アグニ・ダウンバーストは、インド・ペルシア連邦(IPU)の国家公認戦略級魔法師(「使徒」)であるバラット・チャンドラ・カーン、同じくIPUの非公認戦略級魔法師であるアイラ・クリシュナ・シャーストリー、およびタイの国家公認戦略級魔法師であるソム・チャイ・ブンナークらが操る戦略級魔法[Ⓝ劣-8-8,25-252,30-78・80,31-17,メ-1-11,2-104,5-164,7-112]。
IPU・ハイダラーバード大学の女性科学者、アーシャ・チャンドラセカールが開発した現代魔法[Ⓝ劣-24-253,30-77・86,31-17,メ-1-11,6-260,7-111・112,8-111・124,Ⓒエ-3-55]。
原理・現象
- 対流圏の最上層にして成層圏の最下層、対流圏と成層圏の境界付近(高度10km)の大気を広範囲に圧縮して大規模・高密度な空気塊を作り出す。このとき断熱圧縮により超高温にし、また高密度状態を維持することで周囲の空気よりも重い熱気塊を形成する[Ⓝメ-2-104,8-125]。
- 高密度に圧縮された空気はそうでない空気に比べて重いため、この熱気塊はその密度差(=重量差)により地上に向かって落下するが、これを魔法で加速する。また、魔法で高密度状態を維持する。これにより、断熱圧縮の効果で高温になりながらも高空の低温な空気より重い空気塊という、自然には発生し得ない現象ができあがる[Ⓝメ-2-104・105,8-125]。
- 落下する熱気塊(圧縮され高温化した空気)は、下にある空気をその摩擦面で発熱させる。熱気塊とその下部に生まれた加熱空気は、(陰圧によって)上空の空気を引き連れながら最終的には100m/sに達する突風となって地面(海面)に激突し、熱と衝撃を周囲にまき散らす[Ⓝメ-2-105,8-125,管補,管推]。
- 地面(海面)に衝突した気流は、まずその高熱を以て落下地点を焼き払う。次に圧縮が解かれたことによる爆風で周囲を広範囲に薙ぎ倒し、最後に上空から(陰圧により)引きずってきた下降気流で更なる破壊をもたらす。この三段構えの爆撃が『アグニ・ダウンバースト』の正体である[Ⓝメ-8-125,管補,管推]。
以上のような仕組みから、作中で明記はされていないが『アグニ・ダウンバースト』は収束系統魔法と加速系統魔法の複合魔法であると思われる[管推]。
特徴
長所
- 地理的条件には左右されにくい[Ⓝ劣-24-216,メ-2-105]。
- 空気塊(熱気塊)のサイズと高度を調節することで、戦略級魔法の名に相応しい大都市すらも瓦礫に変える破壊力(都市破壊の戦略レベル)から、小部隊を相手とする戦闘レベル(対人レベル)まで威力(破壊の規模)を自在にコントロールすることができる。「威力を調節できる」というこの使い勝手の良さは、他の戦略級魔法に無いメリットである[Ⓝメ-2-105,8-125・126,管補]。
短所
- ハリケーンのような大規模気象現象の影響を受ける[Ⓝメ-2-105]。
- その仕組み上、大威力を得る為には大量の空気を圧縮しなければならず、必然的に発動には時間が掛かる。また上空から地表に落下するまでの時間も掛かる。つまり、発動から攻撃までのタイムラグが大きい[Ⓝメ-2-105]。この「時間が掛かる」という点が、瞬時に威力を発揮する『ヘビィ・メタル・バースト』や気象条件さえクリアしていれば即座に破壊を拡げられる『トゥマーン・ボンバ』に比べて劣っていると評価されている理由である[Ⓝメ-2-105,8-125・126]。
- ただし限定的な威力で構わないのであれば、発動には時間を要しない。熱気塊のサイズとスタート地点の高度を抑えれば、威力と引き換えにスピードをアップさせることができる[Ⓝメ-8-126]。
使用者
バラット・チャンドラ・カーン
バラット・チャンドラ・カーンは、『アグニ・ダウンバースト』を会得してIPUの「使徒」となった[Ⓝメ-7-112]。ソム・チャイ・ブンナーク
記述は特に無し
アイラ・クリシュナ・シャーストリー
アイラ・クリシュナ・シャーストリーは2097年3月に『アグニ・ダウンバースト』を会得し、IPUの非公認戦略級魔法師となった[Ⓝ劣-30-78・80]。なおアイラが『アグニ・ダウンバースト』を使えるかもしれないという噂は、戦闘魔法師を管理する立場にあるIPU連邦軍の士官であれば大抵知っていることである[Ⓝメ-5-164]。
発動履歴
1回目
日時
2100年9月28日(火)昼ごろ(カリフォルニア州の現地時間)[Ⓝメ-8-103・110]
使用者
アイラ・クリシュナ・シャーストリー[Ⓝメ-8-124・126]状況
サンフランシスコ国際空港の誘導路~滑走路のエリアにて、サンフランシスコ暴動事件の現場から逃げ出そうとしているロッキー・ディーンおよびローラ・シモンが搭乗している小型ジェット機の離陸を止めるために使用[Ⓝメ-8-115・122・123・126]魔法の対象
小型機の上空の空気[Ⓝメ-8-126,管推]
使用CAD
不明
内容
- 威力は建物破壊規模に限定(ダウングレード版)[Ⓝメ-8-126・262]。
- 火災を起こす程の高熱ではなかった[Ⓝメ-8-126]。
- 現場では熱風と突風が吹き荒れた[Ⓝメ-8-129]。
被害
- 熱気塊の落下と爆発の衝撃により小型機の主翼に大きな亀裂が入り、機は飛行できなくなった[Ⓝメ-8-126・128]
備考
- ソム・チャイ・ブンナークが操る『アグニ・ダウンバースト』の魔法式は、IPUから供与されたものである[Ⓝ劣-8-8]。
- 発動には専用のCADが必要となる[Ⓝメ-2-105]。
- 本気の『アグニ・ダウンバースト』が直撃しても、『リアクティブ・アーマー』を発動していれば遠上遼介は耐えることができるらしい[Ⓝメ-8-126]。
- 自走車を『アグニ・ダウンバースト』で止めるためには、飛行機を対象とした場合よりも魔法の出力を上げる必要がある[Ⓝメ-8-144]。
- 作中では長らく名称だけが登場していた魔法だが、小説『メイジアン・カンパニー』第8巻にてようやくのお披露目となった[Ⓝメ-8-262]。
- 「ダウンバースト」という自然現象のひとつである「ヒートバースト」の順序を逆転させたような魔法だが、作者によれば『アグニ・ダウンバースト』という魔法を考えた時点ではこの自然現象のことは知らなかったとのことである[Ⓝメ-8-262,管補]。

