アタラクシアは、平穏を望み苦悩からの逃避を願うレナ・フェール自身の願望に他人の心を同調させる精神干渉系魔法[Ⓝメ-8-98・120]。人々の不安を取り除く魔法[Ⓝメ-8-140]。『ギャラルホルン』の対極にある作用を持つ[Ⓝメ-8-119]。サンフランシスコ暴動事件において暴徒の鎮圧に寄与した[Ⓝメ-8-103・105・120]。
「苦悩からの逃避」は、人間が懐く生の感情である。だからこそレナの願いは『ギャラルホルン』の魔力を凌駕する程に凡人の心を強く惹き付け、巻き込むことができる[Ⓝメ-8-120]。
一度に100人前後までを魔法の対象とすることができる[Ⓝメ-8-98]が、これは魔法を直接作用させる場合の限界人数である。『アタラクシア』で沈静化した心は、外部から新たな強い刺激を加えられない限りは熱を失い落ち着いたままとなるので、人が次々と密集してくる状況であれば魔法の範囲を徐々に広げていくことにより、その効果を数百人規模にまで拡大することができる[Ⓝメ-8-120]。
サンフランシスコ暴動事件において見られた現象
サンフランシスコ国際空港の近くでレナが祈りのポーズを取ると清浄な霊気が周囲に満ち、暴徒と州兵の怒号が飛び交う喧騒の中にも拘わらず静謐な雰囲気が辺りを覆った。群衆の駆け足は急ぎ足に、急ぎ足は遅足にと勢いが衰えていき、足を止めて行った。群衆の目に宿っていた凶暴な熱は消え、憑き物が落ちたような顔に変わった。しかし普段どおりの表情とも言い難く、自らを追い立てる日々の様々なものや、自らが作り出し受け容れている柵から一時の解放を得て心安らいでいる、そんな顔をしていた[Ⓝメ-8-118・119]。後から押し寄せた暴徒も、足を止めた人々の列に触れ、レナを取り囲みただ静かにたたずむ人垣の一部となっていった[Ⓝメ-8-119]。
備考
- 個人の場合と同様に集団に掛ける場合も、対象の姿が見えている方が行使しやすい[Ⓝメ-8-105,管補]。
- 1日に1回しか使えないというものではない[Ⓝメ-8-98]。
- 魔法発動時、レナ・フェールの閉じた瞼の隙間からは金色の光が漏れ、睫毛が金色に染まる[Ⓝメ-8-118]。
- この魔法を何度も受けると、そのまま心を委ねてしまいたくなる中毒性がある[Ⓝメ-8-140]。
- 『ギャラルホルン』対策の必要性を感じた司波達也は、暴徒の興奮を沈静化させる対集団魔法の開発に着手[Ⓝメ-8-157・158]。津久葉夕歌や東山知時らとともに検討を進めていくうちにテーマは『群衆誘眠魔法の開発』へと姿を変え[Ⓝメ-9-30・31・190]、『ヒュプノス・チェイン』の完成へとつながっていった[Ⓝメ-9-209]。
- 作者曰く「魔法の仕組みや使いどころはレナのキャラクターを作った時点で決まっていたが、名称は『メイジアン・カンパニー』第8巻を書き始める直前まで固められないくらい悩んだ」とのことである[Ⓝメ-8-262]。

