切陰』に殺傷能力があるかは怪しい(「陰」はエイドスのように実体と強くリンクしてはいないため)。ただし、「陰」だけでなく「魄」を対象にすることもできるのであれば、殺傷能力もあるだろう[Ⓝ劣-23-286,Ⓝ㊕星呼-184,管推]。
一方で、『アニメ「魔法科高校の劣等生」ノ全テ』では、『切陰』は「想子体にダメージを与える魔法剣」であり「『魄』に該当する想子体を斬ることで運動機能を奪う」ものであると記述されている[全テ-121]。
こちらが正しければ、『切陰』は『突陰』と同じ技であり、また「陰」と「魄」も同じものだということになる。この場合は、攻撃対象(肉体に重なる想子情報体のうちの何を斬るか)を変えることで、「気絶させるか殺害するか」を選択できるのかもしれない[管推]。
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なお、この技について作者は、劇場版アニメ『星を呼ぶ少女』用に作った新魔法であることを明かしている[Ⓝ劣-23-286]。